見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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一二四

「ふむ。中々いい線行ってるな。怪人化したら面白いかもしれん」

 オオムカデンダルが興味深そうに言った。
どこまで本気なのか。

「何を訳の判らん事を!」

 ライエルが大剣を振り回しながら叫ぶ。

 ガキィンッ!

 オオムカデンダルはそれを易々と腕で弾き返す。

「くそっ!ラチがあかん……!」

 ライエルがイライラしているのが伝わってくる。
これだけ圧倒的優位な中で、少しも優位に立てないのだ。無理もない。

 ヒュー!ヒュー!

 後方から聞き覚えのある風切り音が聞こえる。
これは、フレイム・アローだ。

 ドオオンッ!
 ドゴオオンッ!

 ここまで爆音と爆風が届く。
爆音が体に当たってくる。
爆風は俺の目を閉じさせようとした。

「おおッ!?」

 オオムカデンダルが爆発に巻き込まれ声を発した。
エクスキューション・ジェイルの外から、帝国軍魔導士部隊の魔法攻撃による援護攻撃が始まった。

「ふ。普段なら気がとがめるが、お前が相手ならば遠慮はいらんからな!」

 ライエルの顔にわずかに余裕が戻った。

 ヒュー!ヒュー!

 次から次へと大量のフレイム・アローが飛来する。
この量の爆炎と爆風は大変なものだ。

 ましてやオオムカデンダルは、あのエクスキューション・ジェイルの中からは一歩も出られないのだ。
逃げ場は限定され、狭い範囲に大量の爆風が連続的に吹き荒れる。

「うおっ!」

 オオムカデンダルは短く叫んで魔法の壁に叩きつけられた。
だが、そこを更にフレイム・アローが追撃する。

 ドオオンッ!
 ドゴオオンッ!
 ドドオオンッ!

 爆炎と煙と砂塵でオオムカデンダルの姿はまったく見えない。

 これは、さすがにマズいのではないか。
俺はオオムカデンダルの敗北を、わずかながら予感した。

「くそ……さすがに体重を越える爆風には持っていかれるな」

 煙の中からオオムカデンダルのボヤき声が聞こえる。

「だから直撃は嫌なんだが……」

 煙が晴れる中からオオムカデンダルが姿を現す。

「そんな……!」

 ライエルの狼狽が何故か心地よく感じる。

「凄ぇ……無傷なのか」

 俺は思わず声に漏らす。

「ふ。当然」

 オニヤンマイザーが何故か誇らしげに答える。

「俺を殺りたければ核弾頭でも持ってくるんだな」

 オオムカデンダルが言った。

 カクダント……?
なんだそれは?

「期待したんだが威力としては戦車以下だね」

 オオムカデンダルはよく判らない事を言いながらライエルに向かって近付いた。

 キラッ

 後方で何かが光った。一瞬だ。
今度はフレイム・アローではない。
だが、それを考える時間もないほど。
辺りが真っ白な閃光に呑み込まれてから、そう思った。

 それほど一瞬だった。
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