見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二三七

 飛び退いたカーディナルは辺りを警戒しているような素振りを見せる。

 見えている訳ではないのか。
そう言えばカーディナルには目がない。
そもそも見えてはいないのではないか。

 では何故、今まで攻撃を仕掛けてこれたのか。
今、攻撃を避けたのは偶然ではあるまい。

 何か他の方法で感知しているのか。
俺がレーダーで相手の場所を知るように。
ならば、どうして今は俺を見失っているのか。

 さっぱり訳が判らない。
とりあえず、消えている俺を正確に認識は出来ないようだ。

「いるな?何処だ」

 初めてカーディナルが声を発した。
喋れたのか。
俺は返事をすることなく、様子をうかがった。

「お前たちはいったい何者だ。その常識はずれな能力、ただの冒険者ではあるまい」

 当然、俺たちの正体など知るよしもない。
あわよくばコイツから情報が欲しいところだが、この能力は危険すぎる。
連れ帰ってアジトの中でサイクロプスでも召喚されたら、たまったものではない。

「そうか……黙っている気か。そうよな。今も機会をうかがっているのだろう……だが」

 カーディナルは辺りを警戒しつつ話を続けた。

「我輩もそう簡単に殺られはせんぞ。更なる脅威を与えてやろう」

 更なる脅威?
何をする気だ。
このままやらせてはならない気がする。
仕方がない、このままカーディナルを叩く。

 結局、隙を突くことは出来なかったがやむを得ない。
俺は正面からカーディナルに飛びかかった。

 ざっ!

 地面を蹴る音がした。
カーディナルが敏感に反応した。

「そこか!」

 カーディナルがロッドを突きつける。

 ドンッ!

 目に見えない衝撃が俺を突き飛ばす。
俺は空中で押し戻されカーディナルに近付けなかった。

 ぐ……ぐぐぐ……

 目の錯覚か。
カーディナルの体が膨らんでいるように見える。

 ぐぐぐ……

 目の錯覚などではない。
肥大化している。

「なんなんだ……」

 俺は内心で呟いた。

 ぐ……ぐぐぐ

 肥大化しているように見えるが、形が変わってきている。変身か。

 見る間にカーディナルは、巨大化と変身を同時に行っていた。
これは、なんの形か。

 背中が盛り上がり、ローブが裂けた。
そこから左側に山羊の頭が、右側にはドラゴンのような頭が生えてきた。
頭って生えるのか。

そして真ん中の本人は獅子の頭に変わっていく。
四足になり尾は蛇と化した。

「これは……キメラ……!」

 俺は後ずさった。
オオムカデンダルが耳元で下がるなと叫んでいたが、それどころではない。

 サイクロプスよりももっとレアだ。
キメラは神代の時代のモンスターである。
今生きている冒険者で、キメラを見たことのある者は一人も居まい。
サイクロプスでさえそうなのだから。

「フフハハハ」

 キメラはカーディナルの声で高笑いした。
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