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【暗黙のルール】

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『法律』として罰せられるわけではないが、
【倫理的】【道徳的】に許されない行為というのは
幾らもあろう。
 だが作者にその「意識」が無いと、
知らず知らずの内にその【暗黙のルール】を
踏み倒しているキャラクターを造ってしまったりする。
「異世界の力を持つ少女」が、
その力故に、何故か通っている学校の教師を侮蔑したり
他の生徒を見下しているという描写はまま眼にする。
 確かに嫌な教師はいるであろう、
だが教師全てが彼女に逆らえずへりくだり、
その言葉を金科玉条のように受け取っているシーンなどは
正直唖然とする他は無い。
 ソレは『教師をバカにしてはいけない』
『自分より弱いからと見下してはいけない』
という【暗黙のルール】をキャラクターが率先して破っているからだ。

 私事わたくしごとで申し訳ないが、
中学時代は「公立」だった為、
その「登校区域」を選ぶ事が出来ず
ワタシが通っていた中学はまぁ「荒れて」いた。
 特にその「3年」はタチが悪く、
朝のHR時、数人の三年生が突如一年のワタシの教室に現れ、
小柄で頭皮の薄くなった男性教諭に絡み出し、
凄み、脅し、揶揄い、その頭をペシペシと叩いては
嘲笑っていた。
 中学生とはいえ3年ともなれば大きい者は大きい、
事実のその3年生は皆180cm近い長身であった。
 憐れ気弱なその教師は、小声で注意めいた事は言うが
結果何も出来ずされるがまま、
その不良達は何が楽しいのか大笑いで教室を去っていった。

【暗黙のルール】をとはこういう事だ。
 自分がどれだけ醜悪な行為をしているのかすらも解らない。
 そしていつの時代も「バカな不良」に憧れる
『大莫迦者』というのは一定数存在するのであり、
その性根は作品を通してしまうのである。
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