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9 止められない衝動⭐︎
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「……智紀?」
「なんだ?」
「いや……雰囲気が……違うというか……」
梶と高級そうな店に入って、食事や酒を楽しんだ。
だいぶ酒も進んだところで、お互いの深い話になった。
梶のモテ自慢でも聞いてやろうかと、佐倉は話題を振ってみたが、それが自分に返ってきた。
酒の勢いもあって、一人で抱え込んでいたことがポロッと口から出てしまった。
すると今まで男同士、ざっくばらんに話している雰囲気だったのに、梶の態度が変わってしまった。
同じアルファだから何となく感じ取ってしまったが、まるでオメガのフェロモンに誘発されているように見えてしまった。
「俺のアルファ性も特殊なんだ」
「特殊?」
「オメガには反応しない。催淫フェロモンを受けても、誘発されないんだ。つまりコントロールできる。アルファの完全型というやつで、こっちもまぁ、あまり知られていない」
バース性については研究も進んでいるが、まだまだ日々新しい発見もあって、未知の部分が多いとされている。
義務教育で子供の頃から学ぶのは、ごく一般的なことで、みんな自分の性が分かれば、他の性について詳しく知ろうなんて者は少ない。
不完全でフェロモンに誘発されない佐倉と、完全にフェロモンをコントロールできる梶。
大きく分ければ、どちらも発情しないタイプと言えるが、ここまできたら佐倉の頭では理解できなくなっていた。
「……ええと、じゃあ、俺と同じで発情はしないってことなのか?」
「いや、車のブレーキと同じだ。オメガの匂いは感じるし、アクセルを踏むか踏まないか、それを自分で決めることができる」
「それは……便利だな」
薬によって発情期や、フェロモンをコントロールできるようになったオメガと違って、フリーのアルファは催淫フェロモンを浴びたら、強制的に興奮状態、ラットになってしまう。
アルファの場合、フェロモンに耐性をつける抑制剤はあまり効かないらしい。
自制を失い、暴力的になることもあるので、それを嫌って薬を過剰に摂取する者もいるという。
基本的には番を持てば解決することが多いのだが、こればかりは誰でもすぐにできるというわけでもない。
アルファとしての優秀さを持ち、性衝動も自分の意思でコントロールできるのは、他のアルファからしたら、羨ましく思えるだろう。
「でも……何でだろうな」
「え?」
「未春……、お前の匂いを感じる」
「それは……俺も微弱だけど、アルファのフェロモンは出ているから……」
アルファ同士でもお互いのフェロモンを感じる。
ただ、これは催淫とかではなく、アルファとしての上下関係を感じる匂いに近い。
強いフェロモンを感じたら、近寄りがたい恐怖を感じるのだ。
「初めて会った時、ベータではないがオメガでもなく、アルファとも言えない。不思議な匂いを感じた。混合型というのが、その答えなのか分からないが……日に日に未春の匂いが濃くなっている」
「えっ、自分ではそんなの……全然……」
全然感じないと言おうとして顔を上げたら、梶の強い視線に射抜かれてしまった。
ビクッと体が揺れて、手が震えてしまった。
おそらく強者のアルファのフェロモンに、本能的な恐怖を感じたのだろうと思った。
背中にじっとりとした汗を感じて、喉に渇きを感じた。
「ちょっ、ちょっと、トイレに……」
その場にいられなくて、梶の視線から逃れるように佐倉は席を立った。
個室にトイレまで付いている造りなのはありがたかった。
佐倉は洗面所に飛び込んで、蛇口をひねって水を流した。
そのまま手ですくってから、バシャバシャと顔にかけた。
なぜか分からないが、体が熱くて喉が渇いて仕方がなかった。
久々に酒を飲んだせいかと思ったが、こんな酔い方などしたことがない。
ならば体調が悪かったのかと思うしかないのだが、どうすればこの動悸が治るのかが分からない。
吐き気はないので、吐けば楽になるのかも分からない。
ただただ、急激に熱が上がっていく体に心が追いついていかなくて、荒い息をして混乱していた。
「……っっ!!」
頭が沸騰しそうな熱さに、息を吐いて耐えていた佐倉は、鏡に映った自分の顔を見て息を呑んだ。
頬と目元は高揚したように赤く染まっていた。
目は潤んでいて、悲しくもないのに涙が溢れてきそうだった。
「こ……これは……」
例えるなら、オメガがヒートになった時のようだ。
倒れ込むように鏡に手をついたら、そこだけ真っ白に変わったので、再び息を呑んだ。
「どういうことだ……。体が……、何だこれは……」
「未春」
洗面台に頭をついて息を吐いていたら、背後から聞こえてきた声にビクッと肩を揺らした。
いつの間にか、すぐ後ろに梶が立っていた。
「すまない。……悪酔い……したみたいなんだ」
「そうか……、なら俺も悪酔いしたらしい」
「え? ……なっ、うわっっ」
背中にぺったりとくっ付かれて、頸の匂いを嗅がれてしまった。
鼻を鳴らす音がすぐ近くで聞こえて、ゾクゾクと痺れを感じた。
「やめろっ、……にしてん……だよ」
「未春のフェロモンが濃過ぎて、頭がおかしくなりそうだ」
「えっ……」
「ここが一番強い……嗅いでるだけで昇天しそうだ。ほら、コレ、分かるだろう?」
「あっ……うそっ……だろ、えっ……」
尻のあたりに熱くて硬いものを押し付けられた。
それが何だかはすぐに分かった。
布越しにぐりぐりと尻の間で擦られて、佐倉は変な声を漏らしそうになった。
驚き過ぎて言葉が出てこない。
しかも嫌悪感など全く感じなくて、その熱に煽られて、佐倉の体ももっと熱くなった。
「俺だって驚いているんだ。まさか、外でこんな風になるなんて……ありえない」
梶の言葉に違和感を覚えた。
外ではありえない、というのはどういうことだろう。茹でられたように熱くなった頭でぼんやり考えていた。
「だっ……て、コントロール……できるって……」
「ブレーキもアクセルも効かない。こんな風になったのは初めてだ。アルファとかじゃない。お前の……未春のフェロモンに反応しているんだ」
「なんだよそれ……、って、おいっ。そんなに、擦るなっ」
「悪い……もうヤバいんだ。おかしくなる……」
「っっ……」
お互いズボンを履いたままだが、まるで本当にしているみたいに梶は佐倉の尻に自身を押し当てて擦ってきた。
逃げなければと思うのに、梶のソレがどんどん硬くなっていくのが嬉しいと思ってしまった。
それだけじゃない。
布越しではなく、直に感じたいとまで思ってしまい、佐倉はブンブンと頭を振った。
「やめろっ、やめろって。これ以上は冗談じゃすまされないぞ」
「冗談じゃないって言ったら?」
同じくらいの体格なのに、梶の力は強くて、ジタバタと逃れようとしたが、後ろから抱き込まれて動けなかった。
梶の手がシャツの間に入って、胸の頂を摘まれて、ひぃぃと声を上げて息を呑み込んだ。
「や……だ……だめ、やめろ……あ、……そんな……だめだっ……っっんんっ……んあっっ」
ない胸を揉まれながら、頂を人差し指と中指で挟まれて、前後にぐりぐりと刺激された。
思わず声を漏らすと、今度は指先で叩くように激しく弄られたので、もうたまらなかった。
「ばっ……か、なに…すんだっ」
「未春、可愛い声を出すんだな。まるで女のオメガみたいだ」
「んっな、わけない! 俺は……アルファだ」
「そうか、じゃあ、確かめてみよう」
いつの間に外していたのか、梶はすでに佐倉のベルトを外していて、それを邪魔そうにスルリと抜いた。
「ま……まさか、うそ、それはだめだって」
流れるようにチャックを下されて、ぐっと後ろに引っ張られたと思ったら、後ろが空気に触れている感覚がした。
ありえない予感を感じた佐倉は、青くなってバタバタと暴れたが、大きな手で尻を掴まれたら力が抜けてしまった。
「ひっぃ、ま、待って……んんっ」
梶の長い指が尻の間をなぞって、孔にたどり着いた時、佐倉は痛みが襲ってくると思い身を凍らせた。
ところが、佐倉の孔は何もしていないのに、ずぶりと梶の指の侵入を許して、それどころか奥まで誘い込むように中が痙攣した。
「はっ、なんて柔らかさだ。それにびしょ濡れじゃないか。ここは立派なオメガだぞ。未春はオメガとヤる時、いつもここをユルユルにして濡らしてたのか?」
「そ、そ、そんなっ、嘘だ……ありえない」
佐倉はブンブン頭を振って否定したが、梶は遠慮なく指を突き入れて奥まで入れてしまった。
痛みなんて少しもない。
かわりに強烈な快感が後ろから込み上げてきて、佐倉は歯を食いしばって堪えた。
「奥まで飲み込んでいくぞ。これならすぐに挿入りそうだ」
「な、な、なにを!?」
「……そんなの、決まってんだろう」
孔にピタリと当てられた硬いモノ感じて、佐倉の頭は真っ白になった。
誰かを受け入れたことなどない。
固く閉ざしていたはずの蕾が、抵抗なく開いて、押し当てられたモノを感じたら、体は歓喜に沸いてもっと熱くなった。
しかし心は追いついていかない。
嘘だ、信じられない、だめだ、逃げないと
その言葉がぐるぐると頭を回っていた。
「未春……挿入りたい」
梶も、まるでラットでも起こしているかのように興奮していた。
その状態で最後の理性が働いたのか、懇願するように佐倉の許可を得ようとして動きを止めていた。
こんなこと信じられない。
やめるべきなのに、体は梶を欲しがっている。
今すぐぶち込まれたいと、知らないはずなのに腹の奥が疼き出した。
そこで佐倉が鼻から大きく息を吸ったとき、思い切り梶のフェロモンを吸い込んでしまった。
吐きそうなほど濃くて、全身が痛いくらいに痺れた。
気持ちいい
他のことなど全部飛んでしまって、頭の中にその言葉しか残らなかった。
これはヒートなのだろうか。
気持ちいいことしか考えられなくなった。
欲しくて欲しくてたまらない。
嫌なことも辛いことも、自分が犯した過ちですら、全部心の中から消えてしまった。
今日だけ、今だけ……
気持ちいいことに、溺れたい
「つっ……智紀……、いい……」
「え?」
「……挿入れろ、……てくれ」
佐倉は自分を何重にも鎖で縛って生きていた。
大事なものを壊してしまったから、もう二度と何も傷つけないように、体ごとまとめて太い鎖でぐるぐる巻きにした。
残りの人生は重い鎖を背負って、生きていくんだと、そう思っていた。
「未春……」
その鎖が灼熱の杭に打たれて、ブチブチと音を立てて引き千切れていく。
「ああああっ……ああっ、くっっっぁぁ……うっ、くっっーーーー!!」
腸壁を太くて硬いモノで擦られて、感じるのは痛みではなく快感だけだ。
気持ち良すぎて苦しい。
息を吐いて声を出さないと、意識を失ってしまいそうだった。
ゴリゴリと壁を押し広げながら、梶は佐倉の中を食い尽くしていく。
佐倉は鏡に手をついて、快感に喘いだ。
どんどんと声が漏れてしまい、口を閉じてなどいられなかった。
ふと開いた目が、鏡に映る自分の姿をとらえた。
そこには快感にのぼせた顔で、涎を垂らして喘いでいる男が映っていた。
お前は誰なんだ。
どこか遠くかららそう問いかけてくる自分の声が、ぼんやり聞こえてきた気がした。
□□□
「なんだ?」
「いや……雰囲気が……違うというか……」
梶と高級そうな店に入って、食事や酒を楽しんだ。
だいぶ酒も進んだところで、お互いの深い話になった。
梶のモテ自慢でも聞いてやろうかと、佐倉は話題を振ってみたが、それが自分に返ってきた。
酒の勢いもあって、一人で抱え込んでいたことがポロッと口から出てしまった。
すると今まで男同士、ざっくばらんに話している雰囲気だったのに、梶の態度が変わってしまった。
同じアルファだから何となく感じ取ってしまったが、まるでオメガのフェロモンに誘発されているように見えてしまった。
「俺のアルファ性も特殊なんだ」
「特殊?」
「オメガには反応しない。催淫フェロモンを受けても、誘発されないんだ。つまりコントロールできる。アルファの完全型というやつで、こっちもまぁ、あまり知られていない」
バース性については研究も進んでいるが、まだまだ日々新しい発見もあって、未知の部分が多いとされている。
義務教育で子供の頃から学ぶのは、ごく一般的なことで、みんな自分の性が分かれば、他の性について詳しく知ろうなんて者は少ない。
不完全でフェロモンに誘発されない佐倉と、完全にフェロモンをコントロールできる梶。
大きく分ければ、どちらも発情しないタイプと言えるが、ここまできたら佐倉の頭では理解できなくなっていた。
「……ええと、じゃあ、俺と同じで発情はしないってことなのか?」
「いや、車のブレーキと同じだ。オメガの匂いは感じるし、アクセルを踏むか踏まないか、それを自分で決めることができる」
「それは……便利だな」
薬によって発情期や、フェロモンをコントロールできるようになったオメガと違って、フリーのアルファは催淫フェロモンを浴びたら、強制的に興奮状態、ラットになってしまう。
アルファの場合、フェロモンに耐性をつける抑制剤はあまり効かないらしい。
自制を失い、暴力的になることもあるので、それを嫌って薬を過剰に摂取する者もいるという。
基本的には番を持てば解決することが多いのだが、こればかりは誰でもすぐにできるというわけでもない。
アルファとしての優秀さを持ち、性衝動も自分の意思でコントロールできるのは、他のアルファからしたら、羨ましく思えるだろう。
「でも……何でだろうな」
「え?」
「未春……、お前の匂いを感じる」
「それは……俺も微弱だけど、アルファのフェロモンは出ているから……」
アルファ同士でもお互いのフェロモンを感じる。
ただ、これは催淫とかではなく、アルファとしての上下関係を感じる匂いに近い。
強いフェロモンを感じたら、近寄りがたい恐怖を感じるのだ。
「初めて会った時、ベータではないがオメガでもなく、アルファとも言えない。不思議な匂いを感じた。混合型というのが、その答えなのか分からないが……日に日に未春の匂いが濃くなっている」
「えっ、自分ではそんなの……全然……」
全然感じないと言おうとして顔を上げたら、梶の強い視線に射抜かれてしまった。
ビクッと体が揺れて、手が震えてしまった。
おそらく強者のアルファのフェロモンに、本能的な恐怖を感じたのだろうと思った。
背中にじっとりとした汗を感じて、喉に渇きを感じた。
「ちょっ、ちょっと、トイレに……」
その場にいられなくて、梶の視線から逃れるように佐倉は席を立った。
個室にトイレまで付いている造りなのはありがたかった。
佐倉は洗面所に飛び込んで、蛇口をひねって水を流した。
そのまま手ですくってから、バシャバシャと顔にかけた。
なぜか分からないが、体が熱くて喉が渇いて仕方がなかった。
久々に酒を飲んだせいかと思ったが、こんな酔い方などしたことがない。
ならば体調が悪かったのかと思うしかないのだが、どうすればこの動悸が治るのかが分からない。
吐き気はないので、吐けば楽になるのかも分からない。
ただただ、急激に熱が上がっていく体に心が追いついていかなくて、荒い息をして混乱していた。
「……っっ!!」
頭が沸騰しそうな熱さに、息を吐いて耐えていた佐倉は、鏡に映った自分の顔を見て息を呑んだ。
頬と目元は高揚したように赤く染まっていた。
目は潤んでいて、悲しくもないのに涙が溢れてきそうだった。
「こ……これは……」
例えるなら、オメガがヒートになった時のようだ。
倒れ込むように鏡に手をついたら、そこだけ真っ白に変わったので、再び息を呑んだ。
「どういうことだ……。体が……、何だこれは……」
「未春」
洗面台に頭をついて息を吐いていたら、背後から聞こえてきた声にビクッと肩を揺らした。
いつの間にか、すぐ後ろに梶が立っていた。
「すまない。……悪酔い……したみたいなんだ」
「そうか……、なら俺も悪酔いしたらしい」
「え? ……なっ、うわっっ」
背中にぺったりとくっ付かれて、頸の匂いを嗅がれてしまった。
鼻を鳴らす音がすぐ近くで聞こえて、ゾクゾクと痺れを感じた。
「やめろっ、……にしてん……だよ」
「未春のフェロモンが濃過ぎて、頭がおかしくなりそうだ」
「えっ……」
「ここが一番強い……嗅いでるだけで昇天しそうだ。ほら、コレ、分かるだろう?」
「あっ……うそっ……だろ、えっ……」
尻のあたりに熱くて硬いものを押し付けられた。
それが何だかはすぐに分かった。
布越しにぐりぐりと尻の間で擦られて、佐倉は変な声を漏らしそうになった。
驚き過ぎて言葉が出てこない。
しかも嫌悪感など全く感じなくて、その熱に煽られて、佐倉の体ももっと熱くなった。
「俺だって驚いているんだ。まさか、外でこんな風になるなんて……ありえない」
梶の言葉に違和感を覚えた。
外ではありえない、というのはどういうことだろう。茹でられたように熱くなった頭でぼんやり考えていた。
「だっ……て、コントロール……できるって……」
「ブレーキもアクセルも効かない。こんな風になったのは初めてだ。アルファとかじゃない。お前の……未春のフェロモンに反応しているんだ」
「なんだよそれ……、って、おいっ。そんなに、擦るなっ」
「悪い……もうヤバいんだ。おかしくなる……」
「っっ……」
お互いズボンを履いたままだが、まるで本当にしているみたいに梶は佐倉の尻に自身を押し当てて擦ってきた。
逃げなければと思うのに、梶のソレがどんどん硬くなっていくのが嬉しいと思ってしまった。
それだけじゃない。
布越しではなく、直に感じたいとまで思ってしまい、佐倉はブンブンと頭を振った。
「やめろっ、やめろって。これ以上は冗談じゃすまされないぞ」
「冗談じゃないって言ったら?」
同じくらいの体格なのに、梶の力は強くて、ジタバタと逃れようとしたが、後ろから抱き込まれて動けなかった。
梶の手がシャツの間に入って、胸の頂を摘まれて、ひぃぃと声を上げて息を呑み込んだ。
「や……だ……だめ、やめろ……あ、……そんな……だめだっ……っっんんっ……んあっっ」
ない胸を揉まれながら、頂を人差し指と中指で挟まれて、前後にぐりぐりと刺激された。
思わず声を漏らすと、今度は指先で叩くように激しく弄られたので、もうたまらなかった。
「ばっ……か、なに…すんだっ」
「未春、可愛い声を出すんだな。まるで女のオメガみたいだ」
「んっな、わけない! 俺は……アルファだ」
「そうか、じゃあ、確かめてみよう」
いつの間に外していたのか、梶はすでに佐倉のベルトを外していて、それを邪魔そうにスルリと抜いた。
「ま……まさか、うそ、それはだめだって」
流れるようにチャックを下されて、ぐっと後ろに引っ張られたと思ったら、後ろが空気に触れている感覚がした。
ありえない予感を感じた佐倉は、青くなってバタバタと暴れたが、大きな手で尻を掴まれたら力が抜けてしまった。
「ひっぃ、ま、待って……んんっ」
梶の長い指が尻の間をなぞって、孔にたどり着いた時、佐倉は痛みが襲ってくると思い身を凍らせた。
ところが、佐倉の孔は何もしていないのに、ずぶりと梶の指の侵入を許して、それどころか奥まで誘い込むように中が痙攣した。
「はっ、なんて柔らかさだ。それにびしょ濡れじゃないか。ここは立派なオメガだぞ。未春はオメガとヤる時、いつもここをユルユルにして濡らしてたのか?」
「そ、そ、そんなっ、嘘だ……ありえない」
佐倉はブンブン頭を振って否定したが、梶は遠慮なく指を突き入れて奥まで入れてしまった。
痛みなんて少しもない。
かわりに強烈な快感が後ろから込み上げてきて、佐倉は歯を食いしばって堪えた。
「奥まで飲み込んでいくぞ。これならすぐに挿入りそうだ」
「な、な、なにを!?」
「……そんなの、決まってんだろう」
孔にピタリと当てられた硬いモノ感じて、佐倉の頭は真っ白になった。
誰かを受け入れたことなどない。
固く閉ざしていたはずの蕾が、抵抗なく開いて、押し当てられたモノを感じたら、体は歓喜に沸いてもっと熱くなった。
しかし心は追いついていかない。
嘘だ、信じられない、だめだ、逃げないと
その言葉がぐるぐると頭を回っていた。
「未春……挿入りたい」
梶も、まるでラットでも起こしているかのように興奮していた。
その状態で最後の理性が働いたのか、懇願するように佐倉の許可を得ようとして動きを止めていた。
こんなこと信じられない。
やめるべきなのに、体は梶を欲しがっている。
今すぐぶち込まれたいと、知らないはずなのに腹の奥が疼き出した。
そこで佐倉が鼻から大きく息を吸ったとき、思い切り梶のフェロモンを吸い込んでしまった。
吐きそうなほど濃くて、全身が痛いくらいに痺れた。
気持ちいい
他のことなど全部飛んでしまって、頭の中にその言葉しか残らなかった。
これはヒートなのだろうか。
気持ちいいことしか考えられなくなった。
欲しくて欲しくてたまらない。
嫌なことも辛いことも、自分が犯した過ちですら、全部心の中から消えてしまった。
今日だけ、今だけ……
気持ちいいことに、溺れたい
「つっ……智紀……、いい……」
「え?」
「……挿入れろ、……てくれ」
佐倉は自分を何重にも鎖で縛って生きていた。
大事なものを壊してしまったから、もう二度と何も傷つけないように、体ごとまとめて太い鎖でぐるぐる巻きにした。
残りの人生は重い鎖を背負って、生きていくんだと、そう思っていた。
「未春……」
その鎖が灼熱の杭に打たれて、ブチブチと音を立てて引き千切れていく。
「ああああっ……ああっ、くっっっぁぁ……うっ、くっっーーーー!!」
腸壁を太くて硬いモノで擦られて、感じるのは痛みではなく快感だけだ。
気持ち良すぎて苦しい。
息を吐いて声を出さないと、意識を失ってしまいそうだった。
ゴリゴリと壁を押し広げながら、梶は佐倉の中を食い尽くしていく。
佐倉は鏡に手をついて、快感に喘いだ。
どんどんと声が漏れてしまい、口を閉じてなどいられなかった。
ふと開いた目が、鏡に映る自分の姿をとらえた。
そこには快感にのぼせた顔で、涎を垂らして喘いでいる男が映っていた。
お前は誰なんだ。
どこか遠くかららそう問いかけてくる自分の声が、ぼんやり聞こえてきた気がした。
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