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自然
第十話 【虹』
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なぁ?
知ってる?
普通の虹ってな。
太陽とは反対の方向に現れるんだ。
明け方なら西に。
夕方なら東に。
でもな……俺、何度も見た事があるんだ。
虹が人間の頭上に現れるのを。
一度目は、幼稚園の時だった。
当時、仲良しの大介が、「健人! 虹だ! 虹だぞ!」と、西の空を指差して叫んだんだ。
俺は大介が指差す方を振り返ると、そこには大きな虹が。
「わぁ! すっげぇ!」
「綺麗だよなぁ!」
傍にいた他の友達も、俺達の声で虹に気が付き、皆でワイワイ騒いだ。
その数日後。
大介の頭の上に虹が見えた。
「おい! 大介! お前の頭の上に虹が出てるぞ!」
「何いってんだよ! そんな訳ねぇだろ~!」
「本当だって! お前、鏡見て見ろよ!」
「……なんもねーじゃんか! 冗談ばっか言うなよな!」
その時。
俺は本当に大介の頭の上に【虹】が見えていた。
それなのに他の奴らには……本人ですら、その【虹】が見えていない。
一体、どういう事だ?
俺の目がおかしくなったのか?
その当時は、かなりパニックになったのを今でも覚えている。
それから、小学校の時には直也や涼子。
高校になってから付き合った彼女の香澄。
皆、【虹】を指差した数日後。
頭上に【虹】が出来るんだ。
まるで。
それが死刑宣告かのように……
え?
どういう事だって?
それは……【虹】が頭上に出た人間は皆。
その日のうちに、事故や突発的な要因で死亡したんだ。
よく虹を指差すと手が腐るだとか。
不幸な目に遭うだとか。
色々な迷信があるけれど。
虹は神霊の渡る橋とも言われている。
そして、指を指すという事は無礼であり、攻撃を意味する。
神聖なる虹を指差す事は、大きな祟りがあってもおかしくはない。
だが、無邪気な気持ちで何の悪気もなく指差した俺の子供は……?
「パパァ! 虹だよぉ! 虹!」
嬉しそうに指を指す我が子の姿を俺は、ただ愕然としながら見つめるしかなかった。
大空に架かる大きな虹が、厭な光を我が子に注ぐのを。
その虹が、まるで蛇のように我が子に纏わりつくような幻覚を見ながら。
ただ茫然と、そこに立ち尽くすのであった。
知ってる?
普通の虹ってな。
太陽とは反対の方向に現れるんだ。
明け方なら西に。
夕方なら東に。
でもな……俺、何度も見た事があるんだ。
虹が人間の頭上に現れるのを。
一度目は、幼稚園の時だった。
当時、仲良しの大介が、「健人! 虹だ! 虹だぞ!」と、西の空を指差して叫んだんだ。
俺は大介が指差す方を振り返ると、そこには大きな虹が。
「わぁ! すっげぇ!」
「綺麗だよなぁ!」
傍にいた他の友達も、俺達の声で虹に気が付き、皆でワイワイ騒いだ。
その数日後。
大介の頭の上に虹が見えた。
「おい! 大介! お前の頭の上に虹が出てるぞ!」
「何いってんだよ! そんな訳ねぇだろ~!」
「本当だって! お前、鏡見て見ろよ!」
「……なんもねーじゃんか! 冗談ばっか言うなよな!」
その時。
俺は本当に大介の頭の上に【虹】が見えていた。
それなのに他の奴らには……本人ですら、その【虹】が見えていない。
一体、どういう事だ?
俺の目がおかしくなったのか?
その当時は、かなりパニックになったのを今でも覚えている。
それから、小学校の時には直也や涼子。
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皆、【虹】を指差した数日後。
頭上に【虹】が出来るんだ。
まるで。
それが死刑宣告かのように……
え?
どういう事だって?
それは……【虹】が頭上に出た人間は皆。
その日のうちに、事故や突発的な要因で死亡したんだ。
よく虹を指差すと手が腐るだとか。
不幸な目に遭うだとか。
色々な迷信があるけれど。
虹は神霊の渡る橋とも言われている。
そして、指を指すという事は無礼であり、攻撃を意味する。
神聖なる虹を指差す事は、大きな祟りがあってもおかしくはない。
だが、無邪気な気持ちで何の悪気もなく指差した俺の子供は……?
「パパァ! 虹だよぉ! 虹!」
嬉しそうに指を指す我が子の姿を俺は、ただ愕然としながら見つめるしかなかった。
大空に架かる大きな虹が、厭な光を我が子に注ぐのを。
その虹が、まるで蛇のように我が子に纏わりつくような幻覚を見ながら。
ただ茫然と、そこに立ち尽くすのであった。
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