見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二二五

「何を言っているんだ」

 男は困惑したように村長を見た。
なぜ話している蜻蛉洲を見ない。

「そのウイルスとか言う小さな生物にやられると、ゾンビー化するのか?」

 村長が尋ねる。

「そうだ。本当はもっと細かい仕組みだが、簡単に結果だけを言えばそうなる」

 ではいったい誰が何の為にそんな事をしたのか。
この男が犯人だとしたら、自分だって危険だろう。

「どうやらこの世界にはウイルスの感染によるゾンビーと言うものは無いようだな。僕の国ではそう言うタイプのゾンビーはポピュラーだ。あくまでもフィクションとしてだが」

 フィクションとしてのゾンビー?
よく判らんが蜻蛉洲の居た世界ではこっちのゾンビーが一般的と言うことか。

「この世界の文明レベルでウイルスを造り出す事は不可能だろう。どうやって造った?」

 蜻蛉洲が尚も男に歩み寄る。
男はどんどんと後ずさったが、不意に蜻蛉洲に肩を掴まれた。

「ひぃ」

 蜻蛉洲が顔をぐいっと近付ける。

「言え、お前は何者だ」

「お、俺は何も知らないっ!知らないんだ!」

 男は明らかに取り乱していた。
本当にこいつが犯人なのか。

「白状した方が身の為だ。無理に吐かせる事も出来るんだぞ?」

 蜻蛉洲が嫌らしく笑う。
俺がオオムカデンダルよりも蜻蛉洲の方が怖いと思うのはこう言う所だ。

「蜻蛉洲……拷問でもするつもりなのか?」

 俺は不安になって尋ねた。

「ご、拷問?」

 男が震え上がる。

「まさか、そんな事はしない。勝手に話したくなるのさ。ま、拷問でも良いんだがね。ひょっとしたらその方が本人は楽かもしれないし」

 男の顔が蒼白になる。
いったい何をするつもりなのか。

「ま、まってくれ!本当に何も知らないんだ!」

「何も知らないなんて事はないだろう?何かは知っている筈だ。何でも良い。言いたくなってきたろう?」

 蜻蛉洲が冷たい笑みを浮かべる。
恐ろしい。

「二年前に知らないウィザードから、この村に引っ越すように言われた。そのくらいしか思い当たる事がない。本当だ!他には何もそれらしい事は思い付かない!」

 男は半泣きだった。
どうも嘘を言っているようには見えない。

「……」

 蜻蛉洲は顎に手をやった。
何か考えている時の癖だ。

「お前、ちょっと検査を受けろ」

「へ?け、検査?」

「何もしやしない。ただ、調べるだけだ」

「ほ、本当に?」

「ああ、本当だ。一時間くらい体を調べさせてくれ」

 男は俺の顔を見た。
助けを求める子供のようだ。

「大丈夫だ。本当に調べるだけだろう。この男は医者でもある」

 俺は男に言った。

「医者……俺は病気なのか?」

 男は心細そうに呟いた。
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