MaydayMayday動物相談部!

シオン

文字の大きさ
上 下
1 / 1
第一章 動物相談部

隠れ家的居酒屋とか、いかがでしょう?

しおりを挟む
かなり自分らしくない歩の進め方だと思う。
いつもならば自慢の足を動かしていつものカフェ(にしては営業時間がやけに長い気がする。)
に走っているだろう。
走りたい。走って意味があるなら走りたい。
「閉店とか、聞いてないんですけどぉ~?」
そう。そのカフェが閉店してしまったのだ。
はっきり言って凄くつらい。
めちゃくちゃつらい。
ちょっと可笑しいんじゃないかと思うほどつらい。
「新しい店、探さないとなぁ・・・」
カフェは謂わば僕の心の拠り所で常連の皆と話す時間は物凄く楽しみにしていたのだ。

その時、ふと目についた裏路地。

意外とこういう場所にいい店があったりするものである。入ってみた事は無いけれども。
何か魔力のような不思議な感覚に襲われフラッ、っと裏路地に入る。
勿論人影は無いけれど怯まず進む。
元々夜行性であるから当然と言えば当然である。
暗闇程度ならとっくの昔に慣れている。
唯一の光源がしばらく進むと見えてきた。
他の建物が全て一階建てなのに対しこの建物だけ二階建てだった。一階部分は回りの家と同様にコンクリートの家。しかし、二階部分はテラス有りでほぼ全面ガラス張り、特に特徴的なのが天井がドーム型で、天井すらガラス張りなのである。
「おっしゃれぇ・・・」
こんなに目立ちそうなデザインなのに何故今まで見つけられなかったのか不思議でならない。
店の中には客がそこそこ入っており、和気あいあいと話している。
こんな店をどうやって見つけたのだろう。
鳥類ならあり得るか。
建物の横には二階部分に上がるための螺旋階段があった。
明らかに雰囲気にあっていない赤い提灯には
どこにでもある居酒屋の字でこう書かれていた。
居酒屋梟屋、と。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...