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【第二章・叛 逆 の 双 星】
Жー48 刈り取る者 ~One Hand Dead~
しおりを挟む昼食はギルド内にある食堂で取った。
さっきの莫迦が外で待ち構えてるかもしれないし
一通りランチっぽいのを注文してとっとと平らげると
“泡沫” の中からソフィアの持たせてくれた
バスケットをガンッ、 と取りだしこれも次々に片付けていく。
どこぞの蜘蛛子サンも真っ青のお残し厳禁!
魔道具の中は亜空間だけど時が止まってるわけでもなければ
低温で保たれてるわけでもないので生モノは放っとけばドンドン腐る。
まぁ氷の魔導でソレを抑えるって手もあるっちゃあるけど
「賞味期限」ってモンがあるんじゃ! 元居た世界には厳然と!
ソレを無視したら作った人と犠牲になった食材達に申し訳が立たん。
喩え魔皇でも、 この世のどんな存在であったとしても、
食べ物を粗末にするコトと雪見大福 「一個くれ」 って言うコトは赦されんのだ。
サンドイッチにフライドチキンと元の世界でも定番のメニューを
両手にモグモグしながらたまにミウにも小さく千切って食べさせる。
なんかどこぞの根性漲るカエルみたいだが
アレその娘が後年ドエライ事になってたな。
見た目に反して大食いなのでちょっと周囲の視線が気になるが
元奴隷だから食い意地が張ってるんだよ。
喰える時に喰っとかないと次はいつ喰えるか解らないんだよ。
そーゆー 「設定」 だ受け入れろ愚民共!
あ、 どーでもいーけど今のオレ、
某ラノベの貧乳魔導士みたいになってねー?
いいよなぁ~、 〇〇長い詠唱が終わるまで
相手が待っていてくれる優しい世界――。
オレもそーゆー場所に転生したかった。
あ、 相方いないと困るがね。
「……」
「……」
「……」
三人が三様に沈黙している。
バスケットの中身がドンドン減ってるのに驚いてるのか?
喰うよぉ~、 そりゃあ、 魔皇だし魔導は魔氣いっぱい使うし。
午後はもっと大変な仕事が控えてるしね。
ほら、 このハムとチーズとイチジクの挟んであるヤツとか相当イケるぞ?
要らなきゃオレとミウが全部頂くけどね。
そんなこんなで後半全員が自棄になったような食事を終え
駐屯地の門を潜った。
依頼書に記載された簡易の地図にはやはり、
“火事が起こった場所より西南のエリアを重点的に探せ”
と指示してある。 婉曲にではあるけど
全てを知るオレからすれば露骨過ぎる。
爺ちゃん達の 「隠れ集落」 は此処から単純な直線距離で10㎞以上離れてて
道も無いけどこのまま上下のエリアを消去しながら虱潰しに当たられたら
何れはバレるな。
やはり仕掛けるなら今日、 ラインが大雑把な内が一番良い、
限定されたエリアは、 ソレはそのままオレ達の安全地帯なのだから。
なので――。
「100人殺す」
徐にフードを取り、 周囲に誰も居ないコトを確認しながら
振り向いてそう告げる。
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