記憶の中

神楽坂 詩

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五章 私の中の時間が動き出す

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蓮さんは現役高校生だということが分かった
そして同級生かもということも…
「というかもう時間が遅いぞ!帰らなくていいのか?」
時計に目をやると
6時だった周りが明るいのでわからなかった
まずい!お母さんが心配しちゃう
「蓮さんとりあえず話しながら帰ろう」
「お、おう」
校内を走って正門まで来た
「つ、疲れた…ハァハァ」
「俺…自分の名前思い出したかもしれない」
「えっ?ハァ…ハァほ、ほんと?」
「落ち着けよ」
「うん、フーフー…で名前は?」
「俺…月城 翔太って名前だ!」
「なるせ…って…えっ?」
私の頭に映像が流れているかのように次々と思い出していった
あれ?…月城って月城って
「私なんで…なんであの人…を忘れていたの…」
思い出した映像は私が付き合っていた彼氏だった彼の名前は…月城 翔太!
「蓮さんじゃないの…?月城って?ほんとに?翔太?」
「あぁそうだ、月城 翔太だ」
「あぁ…私が忘れていた大切な人は翔太だったんだ…うわぁぁぁん」
「俺の未練も分かった…お前に思い出してもらう…その事だったみたいだ」
翔太の体が徐々に薄くなってゆく
未練を解消したからだった
「グスッ…グスッ…翔太死んじゃってたの?」
「あぁあの日お前と待ち合わせしていたんだ、その時急に来た車にぶつかって…死んだみたいだ…ゴメンな行けなく…て…」
翔太は薄くなって消えてしまった
私の止まっていた時間が動いた…
ゴメンななんて…言わないでよ


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