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第4章〜儀式の始まり…そして…

番外‥㉑〜ラストバトル・そして、バトンタッチ‥前編

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 ここはゲーム内のバトル会場。リュウキとユウは既にスタンバイしていた。

 コウキは近くで見ていた。そして、辺りを見渡して見た。

(これって、リュウキさんとシュウさんの試合の時より人が集まっているように見えるんだけど。)

 辺りには他のギルドの者達もかなりきていた。


 ほんの数分前、リュウキとユウは既に台上に上がりスタンバイしていた。

「ユウ、お前とここでバトルをするとは思わなかった。これは俺にとっても、お前にとっても、最初で最期になるかもしれない。」

「そうですね。憧れた人とここで戦う事になるなんて凄く嬉しいです。だけど、やっぱり本当に俺なんかでいいのかなって思ってしまって。」

「ユウ、1つ聞いていいか?」

「はい、構いませんが。急にどうしたんですか?」

「そういえば、お前は最初から1人でギルド立ち上げたんだよな?」

「そうですけど。その事って、シュウから聞いたんですか?」

「ああ、シュウから聞いた。お前が何で1人ギルドを立ち上げたのか、前から気にはなってたんだが。昨日、お前に会って何となく分かったような気がする。」

「リュウキさん。俺は、今ではゲーム内であれば、こうやって会話できるようになりましたが。このゲームを始めたばかりの頃は、どう皆と接したらいいか分からず。勧誘されるのも何か嫌で、そこで少し様子を見ようと思って1人でギルド立ち上げました。」

「なるほどな。それがいつの間にか、俺達を脅やかすほどのギルドになったってわけか。フッ、まぁそのお陰で俺のギルドもここまで成長する事が出来たんだがな。」

「リュウキさん……。」

「さて、そろそろ始めないとな。それに、何かシュウと試合した時よりも、人が集まってる気がするんだが気のせいか?まぁいいか。その方がやりがいがあるしな。」

「ですね。それに、コウキもクレイ・マルスも来てるみたいですし。」

「ああ、そうだな。その前に聞きたいんだが。ユウ、お前はビーストマスターのままで戦うのか?」

「ん~、他にもマスターしている職はあるけど。慣れている職の方がいいし。それよりリュウキさんこそ、ソードマスターのままで戦うんですか?」

「さぁ、どうだろうな。その時の状況次第で変えるつもりでいる。」

 そう言うとリュウキとユウは互いに身構えた。

「さて、お手並み拝見といくか。」

 リュウキは天使と悪魔の飾りがついた剣と盾を構えた。

「リュウキさん、手加減は無しですからね。てか、その剣と盾って見た事無いんだけど。何処で手に入れたんですか?」

 ユウは黄金に輝く龍の鞭を構えた。

「ユウ。この剣と盾は俺が作った特注品なんだ。てか、そういうお前こそ、何気に見せてるその鞭はかなりの激レアじゃねぇか。どうやって手に入れた?」

「ん?ああこれですか。友人からある情報と交換で手に入れたんですけどね。」

「ある情報って……それに確か、オークションの相場は魔石だと約30000でゲーム内通貨だと相当な金額だったはず。」

「あえっと、そんなにするんですねこの鞭って……魔石で3000プラスその情報と交換で手に入れたんですけどね。」

「ん?ある情報ってなんだ?」

「何か今までアニメに興味示さなかったクレイが、急にうち魔の映画情報と先行予約チケットの予定日とか、後は声優情報とか色々と知りたくなったらしく、それと交換したんですけどね。」

「……そ、そうなんだな。なるほどそれでか……。まぁいい。じゃ、今度こそ始めないとな。」

「リュウキさん???」

(ん?まさかとは思うけど……まぁそうだとしても言わない方がいいよな。流石に……。)

 リュウキは職業を魔法戦士に変えた。

 そして、剣を天に翳し、

 《奥義 黒閃魔斬!!》

 漆黒の闇の光が剣に落ち、すかさずユウ目掛け剣を一閃し斬魔を放った。

(ユウ。どうするこの攻撃を……。)

(さてと、いよいよ試合開始か……。)

 ユウは闇の光の斬魔目掛け、鞭をしならせながら魔法陣を描き、

 《光龍ライトドラゴン

 するとその魔方陣から光龍が現れ、

 《光の咆哮!!》

 鞭をしならせながら振り下ろすと、光龍は口から激しく光る息を勢いよく吐き、闇の光を覆い打ち消した。

「なるほど、光龍を出して来たか。」

「リュウキさん、まさかとは思いますが。もしかして何か企んでますか?」

「さあな。ただ、ここからお前がどう出るかで勝負が着くって事だ!ここで終わるか。それともまだまだこのバトルが続くかはお前次第となる。さて、続きをしようか。」

(リュウキさん。いったい何をする気なんだ?俺は光龍を出した……。それで、あの余裕な口調。確か、色々な職業をマスターしてるって、聞いた事があるけど……。ただ、何を何処までマスターしているんだろう。)

 ユウは色々と考えながら、リュウキの動きを観察していた。

(ユウ。これで終わりって事は無いよな。流石に……。)

 リュウキはそう思いながら次の攻撃の準備をしていたのだった。
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