見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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一四二

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 オオムカデンダル、オニヤンマイザー、ウロコフネタマイト、そしてフィエステリアーム。
四人はいつの間にか人間の姿へと戻っていた。

 彼らはそれぞれの席に着く。
大きな長いテーブル。
そこは彼らなりに席が決まっているようだった。
最初に彼らに会った時と、まったく同じ席にそれぞれが着いていた。

 俺とナイーダは何となく身の置き所に困った。

「さて」

 オオムカデンダルが話の口火を切った。

「まず、我々はミスリル銀山を手に入れた。これでミスリル銀の不足を気にする必要はなくなった」

「そんなに大量に必要なのか?」

 俺は素朴な疑問をぶつけた。

「我々が必要とする稀少金属は、この世界では材料不足によって合金化できない。だが、ミスリルは代替品として使える。今の我々にとっては生命線だ。『例の女』にも必要なんだぜ」

 例の女。
彼女のことか。
俺は納得した。

「まあ、それだけではないが、とにかく用途は多岐に渡る。いちいち採掘に出掛けたり購入するより占有化した方がいいだろ」

 確かにそうだが、それができてしまう所に多少問題がある気もする。

「占有化したミスリル銀山に活動の拠点を作る。ここからじゃ面倒だ。現地で採取してその場で使えるようにしたい。当然、研究開発の機能も本格的に持たせる」

 みんな黙ってオオムカデンダルの話を聞いている。
ただ、蜻蛉洲だけは不満そうであった。

「あー、蜻蛉洲くん。君の研究室ももちろん作るぞ。モンスターがわんさかと集まってくる場所だ。君の好奇心も、さぞかし満たしてくれるだろうなあ」

 オオムカデンダルが蜻蛉洲の顔を見ながら言った。
蜻蛉洲の表情がピクリと反応する。

「と、まあそんな訳だが、その前に」

 オオムカデンダルが今度は俺とナイーダを見た。

「蜻蛉洲。やる事があるぞ」

 突然に名指しされ、蜻蛉洲は思わずオオムカデンダルを見た。

「ほれ、お前がスカウトしたんだぞ。その娘の両親を石から戻すんだろ?ついでにレオの右肘も頼むわ」

 覚えていたのか。
ナイーダはオオムカデンダルの言葉に、パッと顔を明るくした。
しかし、本当に治せるのか。
俺は自分の右肘を見た。

 完全に固まっている。
石になっているようにしか見えなかった。
これを蜻蛉洲は病気だと言った。

「ああ、判っている。それは治そう。お前もついでだ」

 蜻蛉洲が俺を見て言った。
ついでなのか。
俺はアンタらの部下なんじゃないのか。

「建設はすぐに取り掛かるが、どうせマシンがやるんだ。突貫工事で一ヶ月もあれば完成するだろう」

 一ヶ月。
たった一ヶ月でモンスターひしめく、あのミスリル銀山に施設を建設すると言うのか。
建設資材を運び込むだけでも相当な労力のはずだ。
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