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一四〇
「おあああ……っ!?」
我ながら情けない声が出たと後悔したが、もう遅い。
地揺れもほとんど経験が無かったが、地面が突然落ちるなど、いったいどういう状況か。
俺は本気でこの世が終わるのかと思ったのだ。
「おーおー、こんなんなるかねぇ」
オオムカデンダルが他人事のように言った。
オニヤンマイザーの言葉が本当なら、これらは全てオオムカデンダルのせいなのだ。
「くそっ……!これで終わりかどうかも判らん。いきなり一〇パーセントだと?狂ってやがる……」
オニヤンマイザーはいまだに怒りが収まらずにいる。
だが、オオムカデンダルはそんなことにはお構い無しだった。
ガインッ、ガインッ、ガインッ……!
センチピーダーは足音を発てて断崖へと近づいた。
エクスキューション・ジェイルもグレート・ウォールもろとも破壊された。
もはや、センチピーダーの行く手を阻むものは何もない。
ダッ!
オオムカデンダルの乗るセンチピーダーは、軽くジャンプすると容易く断崖を乗り越える。
そして今や裸も同然となった、帝国軍勢数万の前に立ちはだかった。
もう、この期に及んでセンチピーダーを攻撃しようとする者はいなかった。
全員が無駄だと痛感したからだ。
魔法の檻も、魔法の壁も、フレイム・アローさえも意に介さない。
至近距離からのドラゴンブレスも、センチピーダーには通用しなかったのだ。
彼らにできることが他にあるだろうか。
センチピーダーは軍勢の前に立つと、しゃがんで何かを地面へ置いた。
「持っていけよ。お前らのだろ」
オオムカデンダルが言った。
そこにはライエル将軍が横たわっている。
だが、生きているのかは判らなかった。
「俺たちの言いたいことは以上だ。文句があったらいつでも進攻して来い。相手をしてやる」
センチピーダーの胸が再び開く。
そこから声の主たる、オオムカデンダルが現れた。
数万も居るはずの軍勢は、信じられないほど静かだった。
たった一人のささやき声さえ聞こえない。
「……ずいぶんと一方的なのですね」
その中からよく通る声が聞こえた。
これだけ静かなのだから聞こえるのは当然か。
「誰だい?」
オオムカデンダルが言う。
「……余はイスガン帝国第二皇子ソル」
「ほーん。皇子様か」
「余の事を知らんか」
「知らんなぁ」
「そうか……」
何とも不思議な会話が続いた。
誰も何も口を挟まなかった。
第二とは言えイスガン帝国の皇子だ。
普通であれば話すどころか謁見さえもかなう相手ではない。
それをどうだ。
まるで友達とでも話すようなあの態度は。
オニヤンマイザーでなくとも、『お前、本当に馬鹿だなっ!』と言いたくなるだろう。
我ながら情けない声が出たと後悔したが、もう遅い。
地揺れもほとんど経験が無かったが、地面が突然落ちるなど、いったいどういう状況か。
俺は本気でこの世が終わるのかと思ったのだ。
「おーおー、こんなんなるかねぇ」
オオムカデンダルが他人事のように言った。
オニヤンマイザーの言葉が本当なら、これらは全てオオムカデンダルのせいなのだ。
「くそっ……!これで終わりかどうかも判らん。いきなり一〇パーセントだと?狂ってやがる……」
オニヤンマイザーはいまだに怒りが収まらずにいる。
だが、オオムカデンダルはそんなことにはお構い無しだった。
ガインッ、ガインッ、ガインッ……!
センチピーダーは足音を発てて断崖へと近づいた。
エクスキューション・ジェイルもグレート・ウォールもろとも破壊された。
もはや、センチピーダーの行く手を阻むものは何もない。
ダッ!
オオムカデンダルの乗るセンチピーダーは、軽くジャンプすると容易く断崖を乗り越える。
そして今や裸も同然となった、帝国軍勢数万の前に立ちはだかった。
もう、この期に及んでセンチピーダーを攻撃しようとする者はいなかった。
全員が無駄だと痛感したからだ。
魔法の檻も、魔法の壁も、フレイム・アローさえも意に介さない。
至近距離からのドラゴンブレスも、センチピーダーには通用しなかったのだ。
彼らにできることが他にあるだろうか。
センチピーダーは軍勢の前に立つと、しゃがんで何かを地面へ置いた。
「持っていけよ。お前らのだろ」
オオムカデンダルが言った。
そこにはライエル将軍が横たわっている。
だが、生きているのかは判らなかった。
「俺たちの言いたいことは以上だ。文句があったらいつでも進攻して来い。相手をしてやる」
センチピーダーの胸が再び開く。
そこから声の主たる、オオムカデンダルが現れた。
数万も居るはずの軍勢は、信じられないほど静かだった。
たった一人のささやき声さえ聞こえない。
「……ずいぶんと一方的なのですね」
その中からよく通る声が聞こえた。
これだけ静かなのだから聞こえるのは当然か。
「誰だい?」
オオムカデンダルが言う。
「……余はイスガン帝国第二皇子ソル」
「ほーん。皇子様か」
「余の事を知らんか」
「知らんなぁ」
「そうか……」
何とも不思議な会話が続いた。
誰も何も口を挟まなかった。
第二とは言えイスガン帝国の皇子だ。
普通であれば話すどころか謁見さえもかなう相手ではない。
それをどうだ。
まるで友達とでも話すようなあの態度は。
オニヤンマイザーでなくとも、『お前、本当に馬鹿だなっ!』と言いたくなるだろう。
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