見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

文字の大きさ
141 / 826

一四一

「何故、帝国の邪魔をする?」

「別に。俺たちのやりたい事とぶつかったんだから仕方がないだろ。恨みがある訳じゃない」

「そうなのか……?」

「そうさ」

 とても命のやり取りをしていたとは思えないほど緩い会話が続く。

「……では、余が退けばこの話は終わりでよいか?」

「ああ、いいぜ。また俺のやりたい事とぶつからない限りはな」

「わかった」

 ソル皇子はそう言うと全軍に帰還命令を下した。

「おい。お前のとこの将軍、忘れてるぞ。ちゃんと連れて帰れよ」

「……生きておるのか?」

「判らん。たぶん生きてるだろ。死にそうな顔してないしな、そのオッサン」

 オオムカデンダルがそう言うと、ソル皇子はわずかに笑ったように感じた。

 兵士が数名やって来てライエルを担ぐと、帝国軍は信じられないほどあっさりと退却していった。

「……なんだ、終わったのか?」

 俺は狐にでもつままれた気分だった。
全面戦争になるのかと覚悟をしていたのだ。
正確にはこちらは数名だけ。
とても戦争とは呼べないだろうが。

「ふん……俺は許してないからな」

 オニヤンマイザーがオオムカデンダルに言った。

「気にしすぎだろ。そんな簡単に地球がくたばるかよ。地球なめんな」

「くたばるんだよ!お前の造ったそのグラビトンガンは!もう少し考えろ!」

「思ったより相手が頑丈だったんだから、仕方がないだろ」

 二人の言い合いは終わりそうも無かったが、ウロコフネタマイトが『そろそろ行きましょう』と言ったら何となく収まってしまった。

 俺たちは『家』に戻ると、取り敢えず全員が屋敷に向かう事となった。
あんなに自分達が人目に触れるのを嫌がっていたのに、ナイーダを連れて行くとは。

 俺はそんなことを思いながら、今この『家』が飛んでいる事を不思議に感じていた。

 ほんの数分だった。
トカナ地方の誰も足を踏み入れぬ陸の孤島『緑の谷』。
彼らのアジトでもある『屋敷』があるその緑の谷は、ここからはかなり離れた場所である。

 そこへ、ほんの数分で到着した。
驚くべき事なのは判っているが、彼らの事だと思えば驚きも半分だった。
ましてや、今日は色々あり過ぎた。

 ミスリル鉱山に登り、ナイーダに出会い、モンスターに襲われ、帝国軍と事を構えた。
改めて口に出しても、我ながら信じられない。

『家』から降りると、そこは広い鉄の部屋だった。
彼らは格納庫と呼んでいるらしい。
そこへ『家』を着地させ、モンスターたちを降ろした。
ロック鳥は苦労するかと思われたが、オニヤンマイザーが一人で易々と片付けた。

 通路を通り階段を上がる。
そうこうするうちに、見覚えのある屋敷の大広間にたどり着いた。

 俺は、ここで最初に彼らと会ったのだ。
感想 238

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?

綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。 相手はとある貴族のご令嬢。 確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。 別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。 何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?

ゴミ捨て場領主のクラフト無双 ~最弱魔法【分解と合成】で領地を黄金郷に変えたら、俺を見下していた大貴族令嬢たちが掌を返してすり寄ってきた件~

namisan
ファンタジー
東西南北の大貴族から「毒の川」「凶暴な魔獣」「莫大な借金」を押し付けられ、王国の『ゴミ捨て場』と化したローゼンベルク領。 父と兄を謀殺され、その絶望の領地を押し付けられた無能貴族のアークは、領地の分割を企む高慢な令嬢たち(王女、公爵令嬢、姫将軍など)に嘲笑われていた。 だが、彼には現代の知識と、隠された最強チート能力があった! 触れたものを瞬時に素材に戻し、全く別のモノに作り変える神の御業――【分解と合成】。 「毒の川」を分解して『超高価な宝石と純水』へ! 「魔獣の死骸」と「瓦礫」を合成して『絶対に壊れない防壁』へ! 借金取りには新素材を高値で売りつけ、逆に敵の経済を支配していく。 圧倒的なクラフト能力で、瞬く間にゴミ捨て場を「無敵の黄金郷」へと作り変えていくアーク。 己の敗北を悟り、震え上がる悪徳貴族と高慢な令嬢たち。 さらに、アークの圧倒的な知略と底知れぬ実力は、気高い令嬢たちの本能に深く刻み込まれていく。 「どうか、私をあなたの手駒としてお使いください……っ!」 プライドを完全にへし折られた最高位の美少女たちは、いつしかアークの与える『恩恵』なしでは生きられないほど、彼に絶対の忠誠と依存を誓うようになっていく――。 最弱のゴミ捨て場から始まる、爽快クラフト内政&ざまぁファンタジー、堂々開幕!

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

『異界酒場 ルーナ』

みぎみみ
ファンタジー
東京・渋谷から少し外れた路地の奥、築五十年のビルの地下一階。看板は小さく、知っている人しか辿り着けない。  カウンター八席、テーブル二卓。深夜零時から夜明けまでの営業。 ルーカス(本名:ルカシュ・ヴァルド)  異世界の小さな王国の第三王子として生まれたが、王位継承争いに巻き込まれ、魔法陣の暴走によって現代日本に転移してきた。外見は三十代前半の白人男性。銀灰色の髪と、光の加減で金色にも見える瞳を持つ。日本語は「声の魔法」で習得した。  他人の「最も深い渇望」が視える力を持つ——それは意識的な欲求ではなく、本人すら気づいていない魂の底の叫び。酒や料理を通じてその渇望に応える。  自分の力を「呪い」だと思っていた時期もある。今はただ、使い道を見つけた、という感覚でいる。

異世界魔法、観察してみたら

猫チュー
ファンタジー
異世界に転生した少年レイは、ある日、前世の記憶を取り戻す。 未知でありながら日常の一部となっている魔法に強い興味を抱いた彼は、村の魔法オババに師事し、修行の日々を送る。 やがてレイは、この世界の魔法が、地球で学んだ知識と多くの共通点を持つことに気づいていく。 師の元を離れ、世界を知っていく中で、少年は魔法を観察し、考え、少しずつ理解を深めていく。 これは、少年レイが世界を、魔法を、科学していく物語。

最後に笑うのは

りのりん
恋愛
『だって、姉妹でしょ お姉様〰︎』 ずるい 私の方が可愛いでしょ 性格も良いし 高貴だし お姉様に負ける所なんて ありませんわ 『妹?私に妹なんていませんよ』

「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。

しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。