見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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 どのくらい時間が過ぎただろうか。
この中は快適で心地が良い。
時間の感覚も忘れてしまいそうなくらいだった。

「さすがね。文明に頼らない暮らしをしていると、肉体の方も頑強になるのね」

 不意に女の声がした。
目を開くと、例の女がガラスの外から俺を覗いている。

「予定より早くてこっちが驚くけど、もう良いでしょう」

 さっきからよく意味のわからないことばかり言っている気がする。

シュー

 蓋が勝手に開いた。
どういうカラクリなのか。

 俺は立ち上がってみた。
スッと立てる。いつもと同じように、いや、普段よりももっと軽やかに体が動く。

「ダメージは無さそうね」

 女は俺の様子を眺めてそう言った。
口調は女らしいがどこか事務的だ。
冷たいと言うか演じていると言うか。

「こっちよ」

 そう言うと今度は来た通路を戻って最初の部屋へと着く。
顔ぶれも最初と同じだ。全く変わらない。

 この広さの屋敷に召し使いも無くたった四人で住んでいるのか。
こんな隔絶された土地で、一体どうやって。

 それに俺のこの体。

 あれだけ瀕死の状態だったのに、今はピンピンしている。
確かに折れた足は折れたままのようだし、切り傷は依然開いたままだ。

 だが、疲労は完全に抜けている。
痛みも随分と和らいでいて、熱も平熱まで下がっている。
やはりここは冥土なのか。

「ここへ座って」

 女が椅子を引いて座るように促す。
俺は言われるままに腰を下ろした。

「で、お前は何者だ?」

 オオムカデンダルが俺に尋ねた。
それにしても一体なんて名前だ。

「……俺は冒険者をしているレオと言う者だ。職業は剣士、魔法も少し使える。階級はミラーナイトだ」

 俺はそこまで言って彼らの顔を見渡した。
誰も俺の方を見ていない。
本当に興味が有って聞いているのか不安になってくる。

「……ここへは五人パーティーニチームで来た。目的はここから都に向かって進むと森がある、そこを調査する事だった」

「過去形だな。全滅したか」

 オオムカデンダルが言った。
俺は頷いた。

「ああ。元々は付近の村で行方不明事件が頻発していて、それで捜索依頼が何回かあったんだ。その度に捜索隊が派遣されたんだが……全部音信不通になっちまった」

 俺は全滅したであろう自分のパーティーの事を思うと胸が張り裂けそうになった。
俺だけが生き残って、しかも何の解決にも至っていない。

 言ってみれば俺は一人だけ逃げ出したのだ。

 戻らなければ。
このままでは死んだ仲間に顔向け出来ない。
生きて戻っても胸を張って冒険者など続けていけない。
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