上 下
21 / 205

【虐めの描写について】

しおりを挟む

 漫画でもアニメでも映画でもドラマでも、
無論、「ライトノベル」でもよく見かけるシーンであろう。
 そしてソレを見た後、心にヘドロのようなおりが残るのもまた共通と云える。
 何故そのような気分になるのか?
 答えは簡単でその【虐め】がれっきとした【犯罪行為】であるからだ。
「殺人事件」をテーマにした話でも、
被害者が惨たらしく殺されるシーンを
念入りに微細にわたり描写する作品は少ない。
『倫理規定』が在るというのも理由だが
そもそも【犯罪行為】をじっくりとつぶさに眺めたいというのは、
者達を除いて少数派であろう。
【虐め】もソレと同じであり【犯罪行為】である以上
その本質は変わらないのであるが、
何故【虐め】に限りその描写がセーブされないのかと言えば、
ソレを描いている作者が【犯罪】だと認識していないからである。

 だから【虐め】が所謂「いじめ」になってしまい、
どれだけ悪辣で残酷で卑劣な事を行っていても
「悪ふざけ」の延長として捉えてしまう。
 キャラクターが「未成年」ならその錯誤へ更に拍車が掛かる。
 一種の『思考停止』と言ってもよく
『主体性』と『客観性』の両方を喪失していると
云っても過言ではない。 
【暗黙のルール】の回でも言ったが、
『法的』に罰せられない事は【悪い】と認識出来ないのである、
の人間は。
 だから「殺人事件」の犯人は最後必ず捕まるのに、
【虐め】の首謀者達は『無罪放免』となるのである。

 

 読んだ者は一体どう想う?
 虐める側も虐められる側も。
 そんな『リアル現実性』は必要ない。
しおりを挟む

処理中です...