見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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三四

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 中へ足を踏み入れる。
斡旋所の規模だけ見ても違いは一目瞭然だ。
ロビーも広くラウンジ部分はさらに広い。

 カウンターへ行く前に依頼の貼り出された掲示板に立ち寄った。
貼り出された依頼書を眺める。
思ったよりも依頼の数が多いなと思う。

 これは。

 中に一つ気になる依頼書がある。

 行方不明者の捜索。

 俺は思わずそれを手に取ると、そのままカウンターへと向かった。

「すまない。これについて少し聞きたい」

 俺は受付嬢に依頼書を手渡す。
聞けばここ三ヶ月ほど、外れの廃墟近くで行方不明者が続出しているらしかった。

「廃墟の調査は当然済んでいるだろう?」

 一番怪しいのは誰が考えてもそこである。
例の件と同じ構図なら中には化け物がいて、あの紋様も見つかる筈だ。

「それなんですが……」

 受付嬢は少し言いにくそうにしながら続けた。

「もう六組ほどパーティーが依頼を受けてるのですが、まだ誰も戻ってきていません。さすがに誰も受けなくなって最近はこの依頼書は貼られっぱなしなんです」

 同じか……

 パーティーの構成を聞いたが最初はブルーナイトクラスから始まり、一番最後の六組目はミラーナイトクラスにハイパーナイトクラスが一人混じっていたらしい。

「それでも駄目だったか……」

 俺はいささか落胆した。
だが一組辺り四、五名がパーティーとしては一般的だ。
如何にハイパーナイトクラスでも一人ではどうにもなるまい。

「確か依頼の達成は早い者勝ちだったな?」

 受付嬢がはいと答える。

「ならば俺がこの依頼を受けよう」

「え?お一人でですか?」

 受付嬢が驚いて目を丸くした。

「いや、さすがに一人では予想外の状況に対応できない。腕の立つのを三人ばかり紹介できないか?」

 受付嬢は今度は腕組みをして首をかしげた。
表情がコロコロ変わって面白い。

「今、ご紹介できそうな冒険者さんは、みんな別の依頼を受けられていますね……申し訳ありませんが、ご自分で募って頂くしか……」

 そういう事なら仕方がない。
早速例のバッジを使うときだ。

 俺はケープをはだけると首もとに着けたバッジを見せた。

「では俺が依頼を新たに出し直そう。報酬は今の倍だ。ただし、募集要項にハイパーナイト以上、先着三名までと記してくれ」

 受付嬢はバッジを見るとまた目を丸くした。
見ていて飽きないな。

「本物……?本物ですね……判りました。直ぐにでも!」

 受付嬢は愛くるしい仕草とは打って変わって、てきぱきと仕事を始めた。

「できました!早速貼り出しますね!」

 そう言うとパタパタと小走りに掲示板に近付いて依頼書を貼り出した。

「ではメンバーが決まりましたらご報告ください」

 受付嬢はそう言うとペコリと頭を下げた。
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