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ニ四
「そうか。そこからか」
オオムカデンダルこと百足はそう言って笑った。
「百足謙太郎が俺の本名だ。オオムカデンダルはお前も見ただろ?あの俺が変わった姿」
なるほど。
なるほどなどと納得したようなことを言ったが、俺は全然納得していない。
名前のことはそれでよくても、あの姿は一体なんなのだ。
「で、あの短気なキザ男が蜻蛉洲秀一。あいつも別の名前と姿を持ってる。オニヤンマイザーって名前だ」
アキツシマ。
確かにそう呼ばれていた。
「女の方が貝塚令子。ウロコフネタマイトってのがもう一つの名前。あとちっちゃいのがフィエステリアーム」
カイヅカレイコ……アキツシマシュウイチ……。
いずれも耳に馴染みのない名前だ。
明らかに、そして如何にも異国の名前と言う雰囲気だ。
もちろんモモタリケンタロウも同様だ。
「少年は?フィエステリアームの本名」
俺は少年の本名を尋ねた。
フィエステリアームが一番俺たちの感覚に近い。
「フィエステリアームがそのまま名前だ。あいつに親は居ない。ここで生まれのだ、だから人間だった頃の名前などない」
親がない?孤児ということか。
しかしこの国で生まれ育った少年ならば、それはこの国の人間ということになる。
俺はようやく少しだけ安心した。
全く自分たちと繋がりがないと言うのはどことなく親近感を感じづらい。
こんな些細な共通点でも安心感を感じられるとは、人間とはつくづく矮小な存在なのだと思う。
「ここで生まれたなら両親は判るんじゃないのか。探さないのか?」
それなら力になれそうだと俺は思った。
全国を旅するのは冒険者の仕事みたいなものだ。
道すがら人を訪ね歩くと言うのもそう珍しいことでもない。
だが、必ずしも両親が健在だとは限らない。
両親が亡くなったが故に彼らに託された可能性もある。
「いやそうじゃない。あいつには親が存在しない。生まれたという言い方がそもそも間違いだった。正確には造り出された。だ」
「ん?意味が判らないんだが」
文法が間違っているのか、意味が判らない。
「造ったんだよ、俺たちで。誤解するなよ。お前が考えている子供を作ったとは意味が違うからな」
オオムカデンダルはそう言ってから、『面倒だからこれ以上は説明しない』と言った。
確かに彼らの存在や言うことは、理解できないことばかりだ。
説明されても理解できないだろうことも何となく判る気がする。
「まあ、俺が知ったところでどうなる物でもないのかもしれんな……」
俺は自分でも意外なほど、割りとあっさり納得した。
オオムカデンダルが珍しそうに振り返った。
「ははっ。段々と判ってきたじゃないか」
そうして俺は三度目の地下室の扉をくぐった。
オオムカデンダルこと百足はそう言って笑った。
「百足謙太郎が俺の本名だ。オオムカデンダルはお前も見ただろ?あの俺が変わった姿」
なるほど。
なるほどなどと納得したようなことを言ったが、俺は全然納得していない。
名前のことはそれでよくても、あの姿は一体なんなのだ。
「で、あの短気なキザ男が蜻蛉洲秀一。あいつも別の名前と姿を持ってる。オニヤンマイザーって名前だ」
アキツシマ。
確かにそう呼ばれていた。
「女の方が貝塚令子。ウロコフネタマイトってのがもう一つの名前。あとちっちゃいのがフィエステリアーム」
カイヅカレイコ……アキツシマシュウイチ……。
いずれも耳に馴染みのない名前だ。
明らかに、そして如何にも異国の名前と言う雰囲気だ。
もちろんモモタリケンタロウも同様だ。
「少年は?フィエステリアームの本名」
俺は少年の本名を尋ねた。
フィエステリアームが一番俺たちの感覚に近い。
「フィエステリアームがそのまま名前だ。あいつに親は居ない。ここで生まれのだ、だから人間だった頃の名前などない」
親がない?孤児ということか。
しかしこの国で生まれ育った少年ならば、それはこの国の人間ということになる。
俺はようやく少しだけ安心した。
全く自分たちと繋がりがないと言うのはどことなく親近感を感じづらい。
こんな些細な共通点でも安心感を感じられるとは、人間とはつくづく矮小な存在なのだと思う。
「ここで生まれたなら両親は判るんじゃないのか。探さないのか?」
それなら力になれそうだと俺は思った。
全国を旅するのは冒険者の仕事みたいなものだ。
道すがら人を訪ね歩くと言うのもそう珍しいことでもない。
だが、必ずしも両親が健在だとは限らない。
両親が亡くなったが故に彼らに託された可能性もある。
「いやそうじゃない。あいつには親が存在しない。生まれたという言い方がそもそも間違いだった。正確には造り出された。だ」
「ん?意味が判らないんだが」
文法が間違っているのか、意味が判らない。
「造ったんだよ、俺たちで。誤解するなよ。お前が考えている子供を作ったとは意味が違うからな」
オオムカデンダルはそう言ってから、『面倒だからこれ以上は説明しない』と言った。
確かに彼らの存在や言うことは、理解できないことばかりだ。
説明されても理解できないだろうことも何となく判る気がする。
「まあ、俺が知ったところでどうなる物でもないのかもしれんな……」
俺は自分でも意外なほど、割りとあっさり納得した。
オオムカデンダルが珍しそうに振り返った。
「ははっ。段々と判ってきたじゃないか」
そうして俺は三度目の地下室の扉をくぐった。
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