見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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五ニ

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 三分。
短いようだが、この状況では長過ぎる。

 しかしこの絶望的な状況下で、助けが来るというのは希望に他ならない。
ましてやオオムカデンダルが来てくれる。

 彼なら。

 そう、彼なら何とかしてくれそうな気がする。
さすがにヴァンパイアに勝てるとは思わないが、あの規格外の強さはよく知っている。
せめて時間を稼いでくれるのではないか。

 俺は希望が持てた気がした。

 だが、その前に三分の時間を稼がなくてはならない。

「……今の声はなんだ?何者だ」

 ヴァンパイアはミミズクを凝視していた。

「操っているのか。動物を」

 ヴァンパイアも動物を操る力を持っている。
何でもと言う訳では無かったが、狼を初めコウモリや黒猫などを使役する。

 また噂では自らがこれらの動物に変化することも出来るという。
俺もまだ見たことはないが。

「ふん」

 ヴァンパイアは明らかに不機嫌だった。
自分以外に動物を使役するような芸当を見せられたのが不愉快だったのか、それとも単純に馬鹿呼ばわりされた事が気に食わないのか。
どちらにせよ、ヴァンパイアの表情にさっきまでの余裕のようなものは見えなかった。

「お前」

 ヴァンパイアが俺に語りかけてきた。

「何者だ」

「俺はミラーナイトクラスの冒険者だ」

 俺の答えにヴァンパイアは明らかに納得していなかった。

「さっきの声はお前を『自分の部下』だと言った。もう一度尋ねよう。お前は何者だ」

 ヴァンパイアの問いは中々難しいものだった。

 俺は冒険者だ。
だが、もう一つある。
オオムカデンダルの部下であり、彼らの組織に属する戦闘員だ。

 つまり兵隊である。

 俺一人しかいないが。

 彼らの事は話せない。
だが、本人がここへ来ると言っているのがまたややこしい。

「……そんなことを聞いてどうする」

 そもそもヴァンパイアと話し合おうとしていたことが間違っていたのだ。

 お俺は俺だ。
なぜヴァンパイアなんぞに身の上を説明しなければならんのか。

 俺はもう一度立ち上がると、四度剣を構えた。

「なんだ。結局やるのか」

 ヴァンパイアが俺を睨み付けた。
凄まじい殺気だ。
見つめられただけでどうにかなってしまいそうだ。

 ヴァンパイアの視線には魔力が宿っている。
俺は睨み付けられただけで体の動きが制限されていくのを感じていた。

 なんてヤツだ。
まさに化け物。
モンスターの中のモンスター。
魔王と呼ばれているのは伊達ではないのだ。

 何秒経っただろうか。
もう五分くらい経ったのではないか。
そのくらい長く感じる。

 たった三分だが、オオムカデンダルが来るまで生きていられるか怪しかった。
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