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三九
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辺りはこの先、段々と草の丈が高くなっていく。
視界は悪くなっていくのだ。
胸の辺りまで伸びた草が教会の廃墟、そして向こうの森まで続いている。
その間を縫うように、人がわずかに通るのであろう細い道が、あぜ道のように出来ていた。
ルガが小声で叫んだ。
「待って、足跡だ」
声を低く絞っていたが緊張を促すような激しい言い方だ。
「先のパーティーの物か?」
俺が尋ねる。
「違う。人間じゃない。獣の物……でも」
ルガが判断しあぐねている。
「何の足跡だ?」
今度はガイが尋ねた。
「判らない……」
判らない?
ハイパーナイトクラスのレンジャーが判らないとは。
「知らない足跡なの?」
ディーレも質問する。
緊張感が高まるのを感じる。
「狼の物に見える……けど」
狼?
こんなところに狼とは、珍しいと言えば珍しいがモンスターと言うには特に珍しくはない。
「狼か。警戒は必要だが目的の奴とは関係なさそうだな」
ガイが少し安心したように言った。
「違うの……狼なんだけど、これは違う」
どういう意味だ?
さっぱり要領を得ない。
「なんだ。どうした、はっきりしろ」
ガイが少しイラついたように言う。
「大きいんだよ。狼の足跡だけどこれは大きすぎる。こんな狼はいない」
つまり、馬鹿デカイ狼ということか。
狼というだけで馬鹿にしたものではない。
野犬などとは比べ物にならないほど獰猛で狡猾だ。
サイズだって比較にならない。
高さだけでも一五〇センチはある。
大きな子供くらいだ。
大型ともなればもっと大きい。
それよりも大きいというのか。
「大きいとは大体どのくらいか推測できるのか?」
俺はルガに尋ねた。
「……信じられないけどこの足跡が本物なら……たぶん熊と同じくらいかな」
全員がルガの元に集まる。
うっすらと足跡らしい形跡も見えるが、ハッキリとは素人目には判らない。
だがレンジャーがそう言う以上、そうなのだろう。
こういうスキルに関してはレンジャーの右に出る者はいない。
「マジかよ……」
ガイが呟いた。
その顔は笑っているが、明らかに動揺している。
動物に限らないが強さと言うのは大きさ、とりわけ重さによるところが大きい。
大きくなればそれだけ重くもなるし、その分強くなるという訳だ。
なら同じ大きさの熊と狼なら一体どっちが強いのか。
答えは決まっている。
狼だ。
虫は小さいから弱いのだ。
人間と同じ大きさだったら、虫に敵う人間などいない。
巨体蜘蛛や巨体蟻はモンスターの中でもかなりヤバイ部類のモンスターだ。
パワーもスピードもとても太刀打ちできない。
その上、大体毒やら酸やら何かしら持っている。
ただでも危険な狼が熊と同じサイズなら。
考えなくても結果は明らかだった。
「一頭か?」
俺は取り敢えず聞いてみた。
「いいえ」
予想通りルガは首を横に振った。
そう、狼は集団で行動するのが常だ。
視界は悪くなっていくのだ。
胸の辺りまで伸びた草が教会の廃墟、そして向こうの森まで続いている。
その間を縫うように、人がわずかに通るのであろう細い道が、あぜ道のように出来ていた。
ルガが小声で叫んだ。
「待って、足跡だ」
声を低く絞っていたが緊張を促すような激しい言い方だ。
「先のパーティーの物か?」
俺が尋ねる。
「違う。人間じゃない。獣の物……でも」
ルガが判断しあぐねている。
「何の足跡だ?」
今度はガイが尋ねた。
「判らない……」
判らない?
ハイパーナイトクラスのレンジャーが判らないとは。
「知らない足跡なの?」
ディーレも質問する。
緊張感が高まるのを感じる。
「狼の物に見える……けど」
狼?
こんなところに狼とは、珍しいと言えば珍しいがモンスターと言うには特に珍しくはない。
「狼か。警戒は必要だが目的の奴とは関係なさそうだな」
ガイが少し安心したように言った。
「違うの……狼なんだけど、これは違う」
どういう意味だ?
さっぱり要領を得ない。
「なんだ。どうした、はっきりしろ」
ガイが少しイラついたように言う。
「大きいんだよ。狼の足跡だけどこれは大きすぎる。こんな狼はいない」
つまり、馬鹿デカイ狼ということか。
狼というだけで馬鹿にしたものではない。
野犬などとは比べ物にならないほど獰猛で狡猾だ。
サイズだって比較にならない。
高さだけでも一五〇センチはある。
大きな子供くらいだ。
大型ともなればもっと大きい。
それよりも大きいというのか。
「大きいとは大体どのくらいか推測できるのか?」
俺はルガに尋ねた。
「……信じられないけどこの足跡が本物なら……たぶん熊と同じくらいかな」
全員がルガの元に集まる。
うっすらと足跡らしい形跡も見えるが、ハッキリとは素人目には判らない。
だがレンジャーがそう言う以上、そうなのだろう。
こういうスキルに関してはレンジャーの右に出る者はいない。
「マジかよ……」
ガイが呟いた。
その顔は笑っているが、明らかに動揺している。
動物に限らないが強さと言うのは大きさ、とりわけ重さによるところが大きい。
大きくなればそれだけ重くもなるし、その分強くなるという訳だ。
なら同じ大きさの熊と狼なら一体どっちが強いのか。
答えは決まっている。
狼だ。
虫は小さいから弱いのだ。
人間と同じ大きさだったら、虫に敵う人間などいない。
巨体蜘蛛や巨体蟻はモンスターの中でもかなりヤバイ部類のモンスターだ。
パワーもスピードもとても太刀打ちできない。
その上、大体毒やら酸やら何かしら持っている。
ただでも危険な狼が熊と同じサイズなら。
考えなくても結果は明らかだった。
「一頭か?」
俺は取り敢えず聞いてみた。
「いいえ」
予想通りルガは首を横に振った。
そう、狼は集団で行動するのが常だ。
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