見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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三六

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「では、お主はどうやってそいつを倒したのだ?」

 バルバが俺の顔を見た。

「首だ。完全に首を落として体と分けるのだ。それでも死にはしないが、体は動かなくなっていた。頭からの意志が体に届かないかららしい。どのみち頭だけではもう何もできまい」

 俺はオオムカデンダルの言葉をそのまま説明に使った。
さすがに彼らのことは話せない。

「なるほど首をねぇ」

 バルバは感心したように顎をさすった。

「お主、ミラーナイトクラスにしては中々やるな。そろそろハイパーナイトも見えてきたのではないか?」

 そう言ってバルバは笑った。

「そう言うあんたは何故一人なんだ?パーティーは組まないのか?」

 俺は素朴な疑問をぶつけた。
ハイパーナイトクラスなら引く手あまただろうに。
それに修行僧のハイパーナイトクラスとは、その方がよほど珍しい。

「そんなの決まっている。修行の身だからだ」

 俺は肩透かしを食らった。
そんな理由なのか。
修行僧の考えることは判らないなと思った。

「つまりあれか?最終的には悟りを開くとかそう言うヤツか?」

「もちろんそうだ。肉体の鍛練と精神の修養。両方を極めるのが目的だ。そして世の弱き者、力なき者たちの力になる。拙僧が冒険者を続ける理由としては十分だ」

 話を聞いて俺はバルバを理解した。
彼は俺のよく知る、いわゆる『クレリック』とは違うが、彼もまた間違いなく聖職者なのだ。

「残念だがあまり時間がない。ここへは明日また来よう。今日は取り敢えず下見に行こうと思うが」

 俺はエールを飲み干してしまった。
そろそろ出発しないと夜までに戻って来られない。

「うむ。だが足はどうする?馬はあるのか?」

 バルバが言った。

「いや。馬はないが、ここなら貸し馬があるだろう。今日は下見だけだからな。本格的に乗り込むときは歩いていく」

 俺がそう言うとバルバは『それがいい』と賛同した。

 立ちあがりカウンターに向かう。
カウンターには三人組の冒険者の姿があった。
その中の一人が振り返り俺たちを指差す。

「彼ら?」

 女性だ。
受付嬢が『はい』と答えた。
女性の後ろには甲冑を身に付け、大きな盾を持った男がいた。
隣にはローブを身に付けた褐色の肌の少年が立っていた。

 俺たちを指差した女性が近付いてくる。

「依頼に参加したいのだけど空いているかしら?」

女性がそう言って微笑んだ。

「廃墟の調査か?ああ、空いている」

 俺がそう答えると女性はバルバを見た。

「三人募集とのことだったけど、既に一人居るみたいね。私たち三人なんだけど……」

 そう言って俺とバルバを見比べる。
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