見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二四五

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 ベキイッ!

 ドア叩き壊して侵入する。

「ミーア!」

 近付こうとするが、突然屋根がめくれ上がる。

 ミシミシ……ベキベキベキッ!

 途端に風が室内に吹き荒れる。
屋根を失ったことで強度も失われた小屋は、壁もろとも倒壊した。

 粉々になった壁が襲いかかる。

「く……くそっ!」

 俺は瓦礫を払い除けながらミーアの元へと近付いた。

 びょおおおおうう!

 ひときわ強く風が渦を巻く。
それと同時にミーアが空中へと舞い上がる。

「ミーアッ!!」

 俺はとっさにジャンプした。
ミーアを捕まえるのだ。
空中で腕を思い切り伸ばす。
ミーアの髪の毛に一瞬、手が触れた。

 どんっ!

 突然、衝撃が俺の体を襲った。

「うあっ!」

 掴みかけたミーアの髪は、そのまま離れていく。
俺の体に吹き飛ばされたハンスがぶつかってきたのだ。

 俺はハンスを抱き抱えながら着地した。
しかし、ミーアの体は渦を巻きながら空へと吸い上げられていく。

「くそっ!」

 俺は舌打ちをした。
だが、ハンスには何の罪もない。

 俺は自分も風に巻き込まれようと、自らもう一度ジャンプした。
体が風に乗って空中に引き上げられていく。
ミーアはそのずっと先にいた。
高さは、あっという間に数十メートルに達していた。

 この高さから落ちたら、俺はともかくミーアは間違いなく即死だ。
何としても助けなければ。

 ぐるぐると渦を巻きながら、空中を回る。
どうやってミーアに追い付く。
触手を伸ばせば届くだろうが、猛毒の触手ではミーアが死んでしまう。
俺は自分の触手に毒があることを恨んだ。

 やがて雲へと達しそうな高度にまで来た。
気のせいか風が弱まってきている気がする。
この高さではミーアを抱き抱えても、着地したら無事ではすまない。

 どうすればいい。
俺は焦った。

 段々と風が弱まってきた。
この程度の風では俺を持ち上げるのは無理だ。
気のせいなどではなく、俺の体は落下しはじめていた。

 ミーアの体はまだ俺よりも上空にあった。
そのまま雲の中へ消えていく。

「ミィィィアァァァァァッ!」

 手を伸ばしてももう届かない。
俺はミーアの名前を叫びながら落ちていった。

 そうだ。
俺は思い出してボードを呼んだ。

 シュイィィィン

 ボードは俺のそばに付いて、一緒に落下する。
俺はボードを掴まえて、足元へと当てた。
そのままボードに乗る。

 大きく弧を描いて再び上昇に転ずる。
ミーアを追うのだ。
しかし。

 ボードは空高く飛べない。
管理人が言っていた。
ある一定の高度以上には行けないのだ。

「くそ……!」

 俺はレーダーでミーアの姿を探した。

「……そんな馬鹿な」

 俺は愕然とした。
どこにもミーアらしき姿は見当たらない。
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