見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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「行方不明ねぇ」

 オオムカデンダルがため息混じりに呟く。

「じゃあ、そのお前たちが全滅した理由は行方不明者と関係あんの?」

彼の問いに俺は首を横に振った。

「……わからない。ただ心当たりは全て当たった。あと残る区域はあの森だけだったんだ。捜索隊もあの森を捜索する度に帰っては来ない。あの森に何かあると考えるのは普通だろう?」

 そう言いながら俺は自分の腕を見る。
深めの切り傷がある。
しかし、痛みはもう感じないし治りかけているのが判る。
さっきの棺の効果なのか?

 だがこの傷はヤツのせいだ。
痛みを感じないのはどこか不満だった。
俺だけが今、安全な場所に居るのが情けない気がした。

「……で、なんで全滅した。熊でも出たか?」

 俺は思わず立ち上がった。

「違うッ!」

 折れた足が体を支えきれずに、俺はその場で倒れた。

「俺達は熟練の冒険者を集めて依頼を受けたんだ!熊ごときで全滅はしない!」

 そうなのだ。
熊を甘く見ている訳ではない。
事実、中級未満の冒険者、例えばレッドナイトやブルーナイトクラスならそれも有り得なくはない。

「俺達は全員ミラーナイトクラス以上だ。しかも一〇人も居て全滅だなんて有り得ない」

 俺はそのまま床に座ったまま彼を見つめた。
彼は頭を掻きながら退屈そうにテーブルの上を見ている。

「じゃあ何にやられたんだ?お前を見ていると強そうに思えないんだよなあ。熊でもやられそうだし……」

 俺はカッとなった。

「なんだと……ッ!」

 しかし、情けないことに俺は立ち上がることさえ難しかった。

「ミラーナイトミラーナイトって言われても俺たちには何の事かさっぱり解らねえしな。そのミラーナイトが弱いんじゃないの?」

 なんだって?
俺は耳を疑った。

 ミラーナイトを知らない?
どういう意味だ。
皮肉のつもりか。

「アンタたちこそ何者だ。こんな人も立ち入らない陸の孤島で何をしている」

 俺は思わず感情的になった。
全滅した仲間の事さえも馬鹿にされている気がした。

「別に何もしてない。ここに住んでるだけだ」

「こんな所にか?どうやって暮らせると言うんだ、食料も日用品も手に入らないのに。まさか毎週日曜日は村まで買い出しか?  」

 俺は馬鹿にしたような口調で言い返した。
そうでない事は一目瞭然だ。
これが精一杯の反論だとは我ながら情けない。

「別に。全て足りてる。ここから出る必要などない」

 彼はそう言ってチラリとだけ俺の顔をみた。
嘘をついているようには見えなかった。
だが、どうやってそれを可能にしているのか皆目見当もつかない。
自給自足をするような顔ぶれには思えない。

「……で、結局のところ、何にやられたんだ?」
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