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四七
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「なぜ逃げなかった?」
俺は尋ねた。
「そりゃこっちのセリフだ。お前こそなんで逃げない」
ガイが狼の攻撃を防ぎながら言った。
「俺はもうパーティーを全滅させたくなかったんだ」
ガイが視線だけを俺に向ける。
「……そうか」
ベテラン冒険者にもなれば、それだけで全てを理解してくれる。
「お前、ミラーナイトだって言ったな。あれ嘘だろ?」
ガイが話を変えた。
「……いや。本当だ」
俺は狼の攻撃を巧みにかわしながら答えた。
「本当かよ……信じられんが、お前が居ればなんとかなりそうな気がするぜ」
ガイがそう言って狼の横っ面をメイスで殴り付けた。
毛皮の薄そうな部位を狙って正確に攻撃を加えている。
「ああ……だがこのあとに控えてるヤツまでは相手に出来ないんだろ?だったらこいつらを大人しくさせてから全力で逃げるしかない」
俺はそう言いながら、また一匹に止めを刺した。
残りは何匹だ。
俺は辺りを見渡した。
ガイが一人で二匹相手にしている。
さすがに劣勢だが、守りに集中して完全に攻撃を防いでいる。
しかし、さすがのガイも肩で大きく息をしていた。
さすがに疲労が限界に近い。
「なんだ?霧が……」
ガイが驚いたように言う。
本当だ。
いつの間にか霧がうっすらと漂い始めている。
まだ薄いがどんどん濃くなってきているのが判る。
なんだこの異常な早さは。
ものの数分で辺りは濃霧に包まれようとしていた。
「おかしいぞ。なんだこれは」
ガイの声だけが聞こえる。
姿はもう確認できないほどの濃霧の中にいた。
「くそ!敵が見えない!」
ガイはそう言ったきり、何も言わなくなった。
「ガイ、無事か?返事をしろ!」
俺は霧中で叫んだ。
しかし返事はない。
「ほほう、凄いな。まさかこんなに僕たちがやられているとは……」
俺は反射的に身構えた。
あの声がまた聞こえる。
廃墟の外まで出てきたのか。
まだ完全に狼を片付けられていない。
逃げ切る前にこれでは。
今度は急速に霧が晴れだした。
みるみる視界が回復していく。
俺は注意深く辺りを警戒した。
「陽が……」
辺りはもう薄暗くなっていた。
まだ西の空はうっすらと明るさを残していたが、陽は完全に森に遮られ太陽自体は姿を消していた。
「日没……」
それはモンスターの刻だということだ。
まずい状況だ。
この状況だけは避けたかったのに。
「本当に素晴らしい。いや、今私は感動さえしているよ」
声が一際大きくなった。
どこだ。
「こんなに活きの良い人間は久しぶりだからね」
後ろか。
俺は素早く振り返る。
ドサッ!
何かが地面に放り出された。
「……ッ!」
俺は愕然とした。
俺は尋ねた。
「そりゃこっちのセリフだ。お前こそなんで逃げない」
ガイが狼の攻撃を防ぎながら言った。
「俺はもうパーティーを全滅させたくなかったんだ」
ガイが視線だけを俺に向ける。
「……そうか」
ベテラン冒険者にもなれば、それだけで全てを理解してくれる。
「お前、ミラーナイトだって言ったな。あれ嘘だろ?」
ガイが話を変えた。
「……いや。本当だ」
俺は狼の攻撃を巧みにかわしながら答えた。
「本当かよ……信じられんが、お前が居ればなんとかなりそうな気がするぜ」
ガイがそう言って狼の横っ面をメイスで殴り付けた。
毛皮の薄そうな部位を狙って正確に攻撃を加えている。
「ああ……だがこのあとに控えてるヤツまでは相手に出来ないんだろ?だったらこいつらを大人しくさせてから全力で逃げるしかない」
俺はそう言いながら、また一匹に止めを刺した。
残りは何匹だ。
俺は辺りを見渡した。
ガイが一人で二匹相手にしている。
さすがに劣勢だが、守りに集中して完全に攻撃を防いでいる。
しかし、さすがのガイも肩で大きく息をしていた。
さすがに疲労が限界に近い。
「なんだ?霧が……」
ガイが驚いたように言う。
本当だ。
いつの間にか霧がうっすらと漂い始めている。
まだ薄いがどんどん濃くなってきているのが判る。
なんだこの異常な早さは。
ものの数分で辺りは濃霧に包まれようとしていた。
「おかしいぞ。なんだこれは」
ガイの声だけが聞こえる。
姿はもう確認できないほどの濃霧の中にいた。
「くそ!敵が見えない!」
ガイはそう言ったきり、何も言わなくなった。
「ガイ、無事か?返事をしろ!」
俺は霧中で叫んだ。
しかし返事はない。
「ほほう、凄いな。まさかこんなに僕たちがやられているとは……」
俺は反射的に身構えた。
あの声がまた聞こえる。
廃墟の外まで出てきたのか。
まだ完全に狼を片付けられていない。
逃げ切る前にこれでは。
今度は急速に霧が晴れだした。
みるみる視界が回復していく。
俺は注意深く辺りを警戒した。
「陽が……」
辺りはもう薄暗くなっていた。
まだ西の空はうっすらと明るさを残していたが、陽は完全に森に遮られ太陽自体は姿を消していた。
「日没……」
それはモンスターの刻だということだ。
まずい状況だ。
この状況だけは避けたかったのに。
「本当に素晴らしい。いや、今私は感動さえしているよ」
声が一際大きくなった。
どこだ。
「こんなに活きの良い人間は久しぶりだからね」
後ろか。
俺は素早く振り返る。
ドサッ!
何かが地面に放り出された。
「……ッ!」
俺は愕然とした。
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