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『所謂 “転生” について』 【リクエスト】

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*今更ながら「転生」についてリクエストさせてください。
ラノベの転生は本来の意味 (宗教上の言い伝え) からはかけ離れ、
都合のいい “人生やりなおし機” と化しています。
安易な転生を書いている人は
『六道輪廻』の概念すら知らなさそうですが……
~『Pixy』 様~



 ラノベと言えば「異世界転生」
 悪くも悪くもコレはこのジャンルに於ける『共通認識』となりつつある。
 我が戦友である外訪楠氏は
『転生したい』=【今すぐ死にたい】
だと著作で論じたが、ワタシもその意見に賛成である。
「異世界転生」の主人公はその殆どがニートであったり引き篭もりであったり、
ブラック企業の社畜であったりスクール・カーストの底辺だったりするが、
(作者がそう書いている)
要するにその “終わりの無い日常” から逃げ出す術が
「異世界転生 (転移) 」なのであろう。
 不思議な事に「異世界」に転生して
「それがラッキー!」と快哉を叫ぶ者は多いが、
自分が死んだ事に対して生じる『責任』
残された親や友人や同僚を気遣う描写は
見られない。
 つまりソレくらい、彼らにとって『現実の価値』とは薄いのであり、
現実そこに生きる人間』等どうでも良いのであり、
故に『転生』=【自殺】の法則が
いとも容易く成り立ってしまうのである。

 コレはともすれば
『将来に希望が持てないから派手な事件を起こして死刑になりたい』
という【犯罪者】と同じ心理傾向なのであり、
口には出さないが (或いは報道されないが)
中には本気で
“死刑になれば異世界に転生出来る”
と考えている者も存在するかも知れない。
やや飛躍が過ぎるかも知れないが、
【狂った人間の精神】とは時として
我々の想像を遥かに逸脱しているモノである。 

 ともあれ、上記のような『現象』は何も今に始まった事ではなく、
【現実逃避の傾向】はラノベの黎明期から
その “土台” は出来ていた。
『冴えない少年の前に、ある日突然異世界の美少女が降って来る』
等と言うのはその典型であるし、
「異世界転移」自体は古くから幾つも在ったし、
『受け身の主人公』の周りにトンでもない事態が
次々と矢継ぎ早のように迫ってくる、という展開は
“セカイ系” と呼ばれて揶揄されたモノである。
 つまり『努力して現実を変えたい』 ではなく、
【つまらない現実の方が変わるべき】
というある種の “カルト宗教” 染みた思考が
ラノベ界には蔓延していたのであり、
ソレは作者が莫迦な不良や半グレ、
ナチスドイツ等に妙な憧れを持っている、
という【反社会的な思考】がキャラやストーリーを通じて
如実に表されていたのである。
(一種の “選民賎民思想” と言い換えても良いが。
『自分達』 という)

 その【現実逃避の為のギミック道具】が、
異界の少女、魔法、超能力、超科学、宇宙生命から
とうとう【自殺転生】に挿げ変わっただけの話であり、
好きで自殺転生するのだから、
その異世界から誰ものは
至極当たり前の話なのである。

≪続く≫
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