見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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十二

「なんだ、そんなことか。問題ない」

 オオムカデンダルは俺の言うことなど少しも意に介さなかった。
ヤツと出会った事が無いのだからそれは仕方がない。

 しかし、だからと言って仕方がないでは済まされない。
ミラーナイト級の冒険者が一〇人がかりで全滅したのだ。
とても二人ではどうにかなる相手ではない。

「まて!俺の話を聞け!ヤツを侮るな!」

 俺はオオムカデンダルの背中に追いすがる。

「別に侮ってねーよ。問題ないから問題ないと言っている。それだけだ」

 オオムカデンダルは全く俺の言葉に耳を貸す気がない。

「お、おい!待てって!」

 そうこうしているうちに、俺たちは薄汚い家に辿り着いた。

 「こんな所に家が……」

 森の中にポツンと家が建っていた。

 無気味だ。
それ以外の感想などない。
薄汚れた、手入れなどしたことが無いであろう家だ。

 人の住んでいる気配など微塵も無い。
だが、それなのに人が歩きそうな動線には雑草が生えていない。

 何かが歩き回っている。
この家の周りを頻繁に歩いている。
その動線に植物は生えない。

 俺の額に脂汗が滲む。

 ヤツだ。

 それ以外に思い浮かばなかった。
オオムカデンダルは入り口を求めて家の向こうへと回り込んで行く。
その行動には全く躊躇がない。

 恐ろしくはないのか。
それとも、何も居る筈がないと高を括っているのか。

 とにかく彼を一人にするわけにはいかない。
彼がどれだけ腕に自信があったとしても、それはあくまで一般人としての話だ。
村一番の力自慢と変わらない。

 俺が護らなければ。

 もとはと言えば、これは俺自身の仕事なのだ。

 オオムカデンダルはすでに家の中へと足を踏み入れていた。
俺も直ぐに後を追う。

 ヤツはいつも背後から現れる。
俺は彼の後ろを守りながら慎重に奥へと進んで行った。

「おい、如何にも怪しそうな階段があるぜ」

 オオムカデンダルはそう言って足下を顎で指した。

どういう用途の部屋なのかも判らない何もない部屋の真ん中に、地下へと続く階段があった。
階段の周囲は黒ずんで如何にも汚い。

「……これは、血じゃないのか」

 俺はこの不気味な黒ずみが血であることに気が付いた。
最近の物らしい湿った感じもあったが、多くは古い物のようだ。

 辺りはもう、とっくに日が暮れて薄暗くなっている。
完全に夜になり、真っ暗な完全な闇になるまであともう幾分もないだろう。

 こうなってしまったか。
俺は覚悟していたにもかかわらず動揺していた。

 正直、恐ろしい。

 そんな俺をよそに、オオムカデンダルは階段を軽い足取りで降りていく。 
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