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【第二章・叛 逆 の 双 星】
Ж-18 揺るぎないモノ一つ ~Only My Starlight~ ②
しおりを挟むに、 してもシケてんな。
大の男が雁首そろえて “泡沫” 一個かよ。
出した中身もグチャグチャだし、
『貪喰』 で死体吸収するより
ゴミ捨てと道具の洗浄に手間取っちまったよ。
武器も手入れが悪いのか所々錆びてるし、
ウチの相方見習えっつーの。
ま、 何かの素材に使えるでしょ、 あぁ~清々した。
そう言いながら軽く伸びをして拠点に戻ると、
相方が何か言いかけたが手をヒラヒラさせて遮る。
あぁ~、 解ってる、 解ってる、 みなまで言うな。
悪党だろうと人間のクズだろうと殺せないよね君は、
なんてったって英霊だもん。
こちとら魔皇、 魔皇、 汚れ役は任せときなさい、
適材適所、 餅は餅屋ときたもんだ。
“殺されていい者なんてこの世にいない”
なんて戯言の方に殺意が沸くタイプだからね。
さっきの屑共が年端もいかない子供に、
一体何しようとしてたか考えてからもの言えドアフォ!
てかな剣笹のお茶煎れてるんだ、
オレにも一杯ちょうだいよ。
その名の通り鋭い苦味がちょっとクセになる緑茶をカップで啜りながら、
相方の隣で両手にカップを持ったまま座る少女を見る。
まだ外套は着たまま、 流石にちょっとは落ち着いたように見えるけど
思い出すのか時折躰を瘧のように震わせている。
埒が開かんなとオレはカップの残りを飲み干すと、
木の洞にしまっておいた “泡沫” の一つを取り出した。
朱い、 奇妙な紋様が施された箱の一点を指で押さえ、
留め金を外しながら二、 三回振ってみる。
途端に中の空洞から元の体積を無視して幾つもの服が
ドサドサと葉の上に落ちる。
よいせとそれを全部お母さんのように抱え、
少女の前に置いてみた。
「好きなの選んで着ていーよ。 オレは着ないから」
困惑する少女に素っ気なく告げる。
案の定小首を振って頻りに遠慮する少女を無視し
オレは二杯目のお茶を直に注ぐ。
一応服は全部女物だ、 昨日の奴等の一人が持ってたのだからね。
でもオレは着ないし着られない、
スカートなんて履けないし下着も御免蒙る。
こう見えても元は男だし今もそのつもりだから
ソレくらいの美学は通させてもらう。
はぁ~、 本当ローブが有ってよかったわぁ~。
いつか服を新調しなくちゃいけない時がきても
コレばっか着よう。
ちなみに “泡沫” の紋様って装飾用に付いてるんじゃなくて
決まった形に魔氣を込めて振るとその種類のヤツが出てくるみたい。
いちいち全部ブチ撒けてたら 「道具袋」 の意味がないしね。
その為に複雑な魔導式が込めて有って、
だから高価な代物なんだってさ。
そんな事を考えながら啜っていた緑茶が半分になった時、
ようやく相方の説得が終わったのか耳長の少女はおずおずと山積みになった
服に手を伸ばし、 一度オレに頭を下げたあと大樹の裏へと消えていった。
カップを口に運びながら手をヒラヒラさせるオレ、
便利だなこの仕草、 今後もよく使うかもしれん。
そうこうしている間に服を片付けた相方が
青い“泡沫”を取り出して戻ってくる。
紋様を押して出した道具はうおぉ!
漬物石くらいの肉の塊。
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