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第4章〜儀式の始まり…そして…

105話〜ホープとラミアスの水晶

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 ここは名もなき城の中庭の儀式場。辺りは既に暗く、更に月灯りが妖しげに赤く光を放ち、中庭に描かれた魔法陣を照らしていた。

 カプリアは水晶を持ちノエルがいる祭壇の方へと向かいながら水晶を通しホープと話をしていた。

「ホープ、何故ユリナの姿が変わった?」

「ごめん、カプリア。その事に付いて、今調べているんだけど、どうしても分からないんだ」

「そうなると、直接確認した方が良いかのう。……そうそう、前から聞こうと思っていた事なのだが。ホープと話していると、何故かは分からぬが、さほど神とは思えぬ時があるのだが?」

「そ、それは……多分、その事に付いて話すと長くなると思うし、それに今は、そんな話をしてる場合じゃないと思うんだけど……」

「うむ。……まぁ、確かにそうじゃな。その事に付いては、後でじっくりと聞くとするかのぉ」

 そう話しながらカプリアはノエルがいる祭壇の近くまで来ていた。


 場所は移り、ここはシェルズ城の王の書斎。アルフレッドとリリアスはニックが来るのを待っていた。

「御兄様。……既に神は、私達がやろうとしてる事を、知っているという事なのですか?」

「リリアス、恐らくはな。ただ、カプリアが持つ、あの水晶で話す神が、上位の神でない事を祈るしかない」

 そう話をしているとニックが、ゼエゼエと息を切らしながら扉を開け書斎へと入って来た。

「ハァハァ……。アルフレッド様、リリアス様、急ぎ駆けつけました」

「急がせてすまない。ニック、神にこの事が知られたやもしれん。ただ、あの水晶がラミアスの水晶でない事を祈るだけだがな」

「アルフレッド様。今何と?……神の水晶が他にも存在するのですか?それに、ラミアスの水晶とは何なのですか?」

「うむ。水晶は他にも存在する。そして、ラミアスの水晶とは、神々の塔の管理をしている、女神ラミアスと繋がる水晶。もし、ラミアスにこの事が露見するような事があれば、上位の神が動き出し、我々がやろうとしている事が、この世界の創造神であるアークラウムに知られてしまう」

 そう言うとアルフレッドは頭を抱え下を向いた。

「……もしその神に知られるとどうなるのですか?」

「ニック。神は直接は我々に干渉する事はできぬ。だが、人を使いその者に何らかの力を与える事は可能だ!」

「ではそうなると……」

「ああ、もしこの事に気が付いていて、今動きを見せていないとなると、もう既に手を打ち何者かに新たな力を授けた可能性が高い」

「御兄様、まさかとは思いますが……」

「リリアス。ああ、お前が思っている通りだ。この城に忍び込み、我々のやろうとしていた事をじゃました者……もしかすると、その者はラミアスと繋がっているかもしれぬ」

「では、アルフレッド様。そうなると、カプリアが持つあの水晶は、別の神の可能性が高いのでしょうか?」

「その可能性は高い。だが、分からぬ。カプリアが持つあの水晶が、もしラミアスではないとなると。水晶を使い話す神……唯一知り得る神となると、下位の神でありながら、自分の力で水晶を作った神がいたと本で読んだ事があったが……」

「御兄様、その神とはいったい?」

「リリアス。その神には対である神がいた。そして、その神は下界の者達の事が気になり観察していたが、楽しそうに話す姿を見て自分もその輪に入りたくなった。だが直接、下界の者達とは話せない。それならばラミアスが使うような水晶を作れば話せるのではと思い作る事にしたという事だ」

「アルフレッド様。それが、事実ならカプリアが持つ水晶はその水晶なのでは?そういえば今、対の神がいたと言っておられましたが、その神とはまさかあの言い伝えの……あの魔神の水晶……」

「ニック。ああ、恐らくは魔神ディスペアーと対となる神がホープ・ワールド。そして、魔神ディスペアーは元々の名をハーモニー・ワールドという名前だったらしい」

「その話は私も存じております。確かあの言い伝えでは、元々は神であるホープとハーモニーは、ピース・ワールドという対の神であった。……ホープが水晶を作り下界の者と話すようになると、その事に対しハーモニーは羨ましくなり、また寂しさも感じ始めた。そしてホープの水晶と同じ物を作り、その水晶で下界の者を操った……」

「ええ、ニック。確かその後、ハーモニーは下界の者の知恵を借り、自身も下界に降り立ち魔神とかし名前もディスペアーと名乗るようになったと聞きます」

「そこまでは、言い伝えにあった。だが、これは書庫で本などを読んでいた時に見つけた本だ」

 アルフレッドは引き出しから本を取り出し開き話し出した。

「この本には、その後の事に付いて書かれている。魔神ディスペアーが封印されたまでは言い伝えにはあるが。その後、神であるホープがどうなったのか、その事に付いて全部ではないが書いてある」

 そう言いアルフレッドは机の上にその本を置くと、ニックとリリアスに見せページをめくりながら、その事に付いて話し出した。
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