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本編
ラウンド 2
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唯桜は再び建物の中へ戻って行く。
ゲニウスと美紅がその背中を見送った。
「美紅。一応、唯桜が危なくなったら手を貸してあげて」
ゲニウスが言った。
「はい。しかし、私が行けば唯桜が嫌がりはしませんか?」
美紅が答える。
「負ける様な事があってはいけないからね。どうしてもとなれば行って貰うしか無いね」
「了解しました」
美紅の返事に、よろしくねとゲニウスが言った。
唯桜は建物の入り口付近に戻って来た。
さっき入って行った入り口を、出もしないのに二回もくぐる事になろうとは。
唯桜は気合を入れると走って入り口をくぐり抜けた。
さっきの中庭まで戻る。
砂煙は落ち着いて、視界が戻ってきていた。
「逃げずに良く戻って来たな」
ネルソンが言う。
「外で待っていれば良い物を。戻って来たらまた出さねばならんではないか」
ドン・ロッゴがため息を吐いた。
「知るか。やられたらやり返すに決ってんだろ。とっとと出て来ねえ、てめえらが悪い」
唯桜はそう言うと四人と対峙した。
向こうは中央に、ドン・ロッゴ、ネルソン、両脇にアオイとコンタが並んで居た。
「確かにアンタは化け物よ。それは認めるわ。一人一人では勝てそうも無いって事もね。でもこの四人なら形勢逆転ね。私達の勝ちは百%よ」
アオイが自信たっぷりに言い放つ。
「おーおー、さっきまで泣きそうだったのにパパが来たらえらい強気じゃねえか。もっぺん泣かすぞ」
唯桜が指の骨を鳴らす。
アオイが、何をッと気色ばんだ。
唯桜は辺りを見回してマキを探した。
そして、瓦礫の側にしゃがんで隠れているマキを見付けた。
「おいマキ、こっちへ来い」
唯桜がマキを手招きする。
すぐさまマキは飛び出して、唯桜の側へと走った。
そして唯桜へ抱き付く。
「おい、待て、まだだ。まだ終わってねえ!」
唯桜がマキを離す。
「すぐ終わるからもう少し待ってろ。危ねえから離れるんじゃねえぞ。後ろにくっついてろ」
唯桜がマキを自分の後ろへやった。
「逃がさなくて良いのかしら。自分の後ろが一番安全だとでも言うつもり?」
アオイが馬鹿にした様に言う。
「当たり前だろ。俺の後ろより安全な場所がこの世の何処に在るってんだ」
唯桜はそう言って両方の拳を、ガシッガシッと叩き合わせた。
気合い十分である。
「オヤジの不興を買う訳にはいかねえからな。こっからはマジだぜ」
そう言って唯桜は体を低く構えた。
ガシャッ! ガシャッ! ガシャッ!
同時に体の各部分が開いた。
中からは複数の銃口が現れる。
肩、腕、腹、足。唯桜の全身、至る所から現れた銃口がそれぞれ四人を捉えた。
「!?」
四人は息を呑んだ。
一瞬何が起こっているのか解らないと言う顔をしていた。
「危ねえだ!」
コンタが咄嗟に判断した。
「遅えッ!」
ほぼ同時に唯桜が叫ぶ。
全身の銃口が一気に火を噴いた。
ドガガガガガガガガガガガガガガッ!
無数の弾丸が空気を切り裂き、標的に降り注ぐ。
数秒間それが続き、再び辺りが白煙に覆われると唯桜は射撃を停止した。
本気を出せばこんな物である。
最初からやっていれば、こんなに時間が掛かる事でも無かったのだ。
唯桜はやれやれと肩の荷が降りるのを感じた。
「これは……凄い物だな。確かに誰も勝てない筈だ。人間離れし過ぎている」
白煙の向こう側から声がする。
唯桜はギョッとした。
「何だと……死んでねえのか」
唯桜は驚きを隠せなかった。
薄れていく白煙の中から四人が現れる。
「これだけの面子が集まってるんだ。いくらお前でも殺れねえよ」
ネルソンがボルサリーノハットを目深に被った。
何故無傷なのか唯桜には解らなかった。
またリッチの時みたいに、不死身だとか言うのは無しにしてくれよ。
「今度は俺達の番だ」
ネルソンが言った。
四人の前に人影が現れる。
例の守護精霊が現れる前ぶれだ。
コンタの前にも、そしてドン・ロッゴの前にも女が現れた。
「四人ともかよ」
唯桜が呟く。
面倒な事になったなと内心思った。
コンタとドン・ロッゴの守護精霊に関してはまだ未知数である。
さっき無傷だったのはどちらかの能力と言う事になる。
「私一人でもお前の相手くらい訳は無いが、私の力だとやり過ぎてしまうのでね。なるべくなら彼らに任せたかったんだが……」
ドン・ロッゴが静かに言う。
「チッ……大物気取りやがって」
唯桜が吐き捨てた。
「まずは俺達が相手だ」
ネルソンが一歩前に出る。
コンタとアオイも前に出た。
「今度はちゃんと力を合わせるんだ。良いな」
ドン・ロッゴが語気を強める。
三人は黙って頷いた。
ダッ!
最初にネルソンの守護精霊、ベイリーフ・ブラックが向かって来た。
鋭い剣の突きを、唯桜は自身も爪で迎え撃つ。
五指の先から特殊合金製の爪が飛び出す。
ギャリギャリギャリッ!
金属の擦れ合う音がして火花が散った。
ベイリーフ・ブラックの突きは唯桜の鼻先で止まった。
「へッ、惜しかったな」
唯桜が言う。
「安心するなよ。まだ終わってねえ」
ネルソンがそう言うと、その背後からライ&トゥルースが現れた。
「!?」
バキイッ!
両手の塞がっている唯桜の脳天を、ライ&トゥルースの棒が直撃した。
ゲニウスと美紅がその背中を見送った。
「美紅。一応、唯桜が危なくなったら手を貸してあげて」
ゲニウスが言った。
「はい。しかし、私が行けば唯桜が嫌がりはしませんか?」
美紅が答える。
「負ける様な事があってはいけないからね。どうしてもとなれば行って貰うしか無いね」
「了解しました」
美紅の返事に、よろしくねとゲニウスが言った。
唯桜は建物の入り口付近に戻って来た。
さっき入って行った入り口を、出もしないのに二回もくぐる事になろうとは。
唯桜は気合を入れると走って入り口をくぐり抜けた。
さっきの中庭まで戻る。
砂煙は落ち着いて、視界が戻ってきていた。
「逃げずに良く戻って来たな」
ネルソンが言う。
「外で待っていれば良い物を。戻って来たらまた出さねばならんではないか」
ドン・ロッゴがため息を吐いた。
「知るか。やられたらやり返すに決ってんだろ。とっとと出て来ねえ、てめえらが悪い」
唯桜はそう言うと四人と対峙した。
向こうは中央に、ドン・ロッゴ、ネルソン、両脇にアオイとコンタが並んで居た。
「確かにアンタは化け物よ。それは認めるわ。一人一人では勝てそうも無いって事もね。でもこの四人なら形勢逆転ね。私達の勝ちは百%よ」
アオイが自信たっぷりに言い放つ。
「おーおー、さっきまで泣きそうだったのにパパが来たらえらい強気じゃねえか。もっぺん泣かすぞ」
唯桜が指の骨を鳴らす。
アオイが、何をッと気色ばんだ。
唯桜は辺りを見回してマキを探した。
そして、瓦礫の側にしゃがんで隠れているマキを見付けた。
「おいマキ、こっちへ来い」
唯桜がマキを手招きする。
すぐさまマキは飛び出して、唯桜の側へと走った。
そして唯桜へ抱き付く。
「おい、待て、まだだ。まだ終わってねえ!」
唯桜がマキを離す。
「すぐ終わるからもう少し待ってろ。危ねえから離れるんじゃねえぞ。後ろにくっついてろ」
唯桜がマキを自分の後ろへやった。
「逃がさなくて良いのかしら。自分の後ろが一番安全だとでも言うつもり?」
アオイが馬鹿にした様に言う。
「当たり前だろ。俺の後ろより安全な場所がこの世の何処に在るってんだ」
唯桜はそう言って両方の拳を、ガシッガシッと叩き合わせた。
気合い十分である。
「オヤジの不興を買う訳にはいかねえからな。こっからはマジだぜ」
そう言って唯桜は体を低く構えた。
ガシャッ! ガシャッ! ガシャッ!
同時に体の各部分が開いた。
中からは複数の銃口が現れる。
肩、腕、腹、足。唯桜の全身、至る所から現れた銃口がそれぞれ四人を捉えた。
「!?」
四人は息を呑んだ。
一瞬何が起こっているのか解らないと言う顔をしていた。
「危ねえだ!」
コンタが咄嗟に判断した。
「遅えッ!」
ほぼ同時に唯桜が叫ぶ。
全身の銃口が一気に火を噴いた。
ドガガガガガガガガガガガガガガッ!
無数の弾丸が空気を切り裂き、標的に降り注ぐ。
数秒間それが続き、再び辺りが白煙に覆われると唯桜は射撃を停止した。
本気を出せばこんな物である。
最初からやっていれば、こんなに時間が掛かる事でも無かったのだ。
唯桜はやれやれと肩の荷が降りるのを感じた。
「これは……凄い物だな。確かに誰も勝てない筈だ。人間離れし過ぎている」
白煙の向こう側から声がする。
唯桜はギョッとした。
「何だと……死んでねえのか」
唯桜は驚きを隠せなかった。
薄れていく白煙の中から四人が現れる。
「これだけの面子が集まってるんだ。いくらお前でも殺れねえよ」
ネルソンがボルサリーノハットを目深に被った。
何故無傷なのか唯桜には解らなかった。
またリッチの時みたいに、不死身だとか言うのは無しにしてくれよ。
「今度は俺達の番だ」
ネルソンが言った。
四人の前に人影が現れる。
例の守護精霊が現れる前ぶれだ。
コンタの前にも、そしてドン・ロッゴの前にも女が現れた。
「四人ともかよ」
唯桜が呟く。
面倒な事になったなと内心思った。
コンタとドン・ロッゴの守護精霊に関してはまだ未知数である。
さっき無傷だったのはどちらかの能力と言う事になる。
「私一人でもお前の相手くらい訳は無いが、私の力だとやり過ぎてしまうのでね。なるべくなら彼らに任せたかったんだが……」
ドン・ロッゴが静かに言う。
「チッ……大物気取りやがって」
唯桜が吐き捨てた。
「まずは俺達が相手だ」
ネルソンが一歩前に出る。
コンタとアオイも前に出た。
「今度はちゃんと力を合わせるんだ。良いな」
ドン・ロッゴが語気を強める。
三人は黙って頷いた。
ダッ!
最初にネルソンの守護精霊、ベイリーフ・ブラックが向かって来た。
鋭い剣の突きを、唯桜は自身も爪で迎え撃つ。
五指の先から特殊合金製の爪が飛び出す。
ギャリギャリギャリッ!
金属の擦れ合う音がして火花が散った。
ベイリーフ・ブラックの突きは唯桜の鼻先で止まった。
「へッ、惜しかったな」
唯桜が言う。
「安心するなよ。まだ終わってねえ」
ネルソンがそう言うと、その背後からライ&トゥルースが現れた。
「!?」
バキイッ!
両手の塞がっている唯桜の脳天を、ライ&トゥルースの棒が直撃した。
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