見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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 屋敷の中心に位置すると思われるその部屋は、思ったよりも広かった。
遠くなりそうな意識を必死に繋ぎ止めながら、ぼんやりと部屋を見渡す。

 窓がない。
にもかかわらず部屋の中は明るかった。
壁や天井が、それ自体が、薄く発光しているように見える。

 部屋の中央に大きな長テーブルが置いてあり、その奥の方に数人が席に着いてる。

 他にも人が居たのか。

 何となく意外に感じる。
これだけの屋敷に女が一人の方がおかしいか。

 全員が若く見える。
女と同じく白人ではないようだ。

 十代が二人、二十代が一人、そしてこの女も二十代と言った所か。

「何だそれは」

 手前に座る十代の男が俺を見て言った。
おそらく二十歳手前くらいか。
無造作な髪型で特に身なりに気を使うタイプには見えない。
ただ好戦的なタイプには見える。

「玄関に落ちていたのよ。助けて欲しいらしいわ」

 女が何の感情も示さず答える。

 落ちていたか。
随分な言い方だが間違ってはいない。

「勝手に拾うな。もとの場所に返したまえ、面倒事は御免だ」

 最初の男の向かいに座る二十代の男が言った。
こっちは身だしなみにキッチリ気を使うタイプのようだ。
髪を後ろへ撫で付け、神経質そうに指先でテーブルを叩いている。

 それにしても人を拾われた子犬のように言うな。
実際あまり大差ないのは事実だが。

 一番奥の上座に座っているのはまだ子供か。
三人の位置関係からはどういう力関係なのか全く推測できない。
家族ではないのか。
それともそういうことを気にしない家系なのだろうか。

 いや、そもそも家族なのか。
口調からもこの女が小間使いではないのは明らかだ。

 一体誰が主なのか。

「ただの好奇心よ。生の人間を見るのは何十年ぶりかしら」

 生の人間?何十年?
どういうことだ?

「面倒事を持ち込むなと言っているんだ。放っておけ、その感じではどうせ死ぬ」

 二十代の男がそう言って俺を見た。
なんて冷たい言い種だ。
しかしながら、今の俺はそれに反応する余裕すらなかった。

「こんな所に人間が入ってくる事自体が珍しいのに死にかけじゃあなあ。興味が湧くのも仕方が無いんじゃないの?何があったのか聞くだけ聞いてみれば。どうせ暇なんだし」

 二十歳手前の男がそう言って頬杖をついて、こっちを見た。

 こいつら、俺のこの状況を見て全く動揺していない。

「……良いんじゃない。助けてあげたら?オオムカデンダルが面倒見るよ。きっと」

 少年が初めて口を開いた。
オオムカデンダル?なんだそれは?

「……おいおい、勝手に決めないでくれよ。俺はペットなんて飼う気はないぞ」

 二十歳くらいの男が少年に向き直る。
オオムカデンダルは名前なのか?
彼がオオムカデンダル?

 子供の頃はさぞ虐められた事だろう。
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