見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二一三

 マズルはしばらく俺の目を見ていた。
なんだよ。

「言葉だけを信じることは出来ない。俺はお前に一杯食わされているからな」

 それについてはお互い様だろう。
お前が俺を無理に勧誘したのだ。

「だが本当だとしたら無視も出来ない」

 マズルは腕を組んで沈黙した。
真偽がどうかと言うよりも、自分はどうするべきかを考えている。
そんな感じだ。

「別にお前が悩むことではないだろ。自分の仕事をすればいい。プニーフタールは復活させん」

「……だがもし復活してしまったら?」

「俺が倒す」

「お前が……?」

「ウチの連中はプニーフタールなど関係ない。むしろ復活させて戦いたいと言い出しかねない連中だ」

 もちろん俺の頭の中には、オオムカデンダルの顔が浮かんでいる。
だが、戦わずに済むものをわざわざ復活させようとするなら俺は反対だ。

 その前に狂信者どもを叩く。
一人も生かしてはおけない。

「そうか」

 マズルはそう一言言ったきり黙った。
納得したのか。
俺はマズルの真意を測りかねた。

「……まあ、お前らの件はもう良いんだ。ただ警戒はしている」

「何か言われたのか」

 マズルは肩をすくめた。

「ふふ。そりゃあな。だが、賢者さまの計らいもあって大した咎めは無しだ。そうは言っても散々絞られたがな」

 自嘲気味にマズルが笑う。

「大体話は判った。ここへはもう来ない」

 そう言ってマズルは立ち上がった。

「最後に二つ言っておこう。帝国へは行くな。そして、カッパー王国へ行け」

 帝国へ行くな、は何となく判る。
カッパー王国へ行けとはどういう事か。

「宛もなく探すつもりなのだろう?カッパー王国にオレコと言う服飾屋が居る。それは表向きでな、本業は情報屋だ。俺の紹介と言えば力になってくれると思う。無駄にさまようよりはマシだろ」

 じゃあな、と言ってマズルは出て行った。

 ヤツなりに心配してくれたのか。
部下がマズルを慕うのも何となく判る気がする。

 俺はカッパー王国に向かうことを決めた。
どうせ他に手掛かりはないのだ。


 四日後。


 俺は宿を出ると斡旋徐に向かった。

「済まない。私信の確認を申請したレオだが」

 カウンターで声を掛ける。

「ああ。はい、レオ様ですね。ご用意出来ています」

 そう言うと受付嬢はカウンター後ろの棚から箱を取り出した。
何か届いていたのか。

「こちらになります」

 受付嬢が箱を開けて中身を見せた。
封筒が一つ。
どうやら手紙が届いていたようだ。

「ありがとう」

 俺は礼を言うと、手紙を受け取りラウンジに腰を落ち着けた。

 差出人は。
ミーアと書かれている。

 妹だった。
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