見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二八

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「コイツが戦闘魔人になってたら恐ろしいことになってだろうよ。勿体ない」

 オニヤンマイザーは半信半疑で俺を見た。

「まさか……本当か……?」

「コイツは一般人とは違うみたいだしな。ひょっとしたら人種も俺たちとは厳密には違うのかもしれん。それが関係あるのかも」

 オオムカデンダルはそう言って顎を触った。

「……でも、どのみち私たちにはもう戦闘魔人を造るだけの部材も部品もないわ。特殊合金を生成することも難しいのだから」

『残念ね』と言ってウロコフネタマイトは俺に微笑んだ。

 何が残念なのかは判らないが、俺は別に気にしないことにした。
彼らの話を詳しく聞いたところで俺に理解できる筈もないと思うからだ。

「それで百足くん。一体何をするつもりなの?」

 ウロコフネタマイトがオオムカデンダルに問い掛けた。

「まずレオに諜報員をやってもらう。この世界の輪郭ぐらいは俺たちも知っているが、詳しいことは知らない訳だ。興味がなかったからな」

 オオムカデンダルはくるくる回る不思議な椅子に座ったまま、自らくるくると回りながら話した。

「……知ってどうする」

 オニヤンマイザーが冷たく言った。

「別にどうもしない。強いて言えば暇だから?俺はもう退屈で仕方がないんだ。レオがここへ来たのは良い機会だ」

「暇だからだと?」

 オニヤンマイザーがカチンときた。
判りやすい。

「一度は俺もお前の意見に賛成した。だがこの先数千年、いやもしかしたら数万年も隠遁生活することに嫌気が差してきていたんだ。だからさ」

 オオムカデンダルはそう言ってくるくると回り続けた。

「ふん……支配するべき世界を失って、目指す理想郷も失った。今さらこんな原始的な世界を支配してお山の大将にでもなろうと言うのか。お笑い草だ」

「支配するかどうかは知らなければ判断できないだろ?だから調べるんじゃないか。それに俺たちは『科学者』だ。好奇心を抑えられないんでね」

 そう言われたオニヤンマイザーの顔が曇った。
言い返せないといった表情だ。

 しかし、『科学者』とはいったい何だろうか。
オオムカデンダルは『俺たちは科学者だ』と言った。
つまり彼らは全員その『科学者』なる者ということか。

「まあ、調べるだけなら良いんじゃない?私たちも退屈していたことは本当なんだし」

 ウロコフネタマイトがオニヤンマイザーに助け船を出す。

「科学者の好奇心を盾にされたら言い返せないわよ。特に貴方は」

 オニヤンマイザーはそう言われて腕組をした。
そうして自分も椅子を反対へ向けた。

「ふん……勝手にしろ」

 オニヤンマイザーは静かにそう言った。
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