ハコ入りオメガの結婚

朝顔

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⑦ 君塚家【客室ベッド】※※※

「はぁ……はぁ……ァァ………いっ………ぁあ……」

 体の奥で灼熱の塊が揺れる度に、とてつもない快感が体を突き抜ける。
 魂まで丸ごと溶けてしまうような熱は、絶え間なく解放を求めていて、こみ上げてきた快感に弾けたのを意識の向こうで感じた。

「ふふっ、今度はちょっとだけ出ましたね。ここを擦るとすぐにイってしまうから可愛いです」

「んっ……ぁぁっ、こっ……あれ……」

 ぼんやりした視界がクリアになっていき、薄明かりの下に佳純の顔が浮かんできた。
 興奮したように頬を染めて切なげに細めている目がなんとも色っぽい。
 そんな顔をして、なぜ俺を見下ろしているのかと思ってしまった。

「き……きみ……づかさ……これは……?」

 なんとか声を絞り出したら、ひどく掠れていて、ほとんどまともな発音が出てこなかった。

「ん? もしかして……、気がつきました?」

「は……はい、………えっ、ななっ何? おしり……え? はいって……!?」

 記憶が混濁していて、今自分がどんな状況なのか全く理解できない。
 ただ、まるで感じたことのないくらいの強烈な快感の波が下半身から押し寄せてきて、そこに目を向けたら驚きの光景に息を呑んでしまった。

「ここ、ですか? 反応が初々しくていいですね。でも、ここは、もうすっかり私の形になってしまいましたよ。だってもう、三日もしているのですから」

「へっ!? みみみ三日!?」

「あっ……だめ、だめです。今は動かないで、無理に抜こうとすると、傷ついちゃいます」

「えっ……あっ……あぁっ」

 ぼんやりしていた意識が完全に戻ってきた。体を引こうとしたら、動くなと言われたのでそのまま動きを止めた。
 辺りを見渡して見ると、そこは俺が逗留用に借りている客用の部屋だった。
 そしてベッドの上でライトに照らされて見えるのは、一糸纏わぬ姿の俺と佳純だった。
 ベッドに寝転んだ俺は足を開いていている状態で、お尻の後ろの孔には佳純の陰茎が挿入されていた。
 信じられない光景で、しかも尻の奥ではどくどくと絶えず何か、アレかソレが動いているので思わず声を漏らしてしまった。

「今、射精中なんです。すみません……、発情期のオメガの体内に挿入ると、フェロモンの影響でしばらく止まらないんです」

「しばらくって……どれくらい?」

「三十分……くらい? ですかね」

「さっ!? さっ………」

 もう、最後の方は声にならなかった。
 色んな状況と情報が一気に頭に雪崩れ込んできて、完全にオーバーヒート状態だ。
 何から整理したらいいか分からない。

「アルファの男性器には、挿入時にノットと呼ばれる根元が膨らむ部分があって、無理に引き抜こうとすると……」

「あっ…ああの、それは……分かりました」

 こんな状態なのにあれだが、そっちのリアルな話は置いておいて、なぜこんなことになっているのか最初から思い出すことにした。

 今何をしているかと言えば、セックスと言われるもので、一般的には愛する者同士が愛を交わす行為だ。
 俺の記憶の最後は、この部屋でキスを交わしたところ。
 なぜキスをしたかと言えば、佳純が俺の提案を受け入れてくれて、しかもビジネスではなく、ちゃんと気持ちのある関係にしたいと言ってくれた。

 それで、そういう事に………はそうなんだが
 その前に……三日間とは……

「あっ、俺……発情して……」

「よかった、そこを思い出していただけたんですね。無理やりしてしまったと思われたらどうしようかと思いました」

「そ、そんなっ、無理やりだなんて。俺は君塚さんがいいから……ぁ………んっっぁ」

 佳純の腕を掴んで誤解はしていないのだと訴えたら、中にいる佳純が急に大きくなって、そこがぐっと押される感覚に思わず声を上げてしまった。

「君塚さ……あんまり、おっきくしないで……」

「すみません……諒さんがあんまり可愛くて……」

 俺の顔の横に手をついた佳純は赤い舌を出して、ペロペロと俺の唇を舐めてきた。
 なんて卑猥な光景なんだと、胸が爆発しそうなくらいドキドキと揺れていた。
 どうしようかと思ったが、俺も応えるように舌を出した。
 ぴちゃぴちゃと音を鳴らしながら、お互いの舌を絡めて、こぼれ落ちた唾液まで佳純は舐めとっていく。


「んっ……んっ、はぁ……まっ……きみず……かさ……」

 発情の残りが刺激されて下半身に熱が溜まっていく。
 腹の上に水溜りのように溢れたモノを見て、驚いてしまった。

「三日って……ずっとこのまま?」

「ああ、それはですね。気を失うまですると、諒さんは寝てしまうので、その後お風呂に入れたりして、私も体を休めていました。諒さんは起きると、すぐに発情モードで私にしがみついて離れなくなるので、そうしたらまたベッドへ……の繰り返しですね」

「うわっ……ああ……俺はなんて……記憶が全然……」

「気になさらないでください。むしろこうやって諒さんと発情期を過ごせて、本当に嬉しく思っているんです。こんな風に心から、触れ合いたいと思ったのは初めてです。私の特性まで崩れてしまったのですから」

 ずいぶんと迷惑をかけてしまったらしい。
 考えたらあれはどうしたのかなど色々と浮かんでくるが、知るのが恐くて飲み込むことにした。

 こんな風に話している間も、俺の腹の中でどくどくと流れ続けているモノを感じるのだから、何と言っていいのか分からない。

「……それより、また君塚に戻ってしまうのは悲しいです」

「え?」

「ずっと、佳純と呼んでくれていたのですよ。私も諒と呼ぶと、すごく喜んでくれました」

「わ、私がですが!?」

 発情期のオメガは脳が快感に支配されてしまうので、動物的な本能で交尾することしか頭になくなってしまう。
 安定的な番関係のある者同士であれば、ある程度理性を保てると聞いたことがあるが、番のいないフリーのオメガは特にその状態に入りやすく、その間の記憶はほとんど残らない。
 この辺りのことは、学校のバース性の授業で誰もが学んでいることなので、佳純も知っているはずだ。
 それでも本当に悲しそうな顔をするので、胸がトクンと揺れてしまった。
 もっと無表情な人だと思っていたのに、こんなに豊かだったなんて知らなかった。

「………分かりました。今度からそう呼ばせていただきます。それで……あの、まだ……終わらない、のですか?」

 まともに話していながら、そこがドクドクと揺れる度に、小さな快感が止むことなく突き上がってくる。
 さすがに中がどうなっているのか不安になってきてしまった。

「あと……少しだけ、出してもいいですか? アルファの射精は長いですけど、最後に出し切る時に一番強烈な快感が訪れるんです」

「んっ、は……はい。でも、あの……お腹がぱんぱんになったら、どうしようかと……」

 三十分も出し続けられるなんて、どうなってしまうのかそれだけが心配になってしまった。

「大丈夫です。量はそんなに出ないので、毎回私がお風呂で掻き出して……」

「わーーー! もーいーです。分かりました」

 想像するだけで恥ずかしくなって、手で顔を覆った。
 綺麗にしてもらったのだから文句は言えないのだが、そんなところまで触れられるなんて、変なプレイみたいに思えて恥かしさしかない。

「それよりこうやって注ぎ込んでも、体の方は……」

「……はい、ご存じだと思いますが、抑制剤には避妊効果があって、効力が消えるのが二週間くらいで、普段から飲んでいますから、今回の行為では……おそらく子ができることはないです」

 発情期のオメガは最も妊娠しやすい時期だとされていて、この期間に精を受ければほぼ確実に妊娠すると言われている。
 しかし、フェロモンが関係しての望まない妊娠の可能性もあり、抑制剤には完璧ではないらしいが避妊の効果が取り入れられることになった。
 妊娠を希望する時は、それ用の薬が用意されている。
 三日間、どれだけの精を受けたか分からないが、今回のことで子ができる確率はほとんどないだろう。

「そこはあくまで私の望みだけですから、必ずそうして欲しいわけではありません。こうして、二人で甘い時間を過ごせるだけで十分です。祖母もきっと、諒のことを紹介したら、大喜びするに違いありません」

 さりげなく、諒と呼ばれて胸がドキッとしてしまった。
 私も早く会いたいですと言いながら、胸が高鳴ってしまった。
 佳純が俺の名前を呼んでわずかに頬を染めたので、それを見たら俺もカッと熱くなってしまった。

「佳純………んんっぁ」

 俺も呼びたいと思って名前を呼んだら、また中の佳純が大きく膨らんだ。
 圧迫感が増すのだと佳純の目を見て訴えようとしたら、佳純の顔が近づいてきて、また唇を奪われた。

 今度は鳥のキスのような、軽く何度も唇を合わせて遊んでいるようなキスで俺を翻弄してしまう。

「はっ……くっっ……諒、そろそろ……最後まで出したくなってきました」

「あ、んんっ……はい……」

 どうすればいいのか分からなくて、とにかく佳純の首に腕を回してしがみついた。

「な……まえ、呼んで………」

「佳純……」

「あっ……くっ………諒……んっ、うっっ!!」

「んっ………っっ」

 佳純は最後まで出し切ったようだが、今までにないくらい腸壁に大量の飛沫を感じて、俺もぶるりと震えた。
 ビクビクと腰を揺らしてしまい、まるで雄を体内に飲み込もうとしているかのようにぎゅっと佳純を締め付けた。

 しばらくそのまま動かずに二人で荒い息をしながら抱き合っていたが、むくりと起き上がった佳純が自身をズルリと引き抜いた。

「あっ……あっああっ」

 考えたくないが大量のナニカが溢れているのを感じて思わずぎゅっと目を閉じた。

 気持ち悪さなんて微塵もなかった。
 体内にあるものも、溢れていくものも愛おしく思えて、自分はどうなってしまったのか恐ろしくなった。

「諒さん? 大丈夫ですか? また眠くなってしまいましたか?」

「んっ……疲れた……」

「ふふふっ……はははっ、素直で可愛いなぁ。いいですよ、眠っても。またお風呂に入れてしっかり綺麗にしますから」

「あり……がと……佳純、………とう」

「さあ眠り姫、ゆっくり眠って。でも起きたら、今度はちゃんと覚えていてくださいね」

「ん………か………すみ、…………き」

 もう指一本動かすことができない。
 急速に収まっていく熱。
 発情期の終わりはいつもドロドロに眠くてたまらない。
 濃厚な暗闇に飲まれていくように、意識を手放した。
 最後に何か言ったような気がするのだけれど、考える間もなく、眠りの世界へ落ちていった。








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