見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二三一

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 どんな敵でも必ず倒せる。
倒せない敵などいない。

 オオムカデンダルはそううそぶいていた。
本当だろうか。
例えばこんなプロテクションも破れるのか。

 オオムカデンダルに聞いてみようかと思ったが、またなんやかんやと言われるのを予想して止めた。
ここは話しやすい管理人に聞くのがベストだろう。

「管理人、このプロテクションを破れるかい?」

「そりゃ破れるだろ」

 管理人がフレンドリーに答えた。

 いや違う。
この声はオオムカデンダルだ。

「か、管理人は?」

 俺は意表を突かれて焦った。

「管理人は今、お前を通じて学習中だ。何でもかんでも管理人を頼るんじゃない」

 何だか判らんが怒られた。
だから嫌だったのに。

「俺を通じて学習中?」

「管理人は膨大なデータを持っている。それが最大の強みだ。だが初めてのケースでは如何に管理人と言えども最適解は導き出せない。だから学習しているんだよ。お前も少しは管理人を見習え」

 また怒られた。
だが管理人を見習えと言うのは全くその通りだと思う。
彼は完璧だ。
彼女かもしれないが。

「いいか、よく聞け。魔法と言うだけでビビるな。魔法も科学も扱ってる法則が違うだけで起こる現象にはそう違いはない。ルートや乗り物が違うだけで目的地は一緒なんだよ」

 そんな物か?

「その見えない壁はどんなものだ。触れるのか。それとも反発するだけで触れないのか。どっちだ」

「触れる。ぶつかった時に凄い衝撃を受けた」

 俺は地面に弾き返された時の感触を思い出していた。

「だったら簡単だ。それより強い力でぶっ壊せ。以上だ」

 それはアドバイスなのか。

「立派なアドバイスだろ。鉄でも石でも、それより強い力の前では壊れるんだよ。それが物理法則だろうが」

 だろうがと言われても俺にそんな事がわかる筈もない。
だいたい物理ってなんだよ。

 だが確かに石も壊せなくはない。
鉄も、鎧や盾や剣も壊れる事はある。
別に珍しい事ではなかった。

 俺はもう一度手を伸ばして見えない壁に触れた。

 確かにここにある。
手のひらに感覚がある。
これより強い力で叩き壊せば良いのか。

 プロテクションをぶっ壊すなんて、思い付きもしなかった。
俺はパンチを叩き込んでみた。

 ガンッ!

 パンチが跳ね返される。

「駄目か……」

 俺のパンチ力は人間の時の数十倍だ。
この程度では破れないらしい。

 もっとか。
俺は自分の力を検索した。
何ができる。

 ふと見るとカーディナルらしき男の肩が揺れていた。
笑ってやがるのか。
俺はますます怒りが込み上げてくるのを感じた。

「なめんなよ。絶対に鉄拳制裁を食らわせてやるからな……!」

 俺は呟いた。
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