ハコ入りオメガの結婚

朝顔

文字の大きさ
8 / 19

⑧ 君塚家【広縁】

「なぁー、祭りとか行ったことないの?」

 君塚邸の大きな庭が望める広縁で、棒アイスを口に咥えたまま馴れ馴れしく話しかけてきたのは、佳純の幼馴染である椎崎だ。

 じめっとした熱さで溶け出したアイスがポタポタと垂れているのを全く気にする素振りがない。
 俺の隣でごろんと寝転びながら、今夜の祭りのことで話しかけてくるので、適当に返していたが疲れてしまった。

 俺はラップトップをパタンと閉じて、仕方なく話に付き合うことにした。

「………ありません。そういうところは、色んな人が来るし危険な誘いが多いからって」

「おいマジかー、同じ金持ちの家でも、佳純んところとはえらい違いだな。マジで箱入り息子ってやつだ」

 自分で分かってはいるが、他人から改めて指摘されると愉快な気持ちではない。
 バカにされたように感じてムッとしてしまった。

「ごめん、ごめん。怒らないでよ。明日帰るんだろう? せっかくだから記念に佳純と遊びに来てよ。俺、焼きそば作ってるからさー」


 この屋敷に留まることになった原因の大雨と強風が吹き荒れた天気はやっと終わった。
 というか、ちょうど終わったくらいに俺は発情してしまったので、部屋からでてまともに動けるようになった頃には、周囲の状況も回復していた。
 道路の倒木や崖崩れは修復されて通行止めは解除されて、鉄道も通常通り再開してた。

 山の中にある君塚陶器の窯元にも被害がなかったと聞いてホッとした。
 来週からいよいよ作業が開始されるらしく、佳純の仕事も忙しくなると聞いた。
 俺も一度会社に戻って、諸々報告をしないといけない。
 まずは婚約というかたちにして、佳純が本社に戻ってから籍を入れて、現当主である珠代氏の元に報告に向かうという流れを決めた。

 あの濃厚すぎる発情の期間を佳純と過ごして、まだ番にはならなかったが、俺の心と体はすっかり佳純に染まっている。
 離れてもどこにいるのか気にしてしまうし、これが恋なのだと痛いほど胸に熱く、火が灯っているのを感じていた。

「お前らさー、デキてんだろう?」

 ストレート過ぎる椎崎の物言いに、後ろの障子に頭をぶつけそうになった。
 この男が佳純の幼馴染で友人だというのがいまだに信じられない。
 素直な人なのだろうというのは分かるのだが。

「そう、ですね。正式にはまだですが、婚約というかたちになりました」

「へぇー、アイツがねぇ。レーカちゃんと以外とは結婚しないと思ってたぜ」

 その言葉にズキっと心臓が痛くなってしまった。
 確かに発情によって結ばれた俺達だが、玲香のことはずっと心に引っ掛かっていた。

 少なくとも十年は思い続けた恋心だったはずだ。
 それが昨日今日現れた俺を、多少いいと思ってくれたとしても完全に好きになるなんて思えない。

 同情心から抱いてくれたのではないか。

 その気持ちがこびりついて離れない。

 自分の気持ちが恋だと気がついてから、恐くてハッキリと聞くことができなくなってしまった。

「………椎崎さんは、佳純さんとは幼馴染なんですよね」

「ん? ああ、タイプが違い過ぎるから疑ってんだなぁ。アイツは小中とこっちの学校に通っていたから、ずっとクラスが一緒だったんだよ。町でも有名な名家のお坊ちゃんだし、みんなビビって話しかけられなかったんだよ。で、俺はそーゆーの気にしないし、他のやつにするようにヘラヘラ話しかけて、最初はウザがられたけど、仲良くなったってワケ」

「なるほど……」

 どう見てもチャラそうに見える椎崎と佳純の組み合わせが想像できなかったが、懐かれるように来られたら、優しい佳純のことだから受け入れたのだろうと思った。

「いつの頃からだったかな……。好きな人ができた、結婚の約束までしたって言い出して、本気かよって思っていたんだ。初恋だからずっとレーカちゃんを忘れられなかったってヤツだな」

「……………」

 忘れられない初恋の人。
 玲香とは考えが違ったと分かって、傷ついているはずだ。
 自分の欲のために、佳純を利用してしまったのではないか。
 そう思い始めたら、ズンと胸が重くなった。

「おっ、そんな顔してるってことは、家同士で決められたってワケじゃなくて、諒ちゃんの方は……ほうほう、そうか……」

 わけ知り顔になってニヤニヤと笑い出した椎崎を見て、またムッとして睨んだ。
 なんでこの男に自分の気持ちを見透かされるのか、そんなに分かりやすいのかと嫌になってしまう。

「お察しの通りですよ。それに、もしかして私がオメガだったことも気がついていますか?」

 なんとなく、ここにフラッと現れてから匂いを嗅がれている気がして、そんな予感がしていた。

「まぁね。俺、鼻がいいから、普段の微弱なフェロモンでもすぐに感知しちゃうからさ。それにしても、最近発情した? なんだか、甘ったるいのが微妙に残ってる」

 クンクンと鼻を鳴らして俺の匂いを嗅いできた椎崎に、こいつは犬かと思ってガッと後ろに飛び退いた。
 そんな俺を見て椎崎は、わりーわりーと言ってゲラゲラ笑った。

「恐ろしい嗅覚ですね。それ以上近寄らないでください……先週には終わって、今は落ち着いたところです」

「大丈夫だって。そんな弱いのじゃ誘発されないから。ってか、先週ってことは、もしかして佳純が相手をしたのか? そういえばアイツしばらく顔見せなかったな」

 ここにいる間の話なのだから、そういう想像も考えられるだろう。しかし、なぜそれを具体的に言わないといけないのか、恥ずかしくなって頬が一気に熱くなった。

「そっ、それは……、私のフェロモンのせいでご迷惑かけてしまったのは……確かに、そう……ですけど」

「ちょっと待て。フェロモンって、アイツが発情したのか!?」

「だって、それは……誘発されるかたちになれば、アルファなら……」

 話が噛み合わなくてお互い首を傾げる事態になっていた。腕を組んで考え出した椎崎はポンと手を叩いて顔を上げた。

「そうか、なんだ簡単なことだ。佳純も諒ちゃんが好きってことか。お互い両思いで良かったじゃないか」

「えっ! だっ……だって、それは……。全部、佳純さんの優しさです。俺に……同情してくれて、すごく優しい人だから……」

「家同士の約束だからって言いたいのか? 諒ちゃんー、優しい優しいってアイツのことを言ってるけど、言っておくけど愛想がいいのは上辺だけで、実際は気が向かないことは絶対にやらないし容赦なく切り捨てるタイプだぜ。それに今はお綺麗にしてすました顔をしてるけど、実は子供の時はもっとぽ……」

「篤史、何を話しているんですか?」

 いつの間にか縁側に続く部屋入り口に佳純が立っていて、氷のような目を椎崎に向けていた。
 分かりやすくビクッと肩を揺らした椎崎は、ゆっくり近寄ってきた佳純に、焦ったように笑顔を見せた。

「いやぁさ、今日の神社の祭りに、諒ちゃんを誘ってたのよ。もちろん、佳純と一緒においでってさ、ね! 諒ちゃん!」

「あ……ええと、そうですね」

「へぇ、まあいいです。篤史には後でじっくり話がありますから。それで、諒さんは祭りに行きたいのですか?」

「えっ……と」

 行ったことがない場所は不安だったが、椎崎が神仏でも拝むように手を合わせてくるし、何より佳純と一緒に出かけるということを考えたら、行きたい気持ちがむくむくと湧いてきてしまった。

「佳純さんと、一緒なら……」

 迷惑にならないかなと思いながら、少し声を控えめに出して佳純を見上げた。
 本格的に仕事が始まるのに、遊び歩けるわけないと断られてしまうかとビクビクしていた。

 佳純はまた貼り付けたような笑顔だったが、ゔゔーと謎の声を上げた後、椎崎の前にもかかわらず、がばっと俺を抱きしめてきた。

「何でしょう、この生き物は何ですか!?」

「俺に聞かれても知るか!」

 佳純の変な言葉に椎崎がすかさずツッコんだ。
 やはり幼馴染、息ぴったりだなと思っていたら、頭ごと抱えられて、頬でぐりぐりと擦られてしまった。
 これは喜んでいい反応なのか、俺はまだ戸惑っていた。

「……ったく、見せつけんじゃねーよ。俺の言った通りじゃないか」

「何の話ですか? というか、篤史はいつまでここにいるんですか? こういう時、気を使うものだと思いますけど」

 へいへいと言いながら、椎崎は重そうな腰を上げて、庭先に降りてそのまま出て行ってしまった。
 佳純の腕の間から、食べ終わった棒を口の端に咥えて、ニヤニヤしながら手を振っている椎崎の姿が見えた。
 よけいに恥ずかしくて赤くなってしまった。

「私の会議中に二人でお喋りなんて……篤史と何の話をしていたのですか?」

 お喋りというか、縁側で仕事をしていたら、庭から侵入してきた椎崎に話しかけられていた状態たった。

「あの……お二人の子供時代のお話とか……」

 気のせいかもしれないが、チッっと舌打ちの音が聞こえてきたような気がした。
 怒っているのかと思ったが、佳純の態度は変わらずに俺の頭を優しく撫でてきた。

「何を言ったか分かりませんが、半分冗談でできている男ですから気にしないでください」

 抱きしめられていると心臓の音が速いのが分かる。
 完璧に見えるこの人でも動揺したりすることがあるらしい。
 恥ずかしいだけか、よほど言えない過去でもあるのかと勘ぐってしまいそうだ。

「……お祭り、連れて行ってくれるんですか?」

「大したものじゃないですよ。地元の子供達が集まる小規模なものです」

「私は人の多いところにはあまり行ったことがなくて、それくらいがちょうどいいかもしれません。ちょっと不安ですけど、佳純さんがいてくれたら、どこにでも行けるような気がして……、すみません、いい歳して子供みたいなことを言って……」

 佳純はすぐに返事をしてくれなかったが、代わりに今までよりももっと強く、ぎゅっと抱きしめてきた。

「はぁ……昼間っから理性を試されているような気がします」

「え?」

 佳純がボソボソと呟いた声が聞こえなくて、佳純の口の近くに耳を寄せたら、耳にチュッとキスをされてしまった。

「んんっ……」

「あれ、可愛い声。耳が弱いんですか? あの時はお互い余裕がなかったですからね。これからじっくり諒さんの好きなところを探していきましょう………。ああ、楽しくてたまらない。本当に、もう、私に何をしたんですか?」

「私は……別に何も……」

 何かしたのなら佳純の方だ。
 二人きりでいると、心臓の音を聞かれてしまいそうなくらい激しく揺れているし、佳純の笑顔に胸の奥がキュッと苦しくなってしまう。
 冗談じゃなくてまた発情してしまいそうでぶるっと震えた。

「少しくらいいいですよね。私達はもう結婚するのですから」

「あ……佳純さ……んんっ……」

 佳純の腕の中にしっかりと包まれて、顎を持ち上げられたら、すぐに佳純の唇が降ってきた。
 人の唇がこんなに柔らかいものだなんて知らなかった。
 しっとりと重ねられて、伸びてきた赤い舌が俺の唇をこじ開けた。
 ゆっくりと迎入れたら、俺の反応を見るように口の中を舐められていく。
 時折、口の端から漏れる佳純の熱い息を肌に感じると、そこから溶けてしまいそうだと思ってしまった。

「ううぅ……ぁ……んっ………はぁ………ハァは……」

 ペチャペチャと舌に吸いついて舐め合う音が部屋に響き渡っている。
 キスがこんなに気持ちいいのだって知らなかった。
 お互いの肌を弄り合って、息をするのも忘れて唇を吸い合う。
 和装の佳純のソコは反応しているのか分からないが、俺の方はもうむくむくと勃ち上がってしまった。
 このまま擦り合えないかな、などと淫靡な欲にまみれたもので頭が埋め尽くされた時、トントンとドアをノックする音がした。

「佳純様、税理士事務所から電話で、至急確認して頂きたいことがあると……、後、関西支社から工場の視察について電話が……」

「んぁぁーーーー、良いところで次々と!」

 佳純は俺を縁側に押し倒して、アソコに手を這わせてきた。しかしそこで呼ばれてしまったので、頭を床に打ち付ける勢いで悔しがっていた。

「佳純さん、お仕事に戻らないと」

 佳純の腕の間からするりと逃れて、俺は上半身を起こした。もっとくっ付いていたいが、仕事先の人を待たせたら申し訳ない。

「うぅ諒さんまで……仕方ないですね。では、祭りですが、後で浴衣を持ってきますので、楽しみにしていてくださいね」

 名残惜しいように俺のおでこにキスをした後、佳純は音もなく優雅に立ち上がって部屋から出て行った。


「はぁ……、好きすぎておかしくなりそう」

 この気持ちはもう間違いなく好きで、でも今までろくに恋をしたことなく生きてきた俺は、この気持ちを伝えていいのか分からなかった。
 迷惑にならないだろうか。
 それに、もし温度差があって、嫌な顔をされてしまったら……。

 下半身に残る熱は、俺の気持ちと一緒でなかなか冷めそうもない。

 溢れてしまうくらいの好きを抱えきれずに、畳の上にこぼして歩く。

 佳純がそれを見つけて、俺の気持ちに気づいてくれたらいいのに。

 都合のいい妄想に頭を抱えたまま、日は落ちていき、夜の匂いが辺りを包んだ。
 祭りの始まる時間になった。







 □□□
感想 16

あなたにおすすめの小説

白い結婚を夢見る伯爵令息の、眠れない初夜

西沢きさと
BL
天使と謳われるほど美しく可憐な伯爵令息モーリスは、見た目の印象を裏切らないよう中身のがさつさを隠して生きていた。 だが、その美貌のせいで身の安全が脅かされることも多く、いつしか自分に執着や欲を持たない相手との政略結婚を望むようになっていく。 そんなとき、騎士の仕事一筋と名高い王弟殿下から求婚され──。 ◆ 白い結婚を手に入れたと喜んでいた伯爵令息が、初夜、結婚相手にぺろりと食べられてしまう話です。 氷の騎士と呼ばれている王弟×可憐な容姿に反した性格の伯爵令息。 サブCPの軽い匂わせがあります。 ゆるゆるなーろっぱ設定ですので、細かいところにはあまりつっこまず、気軽に読んでもらえると助かります。 ◆ 2025.9.13 別のところでおまけとして書いていた掌編を追加しました。モーリスの兄視点の短い話です。

歳上公爵さまは、子供っぽい僕には興味がないようです

チョロケロ
BL
《公爵×男爵令息》 歳上の公爵様に求婚されたセルビット。最初はおじさんだから嫌だと思っていたのだが、公爵の優しさに段々心を開いてゆく。無事結婚をして、初夜を迎えることになった。だが、そこで公爵は驚くべき行動にでたのだった。   ほのぼのです。よろしくお願いします。 ※ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。

【BLーR18】箱入り王子(プリンス)は俺サマ情報屋(実は上級貴族)に心奪われる

奏音 美都
BL
<あらすじ>  エレンザードの正統な王位継承者である王子、ジュリアンは、城の情報屋であるリアムと秘密の恋人関係にあった。城内でしか逢瀬できないジュリアンは、最近顔を見せないリアムを寂しく思っていた。  そんなある日、幼馴染であり、執事のエリックからリアムが治安の悪いザード地区の居酒屋で働いているらしいと聞き、いても立ってもいられず、夜中城を抜け出してリアムに会いに行くが……  俺様意地悪ちょいS情報屋攻め×可愛い健気流され王子受け

βな俺は王太子に愛されてΩとなる

ふき
BL
王太子ユリウスの“運命”として幼い時から共にいるルカ。 けれど彼は、Ωではなくβだった。 それを知るのは、ユリウスただ一人。 真実を知りながら二人は、穏やかで、誰にも触れられない日々を過ごす。 だが、王太子としての責務が二人の運命を軋ませていく。 偽りとも言える関係の中で、それでも手を離さなかったのは―― 愛か、執着か。 ※性描写あり ※独自オメガバース設定あり ※ビッチングあり

政略結婚のはずが恋して拗れて離縁を申し出る話

BL
聞いたことのない侯爵家から釣書が届いた。僕のことを求めてくれるなら政略結婚でもいいかな。そう考えた伯爵家四男のフィリベルトは『お受けします』と父へ答える。 ところがなかなか侯爵閣下とお会いすることができない。婚姻式の準備は着々と進み、数カ月後ようやく対面してみれば金髪碧眼の美丈夫。徐々に二人の距離は近づいて…いたはずなのに。『え、僕ってばやっぱり政略結婚の代用品!?』政略結婚でもいいと思っていたがいつの間にか恋してしまいやっぱり無理だから離縁しよ!とするフィリベルトの話。

【完結】名前のない皇后 −記憶を失ったSubオメガはもう一度愛を知る−

社菘
BL
息子を産んで3年。 瀕死の状態で見つかったエリアスは、それ以前の記憶をすっかり失っていた。 自分の名前も覚えていなかったが唯一所持品のハンカチに刺繍されていた名前を名乗り、森の中にひっそりと存在する地図上から消された村で医師として働く人間と竜の混血種。 ある日、診療所に運ばれてきた重病人との出会いがエリアスの止まっていた時を動かすことになる。 「――お前が俺の元から逃げたからだ、エリアス!」 「本当に、本当になにも覚えていないんだっ!」 「ととさま、かかさまをいじめちゃメッ!」 破滅を歩む純白竜の皇帝《Domアルファ》× 記憶がない混血竜《Subオメガ》 「俺の皇后……」 ――前の俺?それとも、今の俺? 俺は一体、何者なのだろうか? ※オメガバース、ドムサブユニバース特殊設定あり(かなり好き勝手に詳細設定をしています) ※本作では第二性→オメガバース、第三性(稀)→ドムサブユニバース、二つをまとめてSubオメガ、などの総称にしています ※作中のセリフで「〈〉」この中のセリフはコマンドになります。読みやすいよう、コマンドは英語表記ではなく、本作では言葉として表記しています ※性的な描写がある話数に*をつけています ✧毎日7時40分+17時40分に更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

世界一大好きな番との幸せな日常(と思っているのは)

かんだ
BL
現代物、オメガバース。とある理由から専業主夫だったΩだけど、いつまでも番のαに頼り切りはダメだと働くことを決めたが……。 ド腹黒い攻めαと何も知らず幸せな檻の中にいるΩの話。

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。