6年生になっても

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6年生のおむつおもらし

「ねぇ陽子、今日おむつしてるでしょ?」
突如として真紀におむつを疑われ、陽子は平静を失った。6年生になってからは彼女達が陽子がおむつしていない事を皆に証明してくれていたのだ。
何故急に陽子のおむつを疑い始めたのか見当がつかず狼狽したが、陽子はしらをきった。
「え、なに?最近はパンツだって真紀も知ってるでしょ?」
「今日体育の着替えを保健室でしたじゃない。出てくる所私見ちゃったんだ。友達なんだから正直に言いなよ。おむつしてるんでしょ?」
まだ2人が確信を持っていないことを知り、少しだけ心が落ち着いた。しかし2人は陽子を見下しており、秘密を守ってくれるとは考えづらい。陽子は嘘をつくしかなかった。
「違う違う。パンツで学校に来てるよ。保健室には整腸剤をもらいにいったの。着替えはついでだよ」
「…ふーん。違うんだ。友達なんだから嘘はつかないでよね」
つまらなそうな顔をして2人は陽子の下を去っていった。トイレに行く暇もなく。6時間目の授業が始まる。



6時間目開始直後から、陽子は激しい尿意に襲われた。
体育の次の授業は休み時間に着替えなければいけないため、トイレを挟みづらい。陽子がおもらしし易い鬼門ともいえる時間だった。
懸命に我慢を続ける陽子だったが、まだ授業が始まってから20分程度しか経過していなかった。冷静に考えて我慢しきれる時間ではない。
しかし、陽子はここ1ヶ月の間に何度もおもらししてしまっている。先生にトイレに行きたい事を伝えれば、男子に冷やかされてしまうと思い、陽子は先生に言い出せなかった。
授業開始から30分、結局陽子は紙おむつを汚してしまい、5年生の春休みから続けてきたトイレトレーニングは水泡に帰す事になってしまった。
授業終了までの残り10分間、陽子はただ落ち込みながら授業を聞き流し、帰宅前のホームルームが終わるまで誰とも話すことはなかった。
学校を出る前に陽子は保健室でおむつを取り替えてもらうか迷ったが、そのまま帰ることにした。
6年生になってもおむつを汚してしまった自分を保健の伊藤先生に見せたくなかったのだ。濡れたおむつのままランドセルを背負い陽子は帰路についた。



帰宅後、陽子を待っていたのは母のおむつチェックだった。濡れたおむつを確認すると冷たく母は言い放った。
「やっぱりおむつしておいてよかったわね。みんなの前で恥かかなくてよかったじゃない」
何も言い返せない陽子は、顔をそらしながら、自分で濡れたおむつを脱ぎ、ポリ袋に濡れたおむつを入れた。
「陽子、こっちにいらっしゃい。ちゃんと拭かないとお尻がかぶれちゃうわよ」
陽子はおもらしした後は、母からウェットティッシュでお尻をきれいにしてもらう。ただおむつを履き替えるだけだと敏感肌の陽子はおむつかぶれになってしまうのだ。
その時ちょうど、姉が帰ってきたようだ。
「お母さんただいま。あれ、陽子またおむつ使ってるの?」
スカートをまくり上げお尻を突き出し、母にお尻を拭かれる陽子を見て、姉は呆れながら言った。
「今日からおむつに戻したのよ。初日から失敗しちゃったみたい。修学旅行までにはおねしょと一緒に治して欲しいんだけどね」
陽子は屈辱から誰とも目をあわせられずうつむいていた。陽子を猫っ可愛がりしている父親が帰ってきても気持ちは晴れないままだった。



翌朝、陽子は健やかに目覚めた。おむつは濡れていないようだ。母親がおむつチェックに部屋を訪れたが、胸を張ってチェックを受ける。
「あら、今日は失敗してないじゃない。この調子で10日くらい失敗しなかったら学校もパンツに戻してあげるわよ」
10日間も失敗しなかった事は今まで無いのだが、陽子の胸に淡い期待が宿った。おむつを履いての登校には変わりないが、陽子は機嫌をよくして、彩との登校時も会話が楽しく弾んで気持ちよく学校に到着した。



今日は体育が無い。陽子はまた真紀達におむつを疑われるかもと怯えていたので、時間割をみて胸をなで下ろした。
朝のホームルームが終わると、いつも通り真紀がトイレに誘ってきた。恥ずかしいながらも立ち上がり、弱々しく真紀の後ろに着いていくと、途中で男子に冷やかしを受けた。
「おい、今日はうんこ漏らすなよ。また換気するの面倒だからな」
男子が笑いに包まれる。陽子は冷やかしを受ける度に泣きそうになってしまう。ウンチを漏らして、水場で先生からお尻を洗われた事はもはやトラウマになってしまっているのだ。
「ちょっと男子やめなさいよ。陽子が泣いちゃったらどうするの」
真紀が言い返してくれた。
「陽子、気にしちゃダメだよ。さあ、おもらししないようにトイレ行こ」
皆の前で「おもらししないように」と言ってくるあたり、真紀はいい人ぶっているだけで陰険な女なのだ。男子に言い返してくれたりするのはいじめられている陽子を守っている事に陶酔しているだけなのだ。
おむつがクラス中にバレてから、孤立することを恐れて真紀たちのグループに所属し続けているが、陽子は一緒にいてストレスを感じるばかりだった。
陽子は真紀達を追い抜いて、トイレに向かった。トイレに行く途中の廊下で真紀達が追いついてきて、陽子に声をかける。
「よしよし。気にしちゃダメだよ。何か言われたら私に言ってね」
陽子はトイレの前で遂に、涙を流してしまった。
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