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後編
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売れっ子のリッツは一番大きなテントを使っていた。
近くに他のテントもない。
ゆったりと過ごせる環境が気に入っていたが、やはり大きな男が入ってくるとそうとも言えない。
座っている時も大きく見えたが、立ち上がるとやはり壁のように大きな男だった。
今日は非番だからか、騎士の鎧は身につけていないが、衣服の間から覗く、胸元の引き締まった筋肉に心臓がドキッとしてしまった。
「それで? 一年国の話の続き。アンタが教えてくれるんでしょう?」
「死んだよ」
「え?」
「国を取り返した男は、王になることなく、死んだ」
「嘘! な……なんで……」
ショックで眩暈がしたリッツはフラリと揺れてしまったが、ガラハットの太い腕が、リッツの体を受け止めてくれた。
ガラハットの顔が自然に近づいてきたので、リッツは思わず手で押し止めた。
「君を奪いにいくためだと言ったら?」
「は? 変な冗談? やめて……」
「やっと君をこの胸に抱いたのに、俺を受け入れてくれないのか?」
まるでジェイが話しているように重なって見えて、リッツの手が止まった。
獣のように鋭い目、日に焼けたような肌、艶のある漆黒の髪、目鼻立ちから唇の厚さまで、それらが記憶と重なってリッツの腕から力が抜けていく。
名前を呼ぼうとして口を開いたが、それは叶わなかった。
ガラハットの唇が重なってきて、すぐに舌が押し入ってきた。
生温かい感触がして、これがキスなのだとやっと遅れて気がついた。
その頃には、もっと深く、身体中貪られるような口付けに変わっていた。
「はぁ……はぁ……ぁ……」
「これも……初めて、か?」
リッツが息を吸いながらやっと頷くと、ガラハットは嬉々としたようにリッツを持ち上げて寝台に運んだ。
キスだけで、すっかり頭の中が溶けてしまったリッツは、ガラハットの顔をぼんやりと見つめていた。
喜怒哀楽のなさそうな男に見えたのに、今は頬が上気して赤くなり、興奮して鼻から息をしている。
その色気のある姿にゾクゾクと痺れてしまった。
ぼんやりとしていたら、いつの間にか踊り子の衣装が取り払われて、自分だけ裸になっていた。
気がついて恥ずかしくなったが、次の瞬間、ガラハットが胸の頂に触れてきたので、変な声を上げてしまった。
「あっ、ちょ……んんっ、あっ!」
「ははっ、綺麗だ……。ここはこんなに可愛い色をしていたのか。もっとよく見せてくれ」
そんなところやめてと言う前に、ガラハットが吸い付いてきたので、リッツは息を吸い込んだ。
ころころと舌で転がされて、反対の頂は指でこねるように弄られた。
「ん…………あっ……め、……だ……そん……あっ……あ、ぁぁ……ん」
始めはくすぐったいだけだったのに、だんだんとむず痒い痛みになり、それが快感だと分かると、どんどん熱がこもっていくのが分かった。
「胸を弄られただけでこれか? 糸を引いているぞ」
「う……うそ、そん……あぅんんっ」
すでに下半身は熱くなってたまらない状態になっていた。
溜まれば淡々と一人で処理をしてきたが、こんな風に熱を感じたことなどない。
達したのかそうでないのかも分からない。
ソコは熱くて溶けそうになっていて、今もパンパンに張り詰めていた。
「俺も同じだ。もっとゆっくり愛したいが、今は……もう限界だ。何か……」
意味を察したリッツは寝台の横に置いていた鞄から、小さな瓶を取り出した。
ここまできてお互い止めることはできない。
ここに呼んだ時から覚悟をしていたのかもしれない。
ジェイのようなこの男からは、もう逃げられないと……。
「おい、これ……」
「勘違いしないで。座長からみんなへの支給品。治安が悪い場所でも舞台をやるから、身を守るために使えって」
「ますます、ここには置いておけないな」
パカンと蓋を開けたガラハットは、小瓶の中身をリッツの後ろにトロリと流しかけた。
「うゔっ」
植物性のオイルだと聞いていたが、冷たさにビクッと体を揺らすと、すぐにガラハットの指が蕾を押し開いてきた。
「狭いな……こんな場所に挿入るのか?」
「知らないよ……そんなの……」
お互い目を合わせて、ぷっと噴き出してしまった。
向こうの話からすると、お互い初めて同士ということらしい。
あるのはわずかな知識だけで、無謀じゃないかと思ったが、ガラハットの指が増えていく度に何も考えられないようになった。
ガラハットの指がある場所に触れると、尻を浮かせてしまうくらいの快感で、リッツは自分でも考えられないくらい甘い声を上げてしまった。
「あ、あっ、……あうぅ……んっああっ」
「ここがいいんだな、少しコリコリしている」
「あんっ、だめっ……ふふぁあ……だ……ぁぁぁ……」
全体的に指で広げられていたが、ソコが気持ち良さそうだと分かると、ガラハットは執拗にソコを弄ってきた。
おかげで、リッツはガラハットの背中につかまって、足をだらしなく持ち上げたまま、どぶっと熱を放ってしまった。
「そろそろ、いいか」
ガラハットは衣服は脱がずに、ズボンの前を開いた。
そこからブルンと飛び出してきた、凶器のような大きさのイチモツに、ぼんやりした意識でもリッツは息を呑んだ。
「なるべく、痛くないようにゆっくりする」
向かい合った状態で、ガラハットはリッツの足を持ち上げて、蕾に自身を当てがった後、ぐりぐりと動かしながら推し入ってきた。
「んんんっ……んっあ……あ……っっ」
「くっ……すごいな……絡みつく」
「あっ……ふぅ……ぁぁ」
「狭いが……よく慣らしたから、かなり挿入ったぞ」
薄っすらと目を開けたリッツは、繋がっているところが見えて息を吸い込んだ。
心臓がバクバクと鳴って飛び出してしまいそうだ。
興奮で痛みは感じなかった。
ただひたすら、気持ちいいとしか思えなかった。
「……動くぞ」
興奮しきった目をしたガラハットは、我慢できないという顔で、鼻息を荒くしながら、抜き挿しを始めた。
「あ、あ、あ、っ……あっ……はっ……うう……」
「くっ……はぁ……はぁ……リッツ……」
自分の上で腰を振る男からポタポタと汗が流れ落ちてくる。
こんな経験初めてで、それが嬉しいと思う自分も信じられない。
始めはゆっくりとした動きが、だんだん速くなり、パンパンと音を鳴らして打ち付けられるようになると、リッツは首を振りながら快感に悶えた。
全身快感のかたまりになったみたいで、どこを触られても声を上げてしまう。
何もかも、気持ちよくてたまらない。
別の生き物に変わってしまったような気さえ覚えた。
目を開くと、ガラハットが感じている顔が見えた。
閉じた目に、薄く開いた口がなんとも色気があって、ずっと見ていたいと思ってしまう。
ガラハットとジェイが重なって見える。
エヴァンと可愛らしい声で呼ばれた気がして、リッツは思わず後ろをぎゅっと締めた。
「ううっ……」
刺激に耐えられなかったのか、ガラハットが奥で爆ぜたのが分かった。
ドクドクと流し込まれる熱い放流に、リッツはガラハットの背中にしがみつき、はぁはぁと息をして快感に震えた。
ガラハットがズルリと自身を引き抜くと、その感覚だけでまた達しそうになった。
「やっと……やっと……追いついた」
「…………え?」
達した後の余韻に浸っていると、ガラハットが切ない声を上げてリッツを強く抱きしめてきた。
「あなたをつかまえた」
「それ…………」
「エヴァン」
その瞬間、全ての流れが押し寄せてきて、リッツの体を突き抜けて、一本の線として繋がったような気がした。
信じられないという顔をしたリッツを見て、ガラハットはクスリと笑った。
「離れることがあっても、必ずエヴァンを見つけるって言っただろう?」
「う……うそ、本当に!? ジェイ……なの?」
「ああ、その名で呼ばれるのを、何度夢に見たことか……」
様々な記憶が混同して、パニックになったリッツの背中を、ガラハットは優しく撫でてくれた。
「でも、どうして……姿はジェイにそっくりだけど、歳が違うから、絶対違うって……」
「エヴァンが死んだ後、神が俺に話しかけてきたんだ。お前の思いの強さを証明できたら、願いを叶えてやる。復讐を果たして国を奪い返してみせろって」
「なっ……なんだって!?」
「言われた通り、復讐をして一年で国を奪い返した。後は、離れていた弟に任せて、俺は自分で命を絶った……早く、君に会うために。人が生まれ変わるには百年が必要。だからリッツより、一つ若いってことだ」
「うそ……だろ……」
まさかジェイの願いがエヴァンに会うためで、そのために命を絶ったなんて信じられなくて頭が回らなくなってきた。
「エヴァン、君のいない世界になんて、少しも未練はなかった。あの神殿で出会って、一緒に過ごすうちに、俺はどんどんエヴァンに惹かれて……」
「ちょっ、ちょっと待って。あの時、俺はジェイとは十も歳が離れて……」
「そんなことは関係ない! エヴァンが優しく微笑んでくれる度に、胸が締め付けられるように熱くなって、いつも触れたいって思っていた。生まれ変わっても、ずっとエヴァンを想っていて、会えたら絶対抱くって決めて、今まで生きてきた」
「だっ……」
ガラハットの想いの強さにクラリとしてしまった。
確かに外見は同じなので、会えば分かるとは思ったが、それで今同じ寝台にいる状態に、時を超えた執念を感じてしまった。
「神はさ、エヴァンのことを気に入っていたんだよ。だから、記憶もそのままで、同じ姿に生まれ変わらせてやるけど、本気で娶るつもりなら、自分で探せって。覚悟を試されたのかもしれないが、神すら、俺の愛の強さを甘く見ていたようだな」
自分に会うために、王という地位を捨てて、命を絶ってまで追いかけてきた男。
間近でその顔を見つめたリッツは、手を伸ばしてゴツゴツとした顎や頬に触れた。
「ジェイ……大きくなったね。あの頃は、もっと丸くて可愛かったのに」
「なんだよそれ。成長した俺は気に入らないのか?」
「ううん。すごくカッコ良くなった」
「エヴァン……。エヴァンが死ぬ時、俺は愛しているって叫んだんだ。エヴァンは私もって言ってくれた」
「えっ」
「なんだ、忘れちゃったのかよ」
その言葉を聞いて、リッツとしての人生を思い出した。
魅力的な誘いは数限りなくあった。
そのどれもを断って、一人でいたのは、何故だったのだろう。
心のどこかで待っていた気がする。
この黒い髪で金色の目をした愛しい人に、再び巡り逢えることを……。
そう、ただ可愛がっていたジェイから、いつしか向けられる視線が変わったことに気がついていた。
それを嬉しいと思う自分を否定してきた。
神官は神の使い。
結婚や、恋愛すら許されない。
ましてや、同性に特別な想いを寄せるなどというのは、もっと許されないことだった。
しかもまだ相手は子供。
抱いてはいけない想いを知られたら、引き離されてしまう。
エヴァンは自分の想いから目を背けて、ただの世話役としての姿勢を崩さなかった。
しかし、たった一度だけ。
まさに死を目の前にした時。
自分を抱くジェイの口が、愛していると動いた気がした。
どうか許してください。
そう思いながら、私も、と口にしたのだ。
「……覚えている。でも、でも、あの時は私達は大人と子供で立場も――」
「分かっている。分かっているよ。だから生まれ変わったんだろう。今度こそ、二人で幸せになるために……」
「ジェイ……」
「まぁ、王子は荷が重すぎるから、ちょうど良かった」
「何言ってんだよ。貴族の、公爵家の令息なんだろう? また、とんでもない身分じゃないか」
「まぁ、長男ではないし、それなりに名声を得たから好きにさせてくれる。立場は利用しないと。俺と一緒に行こう、座長とは向こう十年分の売上を渡すことで話がついた」
「はい? 俺を買うって……っていうか、もう買っていたのかよ!」
「もちろん、本人が断ったら話はなかったことにって言われたよ。口説き落としてみせますって言ったけど、まさか断らないよな?」
自分だけなにも知らされていなかったので、むくりと起き上がったリッツは、ガラハットの頭をポカポカと叩いた。
いててと言いながら、嬉しそうに笑っているガラハットを見て、気が抜けてしまった。
「断らな……いけどさ、どうして会ってすぐに名乗らなかったの?」
「それは、リッツが手慣れた感じで挨拶するから、エヴァンの印象とあまりにも違って……。もしかしたら、記憶がないのかと考えて……」
「なるほど。まぁ神殿で純粋に育てられたエヴァンとは、確かに違うかもね」
「ああ、でも中身は変わらない。すぐに分かった俺のエヴァンで、俺のリッツだ」
「うん、でもまさか、ジェイと一つ違いになるとは……。ジェイが大人に成長したら、ガラハットになったってことか。こんなにデカくなるなんて、聞いてなかったよ。腕とか、俺の二つ分よりあるんじゃないか?」
筋骨隆々になったガラハットの腕を、ツンツンとつついていたら、ガラハットは小さく咳払いをして下を指差してきた。
「ここも、大人になったかもう一度、確かめてみないか?」
「……どこでそんな誘い方を覚えたんだよ。うわっ、またデカくしてるし。ちょっ、お互い童貞だったんだぞ、落ち着こう。こっちは腰がやばいって!」
「百年以上、溜まりに溜まったモノを……」
「目がこわいって!」
リッツのテントから、うわーっと声が上がったが、それはすぐに甘い声に変わった。
リッツは百年の想いをうんと思い知る一夜を過ごしたのであった。
※※※
青々とした草原を風が吹き抜けて、パラパラと音が鳴った。
大きな雲が影を作り、それがゆっくりと動いてまた陽が大地を照らす。
平和な光景を見ると、胸をぐずられるように嬉しくなる。
悲しい前世を思い出すことは、もうほとんどなくなった。
今を生きているんだと実感して、リッツは大きく深呼吸をした。
「リッツ、出発するぞ」
声がした方向を見ると、ガラハットが大きく手を振っているのが見えた。
馬に水と食料を与えるために休憩をしていたが、それが終わったらしい。
草場で寝転んで休んでいたリッツも、大きく背伸びをした後、立ち上がった。
「町まで出たら、買い物をして宿を取ろう。今日は帰らないと伝えてある」
「じゃあ、久々に飲みに行こうか? 酒場巡りでもしてみる?」
「……だめだ。リッツが酒に強いのは知っているが、何かあったら心配だ」
二人で飲むと、リッツは強すぎて、ガラハットが先につぶれてしまう。
さすがに、この元王国近衛騎士長といて、襲ってくるような命知らずはいないが、ガラハットはいつも心配してくる。
それはきっと、前世でエヴァンの死を見ているからに違いないというのは、リッツも薄々気がついていた。
二人で生きていこうと決めてから、ガラハットは国の仕事をアッサリと辞めてしまった。
家族にリッツを紹介して、国の定めで結婚という形は取れないが、これからは二人で生きていくと宣言した。
ガラハットは、物心ついた時から、家族に自分には心に決めた人がいる、その人を連れてきたら認めてほしいと言い続けてきたらしい。
家族は覚悟していたのか、リッツを温かく向かい入れてくれて、二人に領地をくれた。
年中気候が温かく住みやすいと言われている領地に大きな家を建てて、今はそこで暮らしている。
最初はのんきな田舎暮らしを想像していたが、領地の管理に、新しく始めた果物畑や、ワインの工場、羊や牛の飼育場の管理など、やることはたくさんあって毎日てんてこまいだ。
近くの村の祭りでは、歌やダンスを披露することもあり、リッツは失敗ばかりだが、それなりに役に立っていると思うことにしている。
来世では平和に生きたいという願いが、ようやく叶えられた。
そして愛する人と歩んでいきたいという願いも……
ガラハットは自分の馬にリッツを乗せてくれる。
その優しさは十分に伝わるのだが、少し肩の荷を下ろしてあげたかった。
二人で同じ馬に乗って、町へ向けて進み出すと、リッツはガラハットの顔を見上げた。
「やっぱり、屋敷に戻ったら、俺も乗馬を習うことにする。そうすれば、忙しい時も一人で移動できるし」
「リッツ……もし転んだり落ちたりでもしたら……」
「もう、大丈夫だよ。あれは前世のことなんだから。今は今でしょう」
「リッツ……」
鬼教官と呼ばれていたガラハットが、眉尻を下げている姿を見たら、元部下たちはなんと言うだろう。
あの強烈な記憶が焼き付いて離れないのだとしたら、それが少しでも消えていくように、今の元気な自分を見せることが大事だと思った。
「俺も馬に乗ればもっと早く走れるし、遠くまで行けるよ。街道沿いを走って、海の見える町まで行こう。まだ、見たことがないだろう? ガラハットと色々なところへ行きたい」
「ああ……分かった。それなら、帰ったら特訓だ」
「やったぁ、嬉しいー!」
子供のように笑って見せると、ガラハットは安堵したように微笑んだ。
そうだ。
これでいい。
今度の人生は、二人で目一杯楽しく幸せに生きて、それが終わる時はガラハットより一秒でも長く生きたい。
リッツはそう思った。
悲しい別れを乗り越えて、再び巡り逢えたのだから。
もしまた来世があり、再び同じ世界に生まれることができたなら、何度でも……
恋に落ちて結ばれて、共に歩む道を選ぶだろう。
「そういや、前世で呼んでくれたジェイって名前は、何か意味があるのか?」
ふと思い出したようにガラハットが呟いたので、リッツはガラハットの胸に背中を預けた。
「んー神殿語でね、ジェイは、幸せを見つけるって意味。いつかこの傷ついた小さな少年が、幸せを見つけることができたらいいなって、そう呼んだんだ」
「そうか……」
ガラハットはリッツを後ろからぎゅと抱きしめて、しばらくなにも言わなかった。
そのうちに、頭の上からぽつりと温かいものが落ちてきて、リッツの頬を濡らした。
「好きだよ」
「……れも」
少しだけ震える、大きな温もりに包まれながら、リッツは目を閉じた。
見つけたよというジェイの声が聞こえた気がした。
(終)
近くに他のテントもない。
ゆったりと過ごせる環境が気に入っていたが、やはり大きな男が入ってくるとそうとも言えない。
座っている時も大きく見えたが、立ち上がるとやはり壁のように大きな男だった。
今日は非番だからか、騎士の鎧は身につけていないが、衣服の間から覗く、胸元の引き締まった筋肉に心臓がドキッとしてしまった。
「それで? 一年国の話の続き。アンタが教えてくれるんでしょう?」
「死んだよ」
「え?」
「国を取り返した男は、王になることなく、死んだ」
「嘘! な……なんで……」
ショックで眩暈がしたリッツはフラリと揺れてしまったが、ガラハットの太い腕が、リッツの体を受け止めてくれた。
ガラハットの顔が自然に近づいてきたので、リッツは思わず手で押し止めた。
「君を奪いにいくためだと言ったら?」
「は? 変な冗談? やめて……」
「やっと君をこの胸に抱いたのに、俺を受け入れてくれないのか?」
まるでジェイが話しているように重なって見えて、リッツの手が止まった。
獣のように鋭い目、日に焼けたような肌、艶のある漆黒の髪、目鼻立ちから唇の厚さまで、それらが記憶と重なってリッツの腕から力が抜けていく。
名前を呼ぼうとして口を開いたが、それは叶わなかった。
ガラハットの唇が重なってきて、すぐに舌が押し入ってきた。
生温かい感触がして、これがキスなのだとやっと遅れて気がついた。
その頃には、もっと深く、身体中貪られるような口付けに変わっていた。
「はぁ……はぁ……ぁ……」
「これも……初めて、か?」
リッツが息を吸いながらやっと頷くと、ガラハットは嬉々としたようにリッツを持ち上げて寝台に運んだ。
キスだけで、すっかり頭の中が溶けてしまったリッツは、ガラハットの顔をぼんやりと見つめていた。
喜怒哀楽のなさそうな男に見えたのに、今は頬が上気して赤くなり、興奮して鼻から息をしている。
その色気のある姿にゾクゾクと痺れてしまった。
ぼんやりとしていたら、いつの間にか踊り子の衣装が取り払われて、自分だけ裸になっていた。
気がついて恥ずかしくなったが、次の瞬間、ガラハットが胸の頂に触れてきたので、変な声を上げてしまった。
「あっ、ちょ……んんっ、あっ!」
「ははっ、綺麗だ……。ここはこんなに可愛い色をしていたのか。もっとよく見せてくれ」
そんなところやめてと言う前に、ガラハットが吸い付いてきたので、リッツは息を吸い込んだ。
ころころと舌で転がされて、反対の頂は指でこねるように弄られた。
「ん…………あっ……め、……だ……そん……あっ……あ、ぁぁ……ん」
始めはくすぐったいだけだったのに、だんだんとむず痒い痛みになり、それが快感だと分かると、どんどん熱がこもっていくのが分かった。
「胸を弄られただけでこれか? 糸を引いているぞ」
「う……うそ、そん……あぅんんっ」
すでに下半身は熱くなってたまらない状態になっていた。
溜まれば淡々と一人で処理をしてきたが、こんな風に熱を感じたことなどない。
達したのかそうでないのかも分からない。
ソコは熱くて溶けそうになっていて、今もパンパンに張り詰めていた。
「俺も同じだ。もっとゆっくり愛したいが、今は……もう限界だ。何か……」
意味を察したリッツは寝台の横に置いていた鞄から、小さな瓶を取り出した。
ここまできてお互い止めることはできない。
ここに呼んだ時から覚悟をしていたのかもしれない。
ジェイのようなこの男からは、もう逃げられないと……。
「おい、これ……」
「勘違いしないで。座長からみんなへの支給品。治安が悪い場所でも舞台をやるから、身を守るために使えって」
「ますます、ここには置いておけないな」
パカンと蓋を開けたガラハットは、小瓶の中身をリッツの後ろにトロリと流しかけた。
「うゔっ」
植物性のオイルだと聞いていたが、冷たさにビクッと体を揺らすと、すぐにガラハットの指が蕾を押し開いてきた。
「狭いな……こんな場所に挿入るのか?」
「知らないよ……そんなの……」
お互い目を合わせて、ぷっと噴き出してしまった。
向こうの話からすると、お互い初めて同士ということらしい。
あるのはわずかな知識だけで、無謀じゃないかと思ったが、ガラハットの指が増えていく度に何も考えられないようになった。
ガラハットの指がある場所に触れると、尻を浮かせてしまうくらいの快感で、リッツは自分でも考えられないくらい甘い声を上げてしまった。
「あ、あっ、……あうぅ……んっああっ」
「ここがいいんだな、少しコリコリしている」
「あんっ、だめっ……ふふぁあ……だ……ぁぁぁ……」
全体的に指で広げられていたが、ソコが気持ち良さそうだと分かると、ガラハットは執拗にソコを弄ってきた。
おかげで、リッツはガラハットの背中につかまって、足をだらしなく持ち上げたまま、どぶっと熱を放ってしまった。
「そろそろ、いいか」
ガラハットは衣服は脱がずに、ズボンの前を開いた。
そこからブルンと飛び出してきた、凶器のような大きさのイチモツに、ぼんやりした意識でもリッツは息を呑んだ。
「なるべく、痛くないようにゆっくりする」
向かい合った状態で、ガラハットはリッツの足を持ち上げて、蕾に自身を当てがった後、ぐりぐりと動かしながら推し入ってきた。
「んんんっ……んっあ……あ……っっ」
「くっ……すごいな……絡みつく」
「あっ……ふぅ……ぁぁ」
「狭いが……よく慣らしたから、かなり挿入ったぞ」
薄っすらと目を開けたリッツは、繋がっているところが見えて息を吸い込んだ。
心臓がバクバクと鳴って飛び出してしまいそうだ。
興奮で痛みは感じなかった。
ただひたすら、気持ちいいとしか思えなかった。
「……動くぞ」
興奮しきった目をしたガラハットは、我慢できないという顔で、鼻息を荒くしながら、抜き挿しを始めた。
「あ、あ、あ、っ……あっ……はっ……うう……」
「くっ……はぁ……はぁ……リッツ……」
自分の上で腰を振る男からポタポタと汗が流れ落ちてくる。
こんな経験初めてで、それが嬉しいと思う自分も信じられない。
始めはゆっくりとした動きが、だんだん速くなり、パンパンと音を鳴らして打ち付けられるようになると、リッツは首を振りながら快感に悶えた。
全身快感のかたまりになったみたいで、どこを触られても声を上げてしまう。
何もかも、気持ちよくてたまらない。
別の生き物に変わってしまったような気さえ覚えた。
目を開くと、ガラハットが感じている顔が見えた。
閉じた目に、薄く開いた口がなんとも色気があって、ずっと見ていたいと思ってしまう。
ガラハットとジェイが重なって見える。
エヴァンと可愛らしい声で呼ばれた気がして、リッツは思わず後ろをぎゅっと締めた。
「ううっ……」
刺激に耐えられなかったのか、ガラハットが奥で爆ぜたのが分かった。
ドクドクと流し込まれる熱い放流に、リッツはガラハットの背中にしがみつき、はぁはぁと息をして快感に震えた。
ガラハットがズルリと自身を引き抜くと、その感覚だけでまた達しそうになった。
「やっと……やっと……追いついた」
「…………え?」
達した後の余韻に浸っていると、ガラハットが切ない声を上げてリッツを強く抱きしめてきた。
「あなたをつかまえた」
「それ…………」
「エヴァン」
その瞬間、全ての流れが押し寄せてきて、リッツの体を突き抜けて、一本の線として繋がったような気がした。
信じられないという顔をしたリッツを見て、ガラハットはクスリと笑った。
「離れることがあっても、必ずエヴァンを見つけるって言っただろう?」
「う……うそ、本当に!? ジェイ……なの?」
「ああ、その名で呼ばれるのを、何度夢に見たことか……」
様々な記憶が混同して、パニックになったリッツの背中を、ガラハットは優しく撫でてくれた。
「でも、どうして……姿はジェイにそっくりだけど、歳が違うから、絶対違うって……」
「エヴァンが死んだ後、神が俺に話しかけてきたんだ。お前の思いの強さを証明できたら、願いを叶えてやる。復讐を果たして国を奪い返してみせろって」
「なっ……なんだって!?」
「言われた通り、復讐をして一年で国を奪い返した。後は、離れていた弟に任せて、俺は自分で命を絶った……早く、君に会うために。人が生まれ変わるには百年が必要。だからリッツより、一つ若いってことだ」
「うそ……だろ……」
まさかジェイの願いがエヴァンに会うためで、そのために命を絶ったなんて信じられなくて頭が回らなくなってきた。
「エヴァン、君のいない世界になんて、少しも未練はなかった。あの神殿で出会って、一緒に過ごすうちに、俺はどんどんエヴァンに惹かれて……」
「ちょっ、ちょっと待って。あの時、俺はジェイとは十も歳が離れて……」
「そんなことは関係ない! エヴァンが優しく微笑んでくれる度に、胸が締め付けられるように熱くなって、いつも触れたいって思っていた。生まれ変わっても、ずっとエヴァンを想っていて、会えたら絶対抱くって決めて、今まで生きてきた」
「だっ……」
ガラハットの想いの強さにクラリとしてしまった。
確かに外見は同じなので、会えば分かるとは思ったが、それで今同じ寝台にいる状態に、時を超えた執念を感じてしまった。
「神はさ、エヴァンのことを気に入っていたんだよ。だから、記憶もそのままで、同じ姿に生まれ変わらせてやるけど、本気で娶るつもりなら、自分で探せって。覚悟を試されたのかもしれないが、神すら、俺の愛の強さを甘く見ていたようだな」
自分に会うために、王という地位を捨てて、命を絶ってまで追いかけてきた男。
間近でその顔を見つめたリッツは、手を伸ばしてゴツゴツとした顎や頬に触れた。
「ジェイ……大きくなったね。あの頃は、もっと丸くて可愛かったのに」
「なんだよそれ。成長した俺は気に入らないのか?」
「ううん。すごくカッコ良くなった」
「エヴァン……。エヴァンが死ぬ時、俺は愛しているって叫んだんだ。エヴァンは私もって言ってくれた」
「えっ」
「なんだ、忘れちゃったのかよ」
その言葉を聞いて、リッツとしての人生を思い出した。
魅力的な誘いは数限りなくあった。
そのどれもを断って、一人でいたのは、何故だったのだろう。
心のどこかで待っていた気がする。
この黒い髪で金色の目をした愛しい人に、再び巡り逢えることを……。
そう、ただ可愛がっていたジェイから、いつしか向けられる視線が変わったことに気がついていた。
それを嬉しいと思う自分を否定してきた。
神官は神の使い。
結婚や、恋愛すら許されない。
ましてや、同性に特別な想いを寄せるなどというのは、もっと許されないことだった。
しかもまだ相手は子供。
抱いてはいけない想いを知られたら、引き離されてしまう。
エヴァンは自分の想いから目を背けて、ただの世話役としての姿勢を崩さなかった。
しかし、たった一度だけ。
まさに死を目の前にした時。
自分を抱くジェイの口が、愛していると動いた気がした。
どうか許してください。
そう思いながら、私も、と口にしたのだ。
「……覚えている。でも、でも、あの時は私達は大人と子供で立場も――」
「分かっている。分かっているよ。だから生まれ変わったんだろう。今度こそ、二人で幸せになるために……」
「ジェイ……」
「まぁ、王子は荷が重すぎるから、ちょうど良かった」
「何言ってんだよ。貴族の、公爵家の令息なんだろう? また、とんでもない身分じゃないか」
「まぁ、長男ではないし、それなりに名声を得たから好きにさせてくれる。立場は利用しないと。俺と一緒に行こう、座長とは向こう十年分の売上を渡すことで話がついた」
「はい? 俺を買うって……っていうか、もう買っていたのかよ!」
「もちろん、本人が断ったら話はなかったことにって言われたよ。口説き落としてみせますって言ったけど、まさか断らないよな?」
自分だけなにも知らされていなかったので、むくりと起き上がったリッツは、ガラハットの頭をポカポカと叩いた。
いててと言いながら、嬉しそうに笑っているガラハットを見て、気が抜けてしまった。
「断らな……いけどさ、どうして会ってすぐに名乗らなかったの?」
「それは、リッツが手慣れた感じで挨拶するから、エヴァンの印象とあまりにも違って……。もしかしたら、記憶がないのかと考えて……」
「なるほど。まぁ神殿で純粋に育てられたエヴァンとは、確かに違うかもね」
「ああ、でも中身は変わらない。すぐに分かった俺のエヴァンで、俺のリッツだ」
「うん、でもまさか、ジェイと一つ違いになるとは……。ジェイが大人に成長したら、ガラハットになったってことか。こんなにデカくなるなんて、聞いてなかったよ。腕とか、俺の二つ分よりあるんじゃないか?」
筋骨隆々になったガラハットの腕を、ツンツンとつついていたら、ガラハットは小さく咳払いをして下を指差してきた。
「ここも、大人になったかもう一度、確かめてみないか?」
「……どこでそんな誘い方を覚えたんだよ。うわっ、またデカくしてるし。ちょっ、お互い童貞だったんだぞ、落ち着こう。こっちは腰がやばいって!」
「百年以上、溜まりに溜まったモノを……」
「目がこわいって!」
リッツのテントから、うわーっと声が上がったが、それはすぐに甘い声に変わった。
リッツは百年の想いをうんと思い知る一夜を過ごしたのであった。
※※※
青々とした草原を風が吹き抜けて、パラパラと音が鳴った。
大きな雲が影を作り、それがゆっくりと動いてまた陽が大地を照らす。
平和な光景を見ると、胸をぐずられるように嬉しくなる。
悲しい前世を思い出すことは、もうほとんどなくなった。
今を生きているんだと実感して、リッツは大きく深呼吸をした。
「リッツ、出発するぞ」
声がした方向を見ると、ガラハットが大きく手を振っているのが見えた。
馬に水と食料を与えるために休憩をしていたが、それが終わったらしい。
草場で寝転んで休んでいたリッツも、大きく背伸びをした後、立ち上がった。
「町まで出たら、買い物をして宿を取ろう。今日は帰らないと伝えてある」
「じゃあ、久々に飲みに行こうか? 酒場巡りでもしてみる?」
「……だめだ。リッツが酒に強いのは知っているが、何かあったら心配だ」
二人で飲むと、リッツは強すぎて、ガラハットが先につぶれてしまう。
さすがに、この元王国近衛騎士長といて、襲ってくるような命知らずはいないが、ガラハットはいつも心配してくる。
それはきっと、前世でエヴァンの死を見ているからに違いないというのは、リッツも薄々気がついていた。
二人で生きていこうと決めてから、ガラハットは国の仕事をアッサリと辞めてしまった。
家族にリッツを紹介して、国の定めで結婚という形は取れないが、これからは二人で生きていくと宣言した。
ガラハットは、物心ついた時から、家族に自分には心に決めた人がいる、その人を連れてきたら認めてほしいと言い続けてきたらしい。
家族は覚悟していたのか、リッツを温かく向かい入れてくれて、二人に領地をくれた。
年中気候が温かく住みやすいと言われている領地に大きな家を建てて、今はそこで暮らしている。
最初はのんきな田舎暮らしを想像していたが、領地の管理に、新しく始めた果物畑や、ワインの工場、羊や牛の飼育場の管理など、やることはたくさんあって毎日てんてこまいだ。
近くの村の祭りでは、歌やダンスを披露することもあり、リッツは失敗ばかりだが、それなりに役に立っていると思うことにしている。
来世では平和に生きたいという願いが、ようやく叶えられた。
そして愛する人と歩んでいきたいという願いも……
ガラハットは自分の馬にリッツを乗せてくれる。
その優しさは十分に伝わるのだが、少し肩の荷を下ろしてあげたかった。
二人で同じ馬に乗って、町へ向けて進み出すと、リッツはガラハットの顔を見上げた。
「やっぱり、屋敷に戻ったら、俺も乗馬を習うことにする。そうすれば、忙しい時も一人で移動できるし」
「リッツ……もし転んだり落ちたりでもしたら……」
「もう、大丈夫だよ。あれは前世のことなんだから。今は今でしょう」
「リッツ……」
鬼教官と呼ばれていたガラハットが、眉尻を下げている姿を見たら、元部下たちはなんと言うだろう。
あの強烈な記憶が焼き付いて離れないのだとしたら、それが少しでも消えていくように、今の元気な自分を見せることが大事だと思った。
「俺も馬に乗ればもっと早く走れるし、遠くまで行けるよ。街道沿いを走って、海の見える町まで行こう。まだ、見たことがないだろう? ガラハットと色々なところへ行きたい」
「ああ……分かった。それなら、帰ったら特訓だ」
「やったぁ、嬉しいー!」
子供のように笑って見せると、ガラハットは安堵したように微笑んだ。
そうだ。
これでいい。
今度の人生は、二人で目一杯楽しく幸せに生きて、それが終わる時はガラハットより一秒でも長く生きたい。
リッツはそう思った。
悲しい別れを乗り越えて、再び巡り逢えたのだから。
もしまた来世があり、再び同じ世界に生まれることができたなら、何度でも……
恋に落ちて結ばれて、共に歩む道を選ぶだろう。
「そういや、前世で呼んでくれたジェイって名前は、何か意味があるのか?」
ふと思い出したようにガラハットが呟いたので、リッツはガラハットの胸に背中を預けた。
「んー神殿語でね、ジェイは、幸せを見つけるって意味。いつかこの傷ついた小さな少年が、幸せを見つけることができたらいいなって、そう呼んだんだ」
「そうか……」
ガラハットはリッツを後ろからぎゅと抱きしめて、しばらくなにも言わなかった。
そのうちに、頭の上からぽつりと温かいものが落ちてきて、リッツの頬を濡らした。
「好きだよ」
「……れも」
少しだけ震える、大きな温もりに包まれながら、リッツは目を閉じた。
見つけたよというジェイの声が聞こえた気がした。
(終)
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素敵な作品をありがとうございます!はぁ😫🩷
メガネのクリーチャー様
お読みいただきありがとうございます!
満足感があったと言っていただけて、嬉しいです。
長すぎず短すぎずと塩梅が難しいところでしたが、上手くまとまってくれていたら嬉しいです。
感想ありがとうございました⭐︎⭐︎
新作楽しみにしていました!
面白くて一気に読んでしまいました!
思い合う2人が素敵ですね!
素敵なお話をありがとうございます
ミルフィーユ様
早速お読みいただきありがとうございます!
短くてすみません(^^)
嫌われからの溺愛をさらっと(笑)
素敵と言っていただけて嬉しいです。
前世が大変だった分、二人にはのんびりゆったりと、幸せに暮らしてほしいなと思います。
感想ありがとうございました!