見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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一三三

 ドガガガガッ!

センチピーダーがのけ反って後ろへ倒れた。
顔面部分から、もうもうと煙が立ち上る。
俺はあまりの事に言葉が出てこない。

 龍族のいわゆる『ドラゴン・ブレス』

 それはただのファイヤー・ボールだが、人間の使うファイヤー・ボールとは威力が桁違いだった。
あんなものを食らったら地形が変わってしまう。
それを顔面に食らったのだ。

 ウィィィィン……ゴゴゴゴ……

 如何にも『機械仕掛け』というような音を発てて、センチピーダーは起き上がった。

「……まさか!?」

 俺は我が目を疑った。
動けるだと?
いったいどんな頑強さだ。

 ウィィィィン

 ついにセンチピーダーは立ち上がった。
信じられない。
そしてそれは、どうやらライエルも同じだったようだ。

「いったいどう言う……!」

 信じられないのだ。
いや、判る。そんな訳はないのだ。
普通なら。

「へへっ、凄ぇ威力だな。そりゃさすがに俺が生身で戦ってたら勝てない訳だ。いや、ホント凄ぇ」

 オオムカデンダルの声が聞こえる。
中に居ながらにして、センチピーダーの口を借りて話しているのか。
そもそも、センチピーダーをオオムカデンダルが操っているという理解で良いのか。
口ぶりからすればそうなのだろうが。

「龍と……ワイバーンと競るだと……ふざけおって……ッ!」

 ライエルの言葉が怒りに震えた。
もうさっきまでの余裕はない。

「久しぶりだぜ、こういうのは!戦いはこうでなくっちゃな!」

 対称的にオオムカデンダルは嬉しそうな声で言った。
ワイバーンと互角の戦いを繰り広げ、楽しんでいるというのか。

「……あんな戦闘的なのに、なぜ科学者になれたのか。いまだに判らん」

 オニヤンマイザーがポツリと呟いた。
確かに、どちらかと言えば戦士向きだ。

 オニヤンマイザーによれば、科学者と言うのはイメージで言うと『アルケミスト』、つまり錬金術士が近いらしい。
それに『メイジ』や『セイジ』と言った学者、もしくは賢者も混ぜたような印象なのだと言う。

 つまり、『とても博識で頭の良い者』と言うことか。
俺はセンチピーダーを見つめた。

「……とてもそうは思えない」

 思わず本音が漏れた。

 ギャアアアアアンッ!

 ヒュウゥゥゥゥン……ウィィィィン!

 ワイバーンの雄叫びにセンチピーダーの駆動音が応える。

 今度はワイバーンがセンチピーダーに襲いかかる。

 バサアッ!

 ワイバーンは翼を大きく広げた。

 飛ぶ。

 誰もが直感的に察した。
ワイバーンは地面を二、三歩蹴ると、そのまま低空で滑空する。

 待ち受けるセンチピーダー目がけて、正面から挑みかかった。
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