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二五一
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「早かったわね。どうだった?」
令子がティーカップを手に振り向いた。
「そんな事よりキメラはッ」
俺は令子に掴みかかる勢いで歩み寄った。
「キメラならもう居ないわよ」
なんだって?
「ど……どうして?」
俺は激しく動揺した。
「どうしてって……もう必要なくなったから」
何てこった。
これではミーアを探すなど雲を掴むような話だ。
「騒がしいな。何事だ」
蜻蛉洲が奥から出てきた。
「遺跡にはもう誰も居なかった……逃げられた」
俺は力なく答えた。
「……そうか」
蜻蛉洲はいつになく静かにそう言った。
「そうは言っても生首をあの状態で生かし続けるのは限界がある。どのみち、永くは保たないからな」
蜻蛉洲はそう言って小さな箱を取り出した。
「だから記憶や人格と言ったものは、データとしてここに抽出してある」
それは、つまりどう言うことなのか。
俺には理解できない。
「生モノは長持ちしないから、こっちへ移し変えたって事だ」
蜻蛉洲が簡潔に説明した。
「だが耳も口も無いからな、ただここに『ある』ってだけだ」
それじゃ意味がない。
いや、望みはわずかに繋がれたと見るべきか。
「しばらく時間はかかる。お前は他にやれる事を考えるんだな」
蜻蛉洲はいつもと変わらぬ冷静な口調でそう言った。
俺に出来ること。
マズルに言われた、王国のオレコなる人物に会いに行くか。
気持ちはそれどころでは無かったが、仕方がない。
俺は沈む気持ちを何とか奮い立たせて、カッパー王国に向かうことにした。
「元気出して」
令子が優しい言葉を掛けてくれた。
俺は無言でうなずいて、メタルシェルを出た。
ボードに乗る。
今日はずっとコレに乗っているなと思った。
滑るようにボードを走らせ宙へと飛び立つ。
マズルの話ではオレコと言う男は服飾屋をしていると言う。
だが、それは表向きの職業で本職は情報屋らしい。
あのマズルが真剣に進めてきたくらいだ、よほど信用がおけるか、腕が確かか、或いは両方か。
幸か不幸か、王国を後回しにしたお陰で多少話が見えてきた。
漠然とプニーフタールとその一味についての情報を尋ねるより、もう少し的を絞って話が出来そうだ。
俺は前向きに考えることにした。
そうしなければ気持ちが保たない。
陽はすっかり夕暮れになっていた。
このままオレコを探すのは無理だろう。
今日はこのまま宿を探して、オレコは明日探すのが得策だ。
カッパー王国の入り口には門を見張る衛兵が居る。
堂々と入っても良いが、今は何だか面倒くさい。
俺は夕闇に紛れてそのまま空から入った。
人通りの少ない所を見つけて、そこに飛び降りる。
令子がティーカップを手に振り向いた。
「そんな事よりキメラはッ」
俺は令子に掴みかかる勢いで歩み寄った。
「キメラならもう居ないわよ」
なんだって?
「ど……どうして?」
俺は激しく動揺した。
「どうしてって……もう必要なくなったから」
何てこった。
これではミーアを探すなど雲を掴むような話だ。
「騒がしいな。何事だ」
蜻蛉洲が奥から出てきた。
「遺跡にはもう誰も居なかった……逃げられた」
俺は力なく答えた。
「……そうか」
蜻蛉洲はいつになく静かにそう言った。
「そうは言っても生首をあの状態で生かし続けるのは限界がある。どのみち、永くは保たないからな」
蜻蛉洲はそう言って小さな箱を取り出した。
「だから記憶や人格と言ったものは、データとしてここに抽出してある」
それは、つまりどう言うことなのか。
俺には理解できない。
「生モノは長持ちしないから、こっちへ移し変えたって事だ」
蜻蛉洲が簡潔に説明した。
「だが耳も口も無いからな、ただここに『ある』ってだけだ」
それじゃ意味がない。
いや、望みはわずかに繋がれたと見るべきか。
「しばらく時間はかかる。お前は他にやれる事を考えるんだな」
蜻蛉洲はいつもと変わらぬ冷静な口調でそう言った。
俺に出来ること。
マズルに言われた、王国のオレコなる人物に会いに行くか。
気持ちはそれどころでは無かったが、仕方がない。
俺は沈む気持ちを何とか奮い立たせて、カッパー王国に向かうことにした。
「元気出して」
令子が優しい言葉を掛けてくれた。
俺は無言でうなずいて、メタルシェルを出た。
ボードに乗る。
今日はずっとコレに乗っているなと思った。
滑るようにボードを走らせ宙へと飛び立つ。
マズルの話ではオレコと言う男は服飾屋をしていると言う。
だが、それは表向きの職業で本職は情報屋らしい。
あのマズルが真剣に進めてきたくらいだ、よほど信用がおけるか、腕が確かか、或いは両方か。
幸か不幸か、王国を後回しにしたお陰で多少話が見えてきた。
漠然とプニーフタールとその一味についての情報を尋ねるより、もう少し的を絞って話が出来そうだ。
俺は前向きに考えることにした。
そうしなければ気持ちが保たない。
陽はすっかり夕暮れになっていた。
このままオレコを探すのは無理だろう。
今日はこのまま宿を探して、オレコは明日探すのが得策だ。
カッパー王国の入り口には門を見張る衛兵が居る。
堂々と入っても良いが、今は何だか面倒くさい。
俺は夕闇に紛れてそのまま空から入った。
人通りの少ない所を見つけて、そこに飛び降りる。
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