【ＺＯＤＩＡＣ　ＰＡＲＡＤＯＸ　ＥＸＴＲＥＡＭ／ＣＨＡＯＳＰＨＥＲＥ！】～戯題・愛のままにわがままに魔皇少女は異世界に屈しない！～　

沙波羅　或珂

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【第二章・叛逆の双星】

Ж－３６　漠たる光芒～Darker Than Darkness～ ②

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「まずは君の意見を訊こう」

　乱みだりにならぬよう軟体のように腕を磨り抜け前方で距離を取る。
　此れが今の私と君達の信頼関係だ。
善良な者達だとは想うが其れはハーフ・エルフの危局とは関係ない。
　樹々の梢こずえがさざめく森の中、個室が有るとは云え耳目じもくの無くならぬ
場所で秘密の発露を促すほど愚かではない。

「伴侶、サンダルフォン様は、冒険者と云う者達を誤解なされています。
僭越せんえつになりますが人・間・的・な・モ・ノ・と・し・て・捉え過ぎている。
強いて云うなれば寛容に過ぎると想われます」

「……続きを」

　魔物以上に冒険者の気配を探りながら手を差し向ける。

「ガルフでも偶然ですが想い付いたコト。
冒険者の中にはそれ以上もそ・れ・以・下・もいます。
大金を手に入れた貴方を襲おうとその寝所拠点を探すのは必然の流れ、
見つかれば良し、見・つ・か・ら・な・い・な・ら・勝手に想像を巡らせます。
虚実定まらぬ中、ハーフ・エルフの「隠れ里」と
強引に結びつける者も出てくるでしょう。
ソレが存在しているかどうかも解らぬまま」

　む、確かにそうであったな。
偶然が運命を左右するのなら、その対象を拡げるべきで在った。
　然さすれば。

「私が、出てきた事自体が間違いか。
不用意に衆目を集める結果となり、
その存在を晒した」

「あくまでハーフ・エルフ主体の話ならば、そうなるでしょう。
誰も責められませぬが。
しかしそう言っている私も、貴方が居なければ恐らく今頃は凍土の骸むくろ。
其れを忘れるほど愚かではありません」

「そ、そうだぜ！　悪いのはハーフ・エルフを掻っ攫おうとしてる馬鹿共だろ！
アンタは躰からだを張ってオレ達を護ってくれた！
何で自分を卑下する必要があるんだよ！」

「旦那しゃまが現れた時、本当に神しゃまが降りてきたと想いましたですニャ。
それくらい、それくらい、本当に絶望的な状況だったのですニャ！」

　ふむ、全てを否定するのは粗忽そこつに過ぎた、か。
　何が何でも在っては為らぬコト故冷静さを欠いていたのは否めまい。
　私は数歩、白い少女に歩み寄る。
　安堵の表情を浮かべるが君達の協力を仰いだ方が良さそうだ。
　私にはこの『世界』の「経験」が、決定的に足りていない。

「まずは私見だが【最悪】の事態から話そう。
私と別れた君達が悪辣な輩やからに捕らえられる、
尋問と云う名の拷問を受け私の存在は露見する。
或いは「人質」として、隠れ集落の場所を聞き出す材料として使われる。
その折一人二人は仲間の命を理由に解放されるだろう、
私への警戒心を薄れさせる陽動も兼ねて。
此れらが起こる可能性は？　一割以上なら同道する事は適かなわぬ。
無論後をつけるコトも罷まかり成らぬ。
すまぬが君等の「防衛」にまでは責任を持てぬ故、
其処は氷河竜の討伐で相殺とさせて戴こうか」

　反論ではないが何か言いたそうな仲間を制してソフィアが前に出る、
裏役に徹しているが実質このパーティーの主導権は彼女に有るのかもしれない。