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第1章〜伝説が動き出した

伝説‥52話〜状況把握

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 ここは魔導師学園の時計塔の遥か上空。リュウキは、上空を大きく旋回すると激しく風の渦が舞い大嵐を起こしていた。

(クソッ!思うように操れねぇ……どうやって操れっていうんだよ。こんなの……。)

 するとシュウが天馬ペガサスにしがみつき、風で飛ばされそうになりながら、リュウキの方に向かって来ているのがみえ、

(……クッ、あ、あれは、まさかシュウなのか?でも、何でこんな所に……アイツもここに召喚されてたのか。てか、大丈夫なのか?必死で天馬ペガサスにしがみついてるみたいだが……。)

 するとシュウはリュウキの側までくると、天馬ペガサスに必死でしがみつきながら、

(何とかここまで辿り着いた。だが、思っていたより風が強すぎる。それに、こうもあっちこっちに激しく動かれたんじゃ会話するにも……さて、どうする?)

 シュウは少し考えた後、天馬ペガサスにしがみつき自分のステータス画面をビクビクしながら左の人差し指でチェックし始めた。

(確かあれがあったはずなんだが?)

 シュウはなるべく下を見ないように画面をスクロールしアイテムを探していた。

 リュウキがシュウの事を考えていると、旋回していリュウキが急にシュウを見て静止した。

(ん?何で急に止まったんだ?)

 シュウは不思議そうにしていると、急にシュウ目掛けリュウキが突進してきた。

(……クソッ!勝手に動くなぁ~!!)

 すかさずシュウは天馬ペガサスに指示を出し避けた。

「おい!?リュウキ!何のつもりだ!!」

 そしてリュウキは、向きを変えシュウを見ていた。


 一方ここは時計塔付近。もの凄い風が吹く中、クロノアはクレイ・ディオンが来るのを待っていた。

「……今の状況見る限りだと。やっぱりリュウキ、制御しきれてない。てか、まだクレイは来ないの?」

 するとクロノアの背後から人の気配を感じ振り返ると、グラディスとクレイ・ディオンが立っていた。
 
「シュウは無事辿り着いたみたいだが、まだ動きはないようだな。」

「お!こりゃまたえらい事になっとるやんけ。そこのお嬢ちゃん、もしかしてこのクレイ様の助けが必要やったりする?」

「あ、やっと来たわね。クレイ!」

「クロノア!これってどう見たって、あんまりええ状況やないなぁ。ある程度はグラディスさんに聞いとったけど……。」

「うん、私も何とかリュウキを助けたいんだけど。このもの凄い風が邪魔でこの先に進めないし、多分私の魔法じゃリュウキを助ける事は無理だと思う。」

「ああ、助けなあかんやろ。そやけど、シュウがビーストマスター になったって事は……あのアイテム使う気か?」

「ん?あのアイテムってなんなの?」

「ビーストマスター 以外には、使えんアイテムなんやけどな。ただ、この状況で使うつもりなんか?それに、シュウはこういう状況って確か1番苦手やったはず。」

「そういえば確かにボス戦苦手だったね。って、どうすんのよ。このままじゃ……。」

「どうするって言われてもな。俺がどうやってあそこに行くかだが……。」

 クレイは辺りを見渡しながら考えていた。

(この状況でシュウのサポートをするとしたら……そうなるとやなぁ、あそこに登るしかないちゅう事やな。そやけど、どうやってこの大嵐の中、あそこに行くかやなぁ……。)

 クレイは考えながら時計塔を見ていると、時計塔の全体の高さに1番近いのが、寮の屋根である事に気づき、

「仕方ねぇな。俺がシュウの近くに行くしかねぇよな。」

「クレイ、大丈夫なの?てか、その顔は何か方法を思いついたみたいだね。」

「ああ、思いついたっちゅうか。シュウの近くに行く方法を思いついただけや。」

「クレイ、この状況でシュウの側に行く方法があるというのか?」

「ああ、あるで。あそこにな!!」

 するとクレイは寮の屋根を指差した。

「……って、寮の屋根って……その前にどうやってあそこに行くつもりなわけ?」

「クロノアのいう通りだ!どうやって行くつもりなんだ?」

「どうやって行くか……俺は格闘系ほぼ全てマスターしとる。そやけど、今のまんまの武道家で大丈夫やろ。ジャンプさえ出来ればええしな。」

 クレイは軽く準備運動をし、

「ほな、リュウキとシュウの所に行ってくるとしよかぁ」

 クレイはその場で軽くジャンプを二回すると弾みをつけ、大嵐の中を寮目掛け駆け出した。

 そして、クロノアとグラディスは大丈夫なのかと不安をいだいていたが、今のこの状況ではクレイを信じるしかないと思いながら見送っていたのだった…。
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