215 / 826
二一五
俺は空を仰いで『ボード』とやらが来るのを待った。
宙を滑ると言うくらいだ。
おそらく飛んでくるのだろう。
まもなく建物の屋根を越えて、何かが現れた。
それは音もなく俺の目の前に舞い降りる。
「……これか」
全長五、六十センチか。
板の片側が丸くなっている。
たぶんこっちが前だ。
俺は恐る恐る乗ってみた。
頭の中に乗り方が思い出される。
初めて乗るのに『思い出す』と言うのも変な話だ。
以前から知っていたように頭に浮かび上がるこの感覚は、思い出すと言う以外表現のしようがない。
これも管理人の『データ転送』と言うヤツの効果だ。
俺は簡単にボードを操って滑り出す。
きゃあっ!
うわあっ!
道行く人たちが驚いて声を上げる。
俺はメインストリートを、徐々にスピードを上げながら滑った。
これはいい。
俺はすぐにこのボードを気に入った。
自分に合っているかもしれない。
そしてメインストリートが終わる。
道の突き当たりの建物の前で大きく舞い上がった。
ぶわっ
体にかかる独特の浮遊感。
風をきって俺は進み続けた。
もっと速く。
もっとスピードを。
ボードはぐんぐん加速していく。
髪が、上着が、風にはためいた。
眼下を後ろへ向かって景色が飛んでいく。
やがて建物は少なくなり、次第に緑の草原が広がり出す。
もう町を出た。
一本道が足下に続く。
この道は何度か歩いたことがある。
くねくねと続くこの道は、やがて山を越える。
この先は人間が一人で歩くような道ではない。
つまり、モンスターが増えてくる。
特に山中はヤツらのテリトリーだ。
高さは限界まで上がっている。
確かに大空を飛ぶと言うような高さは出ないが、それでも十分な高さは出ていた。
山を越えてひとっ飛びとはいかないが。
だが、森の木々を無視して真っ直ぐ進めるのは大きい。
丘や川や小さな岳なら問題なく飛び越える。
橋を探して渡らなくても良いのが素晴らしい。
もう次の町が眼下に現れた。
これは確かに速い。
おそらく、二時間くらいでは着きそうだ。
俺は速度の限界までボードを操って村へと急行した。
「どうですか?レオさん」
管理人の声がした。
「凄いなコレ。俺に合ってるみたいだ」
「そうですか。それは何より」
「コレ、しばらく借りててもいいかい?」
「どうぞ、思う存分お使いください。ボードは予備も有りますし、修理も生産も簡単ですから」
そうなのか。
そっちの方が凄いな。
ウチで一番凄いのは、実は管理人なのかもしれない。
「恐れ入ります」
管理人はそう言うと、そのまま言葉を引き取った。
さて。
もうひとっ飛びだ。
宙を滑ると言うくらいだ。
おそらく飛んでくるのだろう。
まもなく建物の屋根を越えて、何かが現れた。
それは音もなく俺の目の前に舞い降りる。
「……これか」
全長五、六十センチか。
板の片側が丸くなっている。
たぶんこっちが前だ。
俺は恐る恐る乗ってみた。
頭の中に乗り方が思い出される。
初めて乗るのに『思い出す』と言うのも変な話だ。
以前から知っていたように頭に浮かび上がるこの感覚は、思い出すと言う以外表現のしようがない。
これも管理人の『データ転送』と言うヤツの効果だ。
俺は簡単にボードを操って滑り出す。
きゃあっ!
うわあっ!
道行く人たちが驚いて声を上げる。
俺はメインストリートを、徐々にスピードを上げながら滑った。
これはいい。
俺はすぐにこのボードを気に入った。
自分に合っているかもしれない。
そしてメインストリートが終わる。
道の突き当たりの建物の前で大きく舞い上がった。
ぶわっ
体にかかる独特の浮遊感。
風をきって俺は進み続けた。
もっと速く。
もっとスピードを。
ボードはぐんぐん加速していく。
髪が、上着が、風にはためいた。
眼下を後ろへ向かって景色が飛んでいく。
やがて建物は少なくなり、次第に緑の草原が広がり出す。
もう町を出た。
一本道が足下に続く。
この道は何度か歩いたことがある。
くねくねと続くこの道は、やがて山を越える。
この先は人間が一人で歩くような道ではない。
つまり、モンスターが増えてくる。
特に山中はヤツらのテリトリーだ。
高さは限界まで上がっている。
確かに大空を飛ぶと言うような高さは出ないが、それでも十分な高さは出ていた。
山を越えてひとっ飛びとはいかないが。
だが、森の木々を無視して真っ直ぐ進めるのは大きい。
丘や川や小さな岳なら問題なく飛び越える。
橋を探して渡らなくても良いのが素晴らしい。
もう次の町が眼下に現れた。
これは確かに速い。
おそらく、二時間くらいでは着きそうだ。
俺は速度の限界までボードを操って村へと急行した。
「どうですか?レオさん」
管理人の声がした。
「凄いなコレ。俺に合ってるみたいだ」
「そうですか。それは何より」
「コレ、しばらく借りててもいいかい?」
「どうぞ、思う存分お使いください。ボードは予備も有りますし、修理も生産も簡単ですから」
そうなのか。
そっちの方が凄いな。
ウチで一番凄いのは、実は管理人なのかもしれない。
「恐れ入ります」
管理人はそう言うと、そのまま言葉を引き取った。
さて。
もうひとっ飛びだ。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?
綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。
相手はとある貴族のご令嬢。
確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。
別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。
何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?
「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」
まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。
目が覚めたら、婚約破棄されていた。
理由は「地味で面白みがない」から。
泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。
最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。
でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。
厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。
そして就任スピーチで宣言した。
「500人全員の名前を、覚えます」
冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。
悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。
元婚約者は——後悔し始めていた。
婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。
なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。
異世界魔法、観察してみたら
猫チュー
ファンタジー
異世界に転生した少年レイは、ある日、前世の記憶を取り戻す。
未知でありながら日常の一部となっている魔法に強い興味を抱いた彼は、村の魔法オババに師事し、修行の日々を送る。
やがてレイは、この世界の魔法が、地球で学んだ知識と多くの共通点を持つことに気づいていく。
師の元を離れ、世界を知っていく中で、少年は魔法を観察し、考え、少しずつ理解を深めていく。
これは、少年レイが世界を、魔法を、科学していく物語。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
『異界酒場 ルーナ』
みぎみみ
ファンタジー
東京・渋谷から少し外れた路地の奥、築五十年のビルの地下一階。看板は小さく、知っている人しか辿り着けない。
カウンター八席、テーブル二卓。深夜零時から夜明けまでの営業。
ルーカス(本名:ルカシュ・ヴァルド)
異世界の小さな王国の第三王子として生まれたが、王位継承争いに巻き込まれ、魔法陣の暴走によって現代日本に転移してきた。外見は三十代前半の白人男性。銀灰色の髪と、光の加減で金色にも見える瞳を持つ。日本語は「声の魔法」で習得した。
他人の「最も深い渇望」が視える力を持つ——それは意識的な欲求ではなく、本人すら気づいていない魂の底の叫び。酒や料理を通じてその渇望に応える。
自分の力を「呪い」だと思っていた時期もある。今はただ、使い道を見つけた、という感覚でいる。
ゴミ捨て場領主のクラフト無双 ~最弱魔法【分解と合成】で領地を黄金郷に変えたら、俺を見下していた大貴族令嬢たちが掌を返してすり寄ってきた件~
namisan
ファンタジー
東西南北の大貴族から「毒の川」「凶暴な魔獣」「莫大な借金」を押し付けられ、王国の『ゴミ捨て場』と化したローゼンベルク領。
父と兄を謀殺され、その絶望の領地を押し付けられた無能貴族のアークは、領地の分割を企む高慢な令嬢たち(王女、公爵令嬢、姫将軍など)に嘲笑われていた。
だが、彼には現代の知識と、隠された最強チート能力があった!
触れたものを瞬時に素材に戻し、全く別のモノに作り変える神の御業――【分解と合成】。
「毒の川」を分解して『超高価な宝石と純水』へ!
「魔獣の死骸」と「瓦礫」を合成して『絶対に壊れない防壁』へ!
借金取りには新素材を高値で売りつけ、逆に敵の経済を支配していく。
圧倒的なクラフト能力で、瞬く間にゴミ捨て場を「無敵の黄金郷」へと作り変えていくアーク。
己の敗北を悟り、震え上がる悪徳貴族と高慢な令嬢たち。
さらに、アークの圧倒的な知略と底知れぬ実力は、気高い令嬢たちの本能に深く刻み込まれていく。
「どうか、私をあなたの手駒としてお使いください……っ!」
プライドを完全にへし折られた最高位の美少女たちは、いつしかアークの与える『恩恵』なしでは生きられないほど、彼に絶対の忠誠と依存を誓うようになっていく――。
最弱のゴミ捨て場から始まる、爽快クラフト内政&ざまぁファンタジー、堂々開幕!