百談

壽帝旻 錦候

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第一話【耳鳴り】

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キィーーーーーーーン!



まただよ……

皆だって、よくあるだろ?
ほら、トンネルに入った時、エレベーター、飛行機に乗った時に感じる“耳鳴り”。
あの独特の耳の閉鎖感。
それに伴って、何か変な音が響くような……
あの“感じ”が、何もしていない時、寝ている時、遊んでる時。
どんな時でも、いきなり突然、“ソレ”は来る。


キィーーーーーーーン!





くぅぅぅ!
何度来ても慣れないぜ!
この閉鎖感に、この頭に響く感じ。

しかも、これが来るって事は……




キィィィィィィ!
ドンッ!


「きゃぁぁぁぁ!」
「うわぁぁぁぁ!」
「人が撥ねられたぞ!」
「救急車! 救急車を呼べ!」

ほらね。
絶対に、事故か何か起きるんだ。
今、撥ねられた人。
ありゃぁ、もうダメだね。
この“耳鳴り”が来た時は、絶対に……

“誰かが死ぬ”

ほんと、こんな能力、いらねーよな。
何の役にも立たねぇ。
しかも、この後、頭ガンガンするんだよ。
前頭葉がバグンッ! バグンッて!
脈打つようにさ。
あぁ……もう。
今日は帰ったら、さっさと寝よう。

改札口を通って、ホームへ行く。
丁度、電車が来た時だったらしい。
大勢の人が電車から降車してくる。
ここから、自分の住むアパートの最寄り駅までは、電車で十五分もかからない。
立っていても、まぁ、なんとか大丈夫。
そう思い、並んでいる人の一番後ろにつき、痛む頭を押さえながら、ゆっくり足を進める。

とにかく、早く布団に横になりたい……

その痛みからか、早く帰りたい焦りからか、俺の感覚が鈍っていた。


ボォォォォォォォォオン!



耳鳴りが鳴る『前触れ』ってやつ?
あれをいつもなら、感じていた筈なのにな。



キィーーーーーーーン!



電車に乗り込んで直ぐに、その【耳鳴り】はやってきた。

俺は


“あぁ……”


と思った。

“今回は俺……いや……俺達の番か……”



そう感じた瞬間。



フォァァァァァァァァッァン!




大きな警鐘の後




キィィィィィィィィィィィ!




という、つんざくようなブレーキ音。

大勢の悲鳴。



次の瞬間、強い衝撃の中、俺の視界は真っ暗になった。

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