見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

文字の大きさ
139 / 826

一三九

「心配するな。調整はしてやる」

 取って付けたようにオオムカデンダルが言う。
センチピーダーのグラビトンガンがパワーを上げた。
背中から吹き出す熱風が勢いを増す。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 なんの音だ。
地鳴りのような音が聞こえる。

「まずいな……」

 オニヤンマイザーが苦虫を噛み潰したような言い方で呟いた。
やはりヤバいのか。
なにが起こっているのか皆目見当もつかないが、オニヤンマイザーがこんな声を出すことの方が不安だった。

 メキ……

 何か嫌な感じの音が聞こえる。
気のせいであってほしい。

 メキメキ……ゴゴゴ……

 どうやら気のせいではないらしい。
明らかに不気味な音が、そこかしこで聞こえ出した。

「まだ壊れないか。最小威力とは言え、グラビトンガンで壊せなかった事自体が結構ショックだったと言うのによ」

 オオムカデンダルが面白くなさそうに言う。

「おい……もう気が済んだだろ」

 オニヤンマイザーがオオムカデンダルにそう言った。

「んー……」

 オオムカデンダルが考えている。

「俺の開発したグラビトンガンが通用しないのは、なんか許せん。絶対に壊す!」

 オオムカデンダルの返事に俺たちは、もう何も言うまいと誓った。

「一気に5パーセントから10パーセント行くぜ!」

「馬鹿野郎!2パーセント以上にするなと言っただろ!お前、本当に馬鹿だなっ!」

 ほんのコンマ何秒かで、オニヤンマイザーは誓いをぶっちぎりで破った。
これはオオムカデンダルを褒めるべきか、オニヤンマイザーを笑うべきなのか。

 だが、オオムカデンダルはそんな事はお構い無しにパワーをあげた。

 メキメキメキメキメキメキ……ッ!

 不気味な音が最大になる。
何が起きるのか俺にももう予測不能だ。

 バリイィンッ!

 何かが割れるような音が辺りに大音響として響いた。
帝国軍の前に張り巡らされたグレート・ウォールが、端から端まで一気に砕け散る。

 魔法の壁が目に見えて砕ける様は圧巻だ。
淡い輝きを放つ魔法の壁。
それが数キロメートルに渡って一瞬で砕けたのだ。
キラキラと破片を撒き散らしながら、グレート・ウォールは夜の闇に溶けていく。

「はっはっはっはっ!やったぜ!」

 オオムカデンダルの歓喜の声がこだまする。
その次の瞬間。

 メコメコメコメコ……ドドドドドド……ッ!

 あろうことか、目の前で突然大地がえぐれた。
こんな光景は見たことがない。
そして、これからも見ることは無いだろう。
これが地獄の光景だと言われれば、俺はすぐに納得したに違いなかった。

グレート・ウォールのあった辺りを境に、こちらとあちらで大地が階段のようにずれたのだ。
こちら側が低く、ズレ落ちたのかもしれない。
体感的に数メートル落下したような感覚に襲われた。
感想 238

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

もしも生まれ変わるなら……〜今度こそは幸せな一生を〜

こひな
恋愛
生まれ変われたら…転生できたら…。 なんて思ったりもしていました…あの頃は。 まさかこんな人生終盤で前世を思い出すなんて!

私の存在

戒月冷音
恋愛
私は、一生懸命生きてきた。 何故か相手にされない親は、放置し姉に顎で使われてきた。 しかし15の時、小学生の事故現場に遭遇した結果、私の生が終わった。 しかし、別の世界で目覚め、前世の知識を元に私は生まれ変わる…

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

『異界酒場 ルーナ』

みぎみみ
ファンタジー
東京・渋谷から少し外れた路地の奥、築五十年のビルの地下一階。看板は小さく、知っている人しか辿り着けない。  カウンター八席、テーブル二卓。深夜零時から夜明けまでの営業。 ルーカス(本名:ルカシュ・ヴァルド)  異世界の小さな王国の第三王子として生まれたが、王位継承争いに巻き込まれ、魔法陣の暴走によって現代日本に転移してきた。外見は三十代前半の白人男性。銀灰色の髪と、光の加減で金色にも見える瞳を持つ。日本語は「声の魔法」で習得した。  他人の「最も深い渇望」が視える力を持つ——それは意識的な欲求ではなく、本人すら気づいていない魂の底の叫び。酒や料理を通じてその渇望に応える。  自分の力を「呪い」だと思っていた時期もある。今はただ、使い道を見つけた、という感覚でいる。

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

完 弱虫のたたかい方 (番外編更新済み!!)

水鳥楓椛
恋愛
「お姉様、コレちょーだい」  無邪気な笑顔でオネガイする天使の皮を被った義妹のラテに、大好きなお人形も、ぬいぐるみも、おもちゃも、ドレスも、アクセサリーも、何もかもを譲って来た。  ラテの後ろでモカのことを蛇のような視線で睨みつける継母カプチーノの手前、譲らないなんていう選択肢なんて存在しなかった。  だからこそ、モカは今日も微笑んだ言う。 「———えぇ、いいわよ」 たとえ彼女が持っているものが愛しの婚約者であったとしても———、