見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二一一

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 おっしゃる通り。

 ガチャガチャッ

 剣に手をかける音がする。
まずいな。

「……おい、ゆっくりこっちを向け」

 まったく、ここの警備隊は小規模ながらキチンとしている。
これもマズルの指導の賜物か。
アイツ、見掛けによらずホントちゃんとしているな。

 俺は観念してゆっくりと振り向いた。

「コイツ……!」

 ヒスタだ。
俺を見て顔色を変える。
もう一人はスルダンか。
コイツらコンビなのか。

「やあ、元気そうだな」

 俺は何か言葉を探したが、それしか出てこなかった。

「よくもヌケヌケと」

 ヒスタが声に怒気を込めた。

「……そっちも元気そうだな」

 スルダンが比較的穏やかに言った。
話すならこっちか。

「悪いが、出来れば暴れたくない。放っておいてくれないか」

「自分勝手な事を言いやがって……!」

 ヒスタは余計に感情的になった。
こっちは話が通じないタイプだ。

「レオ、それは出来ないよ」

「……じゃあ俺とやるかい」

 仕方なく俺は凄んで見せた。
ヒスタもスルダンも気圧される。
これは話してどうにかなる感じじゃない。

 どうせ俺は死なないんだ。
彼らの気の済むようにさせてやればいい。
俺はそう思い直して、無視することにした。
話せば話すだけ、ややこしくなる。

「じゃあ俺はこれで」

 軽く手を上げると、俺は階段に向かった。

「待ていッ!」

 ヒスタがより一層大きな声を出す。

「俺は二階の角部屋にいる。用があったらいつでも来い。四日間は居る。じゃ」

 俺はそれだけ言うと再び階段を上った。

「くそっ!待て!」

 ヒスタがわめく。
それをスルダンが抑えた。

「無理だ。隊長に聞いただろ、ここは報告に行った方がいい」

 その声を背後で聞きながら俺は二階へと着いた。
そこから角部屋へと進む。
こりゃ、四日間引きこもるのは無理だな。
俺は諦めた。

 部屋へ荷物を置くと、俺はベッドへ横になった。
本当にやることがない。
俺は仕方なく、その先を考えた。
つまりプニーフタールだ。

 例の狂信者どもは何処へ行ったのか。
一ヶ所でじっとしているとは考えにくい。
あんな事件が起きたら犯人探しが始まる。
だから移動している筈だと俺は考えた。

 それから目撃情報らしきものは聞かない。
当たり前だが普段は一般人として暮らしているに違いない。
移動の先々で、そうアジトが見つかるとも思えないからだ。
だから一般人の振りをして、普通に宿に泊まったり野宿していたりするのではないか。

 旅をしているなら冒険者と言う線もあるか。
あまり信じたくはないが、中には酷い悪徳冒険者もいる。
どんな仕事も金次第で請け負う奴らだ。
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