見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二三

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「どういう意味だ」

 早く言うがいい。今さら恐れるものなどない。
俺のこの気持ちは本心だ。
だが、勿体つけられるのは御免だ。

「代金はお前の人生だ」

 オオムカデンダルはキッパリと言い切った。

「俺の人生?」

 意味が判るような判らんような言い回しだ。

「俺の命だと言いたいのか。別に構わん」

「いや、別にお前の命など貰っても仕方がない。お前の今後の生き方を俺が決めるんだ。従ってもらうぜ」

 なるほど。奴隷と言う事か。
死ぬのとどっちがマシだろう。
俺は冷静にそんな事を思った。

「で、だ。そうは言っても女の方は結構時間がかかる。そこで、その間にお前にも処置を受けてもらおう」

 オオムカデンダルは、全ては決定事項なのだと言わんばかりにとうとうと語り続けた。

「処置を受ける?なんだ」

「簡単な改造手術だ」

 カイゾウシュジュツ?
なんだそれは。

「どうせ理解出来ないだろうから説明はしない。簡単に言えば、俺に相応しい手駒にする為にお前を強くしてやると言っているんだ。その為の処置を肉体に施す」

 これで簡単に言ったことになるのか。
本格的な説明は聞かなくて正解のようだ。

「と言っても単純な肉体強化に留める。見た目も変わらないし、大掛かりな手術も必要ない。日帰り可能だ。美容整形みたいなもんだ」

 美容整形が何かは判らないが、日帰り出来るくらい簡単な行為と言いたいらしい。

 判ったと俺は答えた。

 ふと見ると、インテリ男が何か言いたそうにしている。
だが自ら、もう関係ないと言った手前、どうする事もできずにモヤモヤしているようだ。

「百足君、本気なの?」

 女が問いかけた。
モモタリ。それもオオムカデンダルの名前なのか。
ややこしいな。

「本気だよ。いい加減退屈してたし、外を知るには最高のサンプルだろ。使わない手はないぜ」

 オオムカデンダルはそう言って俺に着いて来るように言った。

 外を知るには最高のサンプル。
オオムカデンダルが何を考えているのか少しずつ判ってきた気がした。

「なあ」

 俺は通路を歩きながらオオムカデンダルの背後から声を掛けた。

「ん?」

「あんたの名前なんだが」

 『勝手知ったる他人の我が家』と言う訳でもなかったがもう三度目だ。
地下室への道順も覚えた。
俺は自分の足が自然に地下室へ向かっている事に可笑しさを感じていた。

 そして幾つか質問してみる事にしたのだった。

「ああ。そう言えばまだ言ってなかったっけ?百足謙太郎だ。ファミリーネームが百足な」

 ファミリーネームが先?
やはり我々とは違う。俺の知る限りそんな国はなかった筈だ。

 やはりどこか遠いところの人間なのか。

「オオムカデンダルと言うのはニックネームなのか?」

 もっと大きな疑問はたくさんある筈だが、それが気になって俺は仕方がなかった。
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