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一〇四
「ほほう。俺を斬るのかい?……姫ごと」
オオムカデンダルが嫌味たっぷりに言う。
「貴様の戯れ言には付き合えん」
ルドムが剣に手を掛けた。
瞬間、圧力が増す。
ハイパーナイトなど問題にならない圧倒的な剣気。
ワンランク違うだけで、ハイパーナイト級とブラックナイト級の間には、隔絶されたへだたりがある。
この圧力だけでその事は、一瞬にして理解できた。
「斬れるのかな。その剣で」
オオムカデンダルは少しも意に介していない。さすがだ。
「オオムカデンダル。僕がやってやろうか?」
突然、背後からフィエステリアームが声を掛けた。
「いや、大丈夫だ。お前がやるほどの事でもないさ」
相変わらずオオムカデンダルはフィエステリアームに関知させない。
そんなにヤバいのか。
「退屈だ。たまにはやらせて」
フィエステリアームが珍しく食い下がる。
「僕はまだ自分の力を使った事がないんだ。生まれてからずっと、君たち以外とは会ったこともなかったし」
フィエステリアームが不満げに言う。
なるほど、そう言う事か。
「……気持ちは判るが、お前は強すぎる。俺たちも巻き込まれる可能性がある」
オオムカデンダルが本当の事を口にした。
「お前が相手にするにしても、能力抜きと言うのが条件だ。だが、それでは意味がないんだろう?」
オオムカデンダルの言葉にフィエステリアームは無表情だった。
この少年の無表情以外の顔を見たことがない。
何を考えているのか、外見からはまったく予想もつかなかった。
「……僕にやらせて。邪魔しないで」
驚くべきことに、フィエステリアームは引かなかった。
オオムカデンダルも、令子も、フィエステリアームを見た。
特に変身していない令子の表情は、驚きに満ちていることがよく判る。
「……反抗期か」
そう言いながら、オオムカデンダルは頭を掻いた。
どうやら止めても無駄なようだ。
無理に止めれば、その矛先はオオムカデンダルたちに向きかねなかった。
「……いいだろう。ただし、『アレ』は使うな。それが条件だ」
「それ以外は使うよ?」
「……ああ。それでいい」
そう言って、オオムカデンダルは引き下がった。
「これ頼む」
オオムカデンダルが姫を令子に手渡す。
やっぱり赤ん坊の面倒など観られないじゃないか。
「百足君、いいの?」
姫を受け取りながら令子が言った。
「仕方がない。これ以上、フィエステリアームを抑えるのは無理だ」
「……そう」
「ま、アレだけは使うなと念は押してある。どうなるかは……知らん」
俺はフィエステリアームに視線を戻した。
無表情な少年が、ただ無防備にたたずんでいる。
オオムカデンダルが嫌味たっぷりに言う。
「貴様の戯れ言には付き合えん」
ルドムが剣に手を掛けた。
瞬間、圧力が増す。
ハイパーナイトなど問題にならない圧倒的な剣気。
ワンランク違うだけで、ハイパーナイト級とブラックナイト級の間には、隔絶されたへだたりがある。
この圧力だけでその事は、一瞬にして理解できた。
「斬れるのかな。その剣で」
オオムカデンダルは少しも意に介していない。さすがだ。
「オオムカデンダル。僕がやってやろうか?」
突然、背後からフィエステリアームが声を掛けた。
「いや、大丈夫だ。お前がやるほどの事でもないさ」
相変わらずオオムカデンダルはフィエステリアームに関知させない。
そんなにヤバいのか。
「退屈だ。たまにはやらせて」
フィエステリアームが珍しく食い下がる。
「僕はまだ自分の力を使った事がないんだ。生まれてからずっと、君たち以外とは会ったこともなかったし」
フィエステリアームが不満げに言う。
なるほど、そう言う事か。
「……気持ちは判るが、お前は強すぎる。俺たちも巻き込まれる可能性がある」
オオムカデンダルが本当の事を口にした。
「お前が相手にするにしても、能力抜きと言うのが条件だ。だが、それでは意味がないんだろう?」
オオムカデンダルの言葉にフィエステリアームは無表情だった。
この少年の無表情以外の顔を見たことがない。
何を考えているのか、外見からはまったく予想もつかなかった。
「……僕にやらせて。邪魔しないで」
驚くべきことに、フィエステリアームは引かなかった。
オオムカデンダルも、令子も、フィエステリアームを見た。
特に変身していない令子の表情は、驚きに満ちていることがよく判る。
「……反抗期か」
そう言いながら、オオムカデンダルは頭を掻いた。
どうやら止めても無駄なようだ。
無理に止めれば、その矛先はオオムカデンダルたちに向きかねなかった。
「……いいだろう。ただし、『アレ』は使うな。それが条件だ」
「それ以外は使うよ?」
「……ああ。それでいい」
そう言って、オオムカデンダルは引き下がった。
「これ頼む」
オオムカデンダルが姫を令子に手渡す。
やっぱり赤ん坊の面倒など観られないじゃないか。
「百足君、いいの?」
姫を受け取りながら令子が言った。
「仕方がない。これ以上、フィエステリアームを抑えるのは無理だ」
「……そう」
「ま、アレだけは使うなと念は押してある。どうなるかは……知らん」
俺はフィエステリアームに視線を戻した。
無表情な少年が、ただ無防備にたたずんでいる。
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―――
感想・指摘など可能な限り受け付けます。
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