見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二一九

 言うが速いか蜻蛉洲はすぐに席を発った。
おそらく蜻蛉洲は『メタルシェル』で来る筈だ。
ボードで二時間ならメタルシェルでその時間は半分以下だろう。

 小一時間かそれより早いか。
それまでどうする。
ずっと相手をしているのも面倒だ。
ミーアには可哀想だがしばらくここへ閉じ込めておくのが良いだろう。

 俺はミーアを軽く突き飛ばすと、その隙にドアの外へと退避した。

 ガチャ

 外には村長が真っ青な顔で待っていた。

「ど、どうなんだ?」

「判らない。今から仲間が来る。たぶんすぐそこに降りてくると思う」

 俺は風車小屋のすぐ横のスペースを指差した。
メタルシェルが着陸するには十分だろう。
なにせ田舎は無駄に土地がある。

「……え?降りてくる?」

 村長は目をまばたきした。

「村長ー!」

 そんな話をしている最中に村人が走ってきた。
今度はなんだ。

「どうした」

「大変だ、今度はモニカがおかしい!」

 ついに増えだしたか。
理由が判らんのが無気味だ。

 増殖する。

「なんと言うことだ……!」

 村長は頭を抱えた。

「村長、もっと悪い知らせが……」

 これ以上あるのか。
もうやめてやれ。

「となりの村はもう壊滅状態らしい。となり村の住民がウチへ逃げてきた。そのうちここへも大群で押し寄せるだろうって……」

 原因はとなりの村だったのか。
いや、となりの村さえも飛び火した被害者かもしれない。
いったいなんだと言うのか。

「もう、どうしたらいいんじゃ……」

 村長は崩れ落ちた。
無理もない。
村長と言ってもただの老人だ。
長く村に住んでいると言うだけで、村長になってしまうのだ。

「その大群はもう来ているのか?」

 俺は尋ねた。

「いや、まだウチへは来ていない。ただ、話ではそれから逃れるように逃げたと言っているから、早晩ここへは来ると思う。彼らは馬車で走ってきたから時間差は半日か長くても夜明けか……」

 あまり時間はないが、今すぐと言う訳でもなさそうだ。
食い止めるのは無理だろうが、殲滅なら出来そうか。
殺していいのか判らんが。

 蜻蛉洲が治せると言ったなら殺すのは可哀想だ。

「判った。それは俺が何とかしよう」

 村長と男は俺の顔を見た。

「レオが……?」

「大丈夫だ何とかなる」

 俺はそう言って村長を元気づけた。
みんなには悪いが、そんな事よりも俺にとってはミーアが最優先だ。
まず彼女を蜻蛉洲に任せて、ヤツらの大群はその後。

 そうこうする内に、メタルシェルがやって来た。
思っていたよりも速い。
あらためてその凄さを痛感する。

「な、なな、なんじゃあれは……!」

 村長は馬鹿みたいに口を開けて、降りてくるメタルシェルを仰ぎ見ていた。
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