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【冨樫作品に於ける虐めの影響(HUNTER×HUNTER連載再開)】

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 ともあれ、作品のクオリティーは落ちてなかったのでホッとしている。
まさか『3年以上』も待たされるとは想いもよらなかったが……('A`)
 しかしここまでの「流れ」からすると、やはり話題はコレになるであろう。
 作者の冨樫 義博先生も、嘗て【虐めの被害者】である。
 故に冨樫作品に於ける「怒り」「憎しみ」「怨み」等の
【負の描写】は群を抜いている。
 理知的で端麗な『クラピカ』ですら、怒りや憎しみに囚われた時は
所謂「燃え」の描写ではなく、『怖い』『醜い』ある種『悍ましい』という
感覚すら想起させる程に風貌が歪む。
 コレは
実際に【〇したいほど人を憎んだ事がある】という証左に他ならない。
 故に『人間存在』を作中で語る時も、
安易な「性善説」的なパターンに逃げるのではなく、
ソレこそ『寄生獣』的な禁句タブーにまで
切り込んで作品を仕上げる。
 前作、『幽遊白書』の【仙水 忍】なども、
人間の存在自体を完全に『否定』しているにも関らず、
しかし結局彼の言い分に最後まで【誰も反論出来なかった】
 コレは『HUNTER×HUNTER・キメラアント編』でも同様であり、
「人間を喰う」キメラアントよりも、然したる理由もなく同種を殺し蹂躙する
【人間の悪意】の方がより醜悪で悍ましいという結論が最後に降る。
(最強生物である『メルエム』が【貧者の薔薇(核兵器)】で
命を落とすのがその証明)
 正に【多数派】による『少数派』への蹂躙。
 此処に「人間」を『肯定』し得る要素は皆無であろう。
 故に「コムギ」のような、ごく僅か、実に稀少な『善』の存在を
微かな希望として物語は幕を閉じる。
 しかし次章の【暗黒大陸編】ではその『人間の業』によって
生まれた【災厄】がまず描かれる。それでも解らずまた懲りずに
人間は【暗黒大陸】に手を伸ばそうとする。
救い様のない人間の【愚かさ】がその序盤でまざまざと描かれているのだ。

【大多数の人間は愚か】、【虐めの被害者】がこのような結論に至るのは
ある種必然であろう。
その【大多数に蹂躙】されたのだ。
そして救ってくれる者は『ごく少数』だったのだ。
『まともな人間』が多いのなら、
そもそも【虐め(犯罪)】自体が起こり得ない。
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