見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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五五

 正確には『百足謙太郎』が『オオムカデンダル』変わったのだ。

 我が上官ながら何度見てもグロテスクな姿である。
まるでムカデを思わせるデザインだ。
俺はそのグロテスクなムカデ人間の部下だということになる。

「貴様、人間ではないのか?」

 ヴァンパイアがいう。

「人間だぜ。半分だけどな」

 オオムカデンダルはそう言ってから少し首を捻ると訂正した。

「いや待てよ。半分じゃないな。大部分は人間じゃない、が正しいな……ま、でも少しは人間の部分も残っているんだぜ」

 意外と細かい。

「……貴様、何者だ」

 ヴァンパイアが当然とも言える質問を投げ掛けた。

「あー。懐かしいなこのやり取り。最近そういうの無かったもんなぁ」

 オオムカデンダルには何か感慨深いものがあるらしい。

「……でも面倒くさいから説明はしない」

 やっぱり。
そう言うと思った。

「さて、立ち話はこのくらいにして、研究の為にモルモットになってもらおうか」

 オオムカデンダルはそう言うと、無防備にヴァンパイアに向かって歩き出した。

「……ふん。面白い」

 ヴァンパイアもやる気になっている。
コケにされたと感じているのだろう。
さっきまでとは感じが違っている。

「……なんだ、この光景は」

 俺は呟いた。
静かに歩いて近付くオオムカデンダル。
それを静かに眺めているヴァンパイア。
一体どういう光景なんだ。

 一見普通の光景だが、二人の異質な性質を考えれば、明らかに異様な光景である。

 そして今、確実に手を出せばヴァンパイアに届く位置にまでオオムカデンダルは接近した。

 シュッ!

 突然オオムカデンダルがパンチを放った。

 バッ!

 それに反応するように、ヴァンパイアも右手でそれを受け止めた。

 パァンッ!

 甲高い破裂音がした。

「むおぉッ!」

 受け止めたヴァンパイアの手のひらが破裂した。
たまらずヴァンパイアは後ろへよろけながら退く。

「く……ッ!手が……」

 俺は目を見開いた。
パンチ一発でヴァンパイアの手首から先を吹き飛ばしたのか。
なんという破壊力か。

「反射速度A+、耐久性D」

 オオムカデンダルが呟く。

「くそ……!」

 ヴァンパイアはオオムカデンダルを睨み付ける。
押さえた右手はすでに再生を始めている。

 これだ。

 これがヴァンパイアが不死身と言われる所以だ。
俺が折った左腕など、もうとっくに完治している。

 アンタはこれに勝てるのか……

 俺はオオムカデンダルの背中に心の中で問いかけた。

「おお、再生能力。しかも中々早いな。再生能力あり、再生能力S。よって耐久性はBに変更」

 オオムカデンダルは更に一歩踏み出した。
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