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四六
「……仕方がない。多少無理でも狼を蹴散らして突破する方がマシだろう」
ガイが言った。
残りの狼、六匹。
それを蹴散らして逃げる方が、声の主と事を構えるよりマシだということか。
しかし。
狼の脚から逃げ切れるものなのか。
俺はともかく、他のメンツには無理だろう。
ましてや巨大化している狼の歩幅は一足飛びに一〇数メートルはあるだろう。
それでもその方がマシだと言うのか。
俺はガイの顔を見た。
土気色をしている。
それに反して眼はギラついていた。
死ぬ気か。
おそらく衛士としてパーティーの殿を務めて、俺たちを逃がすつもりなのだろう。
自分は死ぬつもりで。
鬼気迫る迫力がガイにはあった。
これがハイパーナイトクラスの冒険者なのか。
ただの上級冒険者とは違う。
俺はついこの前、パーティーが全滅して死にかけた男だ。
この覚悟はあの時の俺には無かった物だった。
俺はまた後悔するつもりか。
生き残って悔いながら過ごすのか。
何のために強くなったのか。
今の俺ならやれるのではないか。
今度は俺が護らなければ。
俺は握りっぱなしの剣を見つめた。
剣に俺の顔が映る。
なんてツラだ。
俺はこんなシケたツラをしていたのか。
そう思うと何だかおかしくなった。
「どうした。なにがおかしい」
バルバが俺の顔を見て怪訝そうに眉をひそめた。
「いや、なんでもない」
俺はそう言うと覚悟を決めた。
俺だって冒険者だ。
「みんな、俺が狼を全力で叩く。その隙に全力で走れ。絶対に振り返るな」
全員が俺に視線を向けた。
「なにを言って……」
ディーレが言いかけたのを遮る。
「でも逃げる殿はガイがやってくれよ。俺もすぐに続くからな」
俺はそれだけ言うと、後の声を振り切って飛び出した。
「走れぇッ!」
俺は叫んだ。
先頭の狼に真っ向から斬りかかる。
振り上げられた狼の巨大な前足を転がりながらかわした。
腹の下に潜り込んで下から攻める。
さっき三匹倒した。
勝てる相手なんだ。
「ウオオオオン!」
腹に剣を突き立てられた狼が悶絶して声をあげる。
その脇をバルバとルガとディーレが駆け抜ける。
「レオ!すぐに来い!」
「レオ!死なないで!」
「レオ!レオ……!」
口々に俺の名を呼びながら走り抜けていく。
俺は必死に狼を惹き付けながらみんなを逃がした。
「うおおおおっ!」
雄叫びと共にガイが突っ込んできた。
ドカッ!
背後で鈍い音がした。
振り向くとガイが盾で狼の爪を受け止めている。
俺を救ってくれたのか。
「へっ……背中がガラ空きだぜ」
やせ我慢と判る笑顔でガイが強がった。
ガイが言った。
残りの狼、六匹。
それを蹴散らして逃げる方が、声の主と事を構えるよりマシだということか。
しかし。
狼の脚から逃げ切れるものなのか。
俺はともかく、他のメンツには無理だろう。
ましてや巨大化している狼の歩幅は一足飛びに一〇数メートルはあるだろう。
それでもその方がマシだと言うのか。
俺はガイの顔を見た。
土気色をしている。
それに反して眼はギラついていた。
死ぬ気か。
おそらく衛士としてパーティーの殿を務めて、俺たちを逃がすつもりなのだろう。
自分は死ぬつもりで。
鬼気迫る迫力がガイにはあった。
これがハイパーナイトクラスの冒険者なのか。
ただの上級冒険者とは違う。
俺はついこの前、パーティーが全滅して死にかけた男だ。
この覚悟はあの時の俺には無かった物だった。
俺はまた後悔するつもりか。
生き残って悔いながら過ごすのか。
何のために強くなったのか。
今の俺ならやれるのではないか。
今度は俺が護らなければ。
俺は握りっぱなしの剣を見つめた。
剣に俺の顔が映る。
なんてツラだ。
俺はこんなシケたツラをしていたのか。
そう思うと何だかおかしくなった。
「どうした。なにがおかしい」
バルバが俺の顔を見て怪訝そうに眉をひそめた。
「いや、なんでもない」
俺はそう言うと覚悟を決めた。
俺だって冒険者だ。
「みんな、俺が狼を全力で叩く。その隙に全力で走れ。絶対に振り返るな」
全員が俺に視線を向けた。
「なにを言って……」
ディーレが言いかけたのを遮る。
「でも逃げる殿はガイがやってくれよ。俺もすぐに続くからな」
俺はそれだけ言うと、後の声を振り切って飛び出した。
「走れぇッ!」
俺は叫んだ。
先頭の狼に真っ向から斬りかかる。
振り上げられた狼の巨大な前足を転がりながらかわした。
腹の下に潜り込んで下から攻める。
さっき三匹倒した。
勝てる相手なんだ。
「ウオオオオン!」
腹に剣を突き立てられた狼が悶絶して声をあげる。
その脇をバルバとルガとディーレが駆け抜ける。
「レオ!すぐに来い!」
「レオ!死なないで!」
「レオ!レオ……!」
口々に俺の名を呼びながら走り抜けていく。
俺は必死に狼を惹き付けながらみんなを逃がした。
「うおおおおっ!」
雄叫びと共にガイが突っ込んできた。
ドカッ!
背後で鈍い音がした。
振り向くとガイが盾で狼の爪を受け止めている。
俺を救ってくれたのか。
「へっ……背中がガラ空きだぜ」
やせ我慢と判る笑顔でガイが強がった。
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